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この記事の目次
新解釈・三国志の劉備は……?
さて新解釈・三国志の劉備像はまだはっきりとはしていません。ただし劉備を演じるのは大泉氏、そして氏は本作の劉備について会見で「本来なら大変良い役で喜ぶべきなんですが、本作の劉備はカッコ良く無くて……」と言っていたことから、三国志演義とはまた違う劉備像が見れることと思います。
また新解釈・三国志の予告では劉備が「俺こんな川で死ぬのいやだ~(涙)」みたいに嘆いているようなぼやいているようなシーンも見受けられ、新解釈な劉備像に期待が高まります!
正史における劉備とは?
と「三国志演義とはまた違う」と言うと、まるで劉備がカッコ悪いのがデフォルトなの?と思われるかもしれませんので、ここでちょっと正史における劉備の記述を追ってみましょう。
劉備は高祖・劉邦の血を引く漢王朝の末裔と言っていますが、これはあくまで自称。ただしご先祖様が大量に子作りをしたので、分家が大きくなり過ぎてどこまで本当で違うのかは当時でも判断が難しい所でした。
しかし劉姓を名乗っているので「まあそうなんじゃないか」と言われる立場ではあったようです。本当に漢王朝の末裔であったのか、それともそれを利用してのし上がったのか……そこでもまた、劉備像の解釈は分かれるでしょう。
一つ言っておきたいのは、劉備は決して無能ではないということです。
劉備は正史でもきちんと優秀!
三国志演義では優しいがどこか周囲に手助けして貰っている、という印象の強い劉備ですが、正史の劉備はしっかりと周囲に評価されています。
その英知と判断力、時の運さえ味方に付けたあの曹操にも「天下に英雄は君と余だけだ」と言われたり「劉備は自分と同じくらいの能力を持っている」とまで言われています。
しかし曹操は同時に「劉備の方が少しだけ策を考えつくのが遅い」と言っているように、もしかしたら劉備の方が少し判断力の面で曹操に後れを取っていたのかもしれませんね。
「解釈」
じゃあ「劉備を無能と書いた作品は間違っているのか」と思われるかもしれませんが、そうではないのです。例え劉備を能力の無い者と描いた作品があったとしても、それもまた解釈なのです。この「解釈」を理解しているかどうかは新解釈・三国志だけでなく、多くの三国志作品を見る上でとても大切なこと。
「自分の思うものと違う」「自分の知っていることと違う」しかしそれは間違いではありません。
「それもまた一つの解釈として割り切る」ことこそが、三国志の世界を楽しむために筆者は必須だと思っています。だからこそどんな劉備像が描かれるか、どんな三国志の世界を見せてくれるのか……ワクワクしてくるのです。ぜひ皆さんもこの機会に、そんな三国志の世界に、どっぷりとハマってみませんか?
三国志ライター センのひとりごと
今回は新解釈・三国志に合わせて、劉備像についてお話しつつ、そして「解釈」についてもお話させて頂きました。何度も言ってはいますが、三国志の世界が広がるのは嬉しい限りです。
新しい三国志の解釈……一体どうなるのでしょう?
諸々の事情で直ぐには見に行けない筆者ですが、ぜひその世界を覗き見た皆さんでもまた、新しい三国志のお話をしていって下さいね!
参考文献:蜀書先主伝 山陽公載記 / 映画『新解釈・三國志』公式サイト
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