この二つは「三国志」と呼ぶとごっちゃになってしまうために、歴史書の方を「正史三国志」と呼び、小説の方の三国志演義とは分類を分けるようにされていますね。
では水滸伝についてはどうでしょうか?
今回は水滸伝について、主に創作か、それとも……な部分についてお話していきます。
水滸伝とは?
さて水滸伝とは、三国志演義と並ぶ中国四大奇書の一つ。ざっくりというと108星と呼ばれる星の生まれ変わりの英雄たちが、導かれるように梁山泊と呼ばれる沼のほとりに集まって、世を乱す悪辣官僚たち相手に大暴れし、最終的に色々あってこの集団は瓦解する……といったお話です。またこの水滸伝自体は講談であり、フィクションです。
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物語の始まり
ではその物語の始まりをちょっとご紹介しましょう。時代は北宋、第四代皇帝仁宗の時代。国には疫病が蔓延し、もはや人の手には余る状態でした。この状況を打開するには天頼みしかない!ということで竜虎山に住む仙人に祈祷して貰うことにします。
この時に朝廷から派遣されたのが洪信という使者でした。洪信は山で色々な不思議な出来事に遭遇しますが、何とか仙人に出会い、祈祷をお願いできました。
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108のお星さま
ここで終われば物語は始まりですらなかったでしょう。
洪信はその後、「伏魔殿」と書かれている、しかも厳重に封印されている扉を目にします。もうここからして嫌な予感しかしませんが、そこには唐の時代に天界から追放された「108」の「魔星」が封印されているというではありませんか!
もう本当に本当に嫌な予感しかしません。
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世に飛び立つ
これを見た洪信、この封印を解こうとします(どうして?)。周囲は洪信を止めようとしますが、洪信は聞きやしません。果てには自分が朝廷からの使者であることを振りかざして、無理やり開けさせてしまいます。そして開いた先には一つの石碑。
しかも石碑には「遇洪而開(洪にあいて開く)」と書かれています。そしてそれをどけるとあら不思議!
煌めく光と共に、封印されていた108星は世の中に飛び立っていきました。
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洪信「忘れよう」
事ここに至ってやっと自分が恐ろしいことをしてしまったと気付く洪信。後悔とは後から悔やむから後悔なのです。そして洪信はそこにいた者たちを集め、こう言いました。
「この事は忘れよう(言うんじゃないぞ!)」という訳で洪信たちはそのまま都に帰り、仙人の祈祷によって疫病も収まりました。
めでたしめでたし。……ではなく、これから数十年の月日がたち、洪信たちもこの世を去ってから、108星は動き始めることになります。
時代を超えて愛される中国四大奇書「はじめての西遊記」
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