あまりの嬉しさに「我が子房」と言ったそうです。
さてここで出てくる「子房」というのは
漢の高祖・劉邦(りゅうほう)を支えた名参謀である張良(ちょうりょう)のことです。
彼は劉邦の配下になると項羽(こうう)との戦で数々の助言を行い、彼の戦をその智謀で支えた人物。
こうして劉邦は張良と言う非凡な名参謀に支えられながら、
天下統一を成し遂げることに成功します。
そんな名参謀張良ですが、彼はあることにはまっていくことになります。
今回は彼がハマったある事についてお話したいと思います。
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張良がハマったある事とは・・・・
張良はその智謀で戦がヘタな劉邦軍を支えた名参謀です。
しかし体は非常に虚弱で、すぐに病気にかかってしまい、
幾度も戦の最中に療養することがありました。
「史記」には「女性のような風貌をした人物」と彼の姿を評しております。
そんな病弱な彼ですが、漢が天下統一を成し遂げるとあることに夢中になっていきます。
それは仙人になることでした。
仙人になるためにその1:食事は極力取らない
張良は仙人になるために必要な事を考えていきます。
そして彼が仙人になるための第一歩として思いついたのは体重を軽くすることでした。
彼は体重を軽くするために過酷な食事制限を自らに課します。
こうして食事制限を行ったことで少しずつ体重が軽くなっていきますが、
その痩せ方は異常でした。
仙人になるためにその2:呼吸法を取り入れる
張良は食事制限行うことで体重を軽くしていくことに成功しますが、
この他にもあることを取り入れております。
そのある事とは呼吸法です。
彼は呼吸法を以前から研究しており、
この研究成果を仙人になるために取り入れることにします。
食事制限と研究した呼吸法を取り入れたことによって、張良の体はますます細くなっていきます。
そんな時呂雉の使者が彼の家に飛び込んできます。
呂雉の哀願
呂雉の使者は「張良殿からぜひアドバイスを頂いてこいと命じられております。
ぜひ皇后様へ適切なアドバイスをいただければと思います。」と伝えてきます。
張良はなんのアドバイスが欲しいのか尋ねると、使者は呂雉の置かれた状況を語ります。
劉邦は嫡男である劉盈(りゅうえい)を皇太子にしておりました。
しかし近年は側室である戚姫を可愛がっており、彼女の生んだ如意(にょい)を皇太子に
しようと図っている。
呂雉はなんとか阻止しようと四方八方手を尽くしますが、
劉邦の決意は固くこのままでやばいと感じて
張良の元へ使者を派遣してアドバイスをもらおうと考えた事を伝えます。
張良はこの話を聞いて使者に「陛下が招くことができなかった学者を盈様が向かい入れて、
師として仰げば陛下も皇太子を変える事を諦めるでしょう」とアドバイスします。
使者は「ありがとうございます。早速皇后さまにお伝えしてきます」と言って気ぜわしく
張良の家を出ていきます。
張良のアドバイスをいれた呂雉は彼のアドバイスを忠実に守って行動します。
この結果、太子の廃立は中止され従来通り劉盈が皇太子の位を維持することに成功します。
呂雉はこのことが嬉しく張良にアドバイスのお礼として贈り物をすると同時に
「張良どの。仙人になることはできませんよ。今からでも遅くないからご飯をしっかりと食べなさい」
と張良に無理やりご飯を食べさせて、彼の目標を中断してしまいます。
劉邦死後も彼女はちょくちょく使者をやって張良がご飯を食べているかどうか調べさせて、
食べていないとわかると強制的にご飯を食べさせられていたそうです。
こうして彼の目標であった仙人になる事はできなくなってしまうのです。
前漢時代ライター黒田レンの独り言
張良は劉邦が亡くなってから8年後に亡くなったそうです。
彼は仙人になろうと頑張っていたのに、
呂雉に妨害されてさぞやショックだったのではないのでしょうか。
しかし呂雉も張良の仙人を目指して行動していたことを知っていましたが、
彼を心配して「ご飯をしっかりと食べなさい」と言っており、決して妨害するために言っている
わけではないでしょう。
悪女として知られる彼女の意外な一面と名参謀の意外な一面を両方見ることができる出来事でした。
「今回の前漢時代のお話はこれでおしまいにゃ
次回もまたはじめての三国志でお会いしましょう。
それじゃあまたにゃ~」
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