魏には匈奴や鳥桓族など様々な異民族が反乱を起こします。その度に兵を派遣し、討伐しておりました。呉にも山越などの異民族が度々領内へ侵攻し、略奪を行っており、呂岱(りょたい)や賀薺(がぜい)などの異民族討伐のプロが赴き反乱を鎮圧。さて蜀でも氐族や南蛮などが反乱を起こしておりました。孔明が自ら南征して孟獲(もうかく)を心服させましたが、その後も反乱は度々起きておりました。そんな中、異民族討伐のプロが立ち上がります。
この記事の目次
自ら剣をふるって県長夫人を救出
張嶷(ちょうぎょく)は蜀の巴県出身の人物です。劉備が劉璋を降して、蜀を平定した頃、張嶷の地元では山賊が巴県を攻撃。その際、県長夫人を誘拐されてしまいます。張嶷はこの事を知ると即座に家を飛び出し、自ら剣をふるって県長夫人の救出に成功します。この事件をきっかけに張嶷の名は各地に広まる事になります。
すぐに逃げてしまう盗賊を討つため、宴会を開く
張嶷は県長夫人救出後、劉備(りゅうび)から県の小役人の職を与えられます。彼は真面目な性格で小役人の役職を精一杯勤めます。そんな中、孔明の北伐が開始。孔明の北伐が開始されると盗賊が横行するようになります。張嶷が勤めていた広漢でも山賊が出没し、略奪を行っておりました。彼は兵を率いて盗賊の討伐を行いますが、盗賊達は張嶷が来るとすぐに逃げてしまい、盗賊達をなかなか鎮圧する事が出来ませんでした。そのため張嶷はある策を講じます。その策とは盗賊達のために宴会を開く事です。張嶷は盗賊達に宴会を開くため、彼らを誘います。すると盗賊達は何の疑いも持たず、張嶷が用意した宴会会場へやってきます。張嶷は盗賊達が来ると、彼らの盃に冗談を言いながら、盗賊達の盃に酒を満たしながら歩き回りまわります。こうして宴会は大盛況で盛り上がっていくのでした。
盗賊達を一網打尽に
張嶷はこうして盗賊達全員に酒を飲ませ、酔わせることに成功します。張嶷は宴もたけなわになった頃、側近を宴会会場へ呼び寄せ、盗賊達全員を捕え、その場で処断します。彼はその後残った盗賊達の残党も素早く討伐。こうして盗賊達の姿は無くなり、町に平穏が訪れる事になります。
孔明ミッションその1:少数民族を平定せよ
張嶷は賊の反乱を平定し、事務作業で地道に実績を上げていきます。こうした実績が孔明の目に留まり、張嶷は牙門将という将軍の位を与えられます。彼は将軍になると孔明から指令をもらいます。その内容は馬忠(ばちゅう)と共に少数異民族を平定せよと書いておりました。張嶷は孔明の指令をもらうと上司の馬忠と共に蜀の北方に居る羌族討伐へ向かいます。羌族は高い山に砦を作り、張嶷と馬忠の軍勢が来ると凄まじい攻撃を仕掛け、抗戦の気構えを見せます。張嶷は攻撃する事の不利を悟り、上司の馬忠の許しを得て、彼らを降伏させようと使者を送ります。最初の内は降伏しない意思を見せていた羌族でした。しかし張嶷の粘り強さと降伏した時の利害を何回も聞かされ、ついに降伏する事を決めます。少数の羌族を降伏させると、他の部族は、張嶷達に降伏を申し出ます。張嶷はこうして兵力を最小の損害に抑えて少数民族達の平定に成功。異民族討伐のプロとして少しずつ、前進します。
【次のページに続きます】