ゼロからはじめる三国志、5秒でわかる三国志通称〇三五三のコーナーです。サンゴクシなんてさっぱりわからん! という方でも小見出しを読むだけで5秒で「なんか知ってる!」という気分になれます。
今回は、三国志前半の中で、最も有名ともいえるかっこいいエピソードをご紹介したいと思います。時は208年、長坂(ちょうはん)の戦いの中で起こりました。
劉備の人徳を慕って10万人の民がついて来る
荊州(けいしゅう)の新野(しんや)にいた劉備(りゅうび)のもとへ曹操(そうそう)が攻め込んできます。劉備は南の江陵(こうりょう)に退却しようとしますが、劉備の人柄を慕った新野の10万人の民が「おらたちも一緒につれてってくだせえ!」と、劉備と一緒についてきます。
女子供も混じる民をすべて引き連れての退却は、足手まといに他なりません。武将たちはみな反対をしました。
しかし劉備は
「よし、みんな俺について来い!」
と民を受け入れ、ともに行軍することを宣言します。
長坂の戦いで趙雲が単騎で敵陣に突っ込み、阿斗を助ける
10万人の民を連れての逃避行の結末は、長坂(ちょうはん)で曹操軍に追いつかれるという悲劇を生みました。劉備はなんとか敵陣から逃げ切ることができますが、民は曹操軍に吸収され、さらに劉備の生まれたばかりの息子阿斗(あと)と二人の夫人も曹操軍にのみこまれてしまうのです。
すると、劉備軍のしんがりを務めていた趙雲(ちょううん)が阿斗救出のために敵陣に単騎で駆け戻ります。残念ながら怪我をして重傷を負っていた夫人は足手まといになることを怖れて井戸に身を投げてしまいます。
趙雲は託された赤ん坊を布で胸にしっかりと括り付けると、血路を開き、何百、何千もの矢を見事に避けて敵陣を駆け抜け無事に阿斗を救出するのです。
長坂橋で張飛が仁王立ち
劉備ら主要な武将たちが無事に長坂(ちょうはん)橋を渡り終えた後、
「ここは張飛(ちょうひ)様にまかせろ! アリ一匹通さねえからな!」
と、三兄弟の末っ子張飛が、たったひとりで橋の真ん中にドンと立ちふさがります。
追いついてきた曹操軍は、張飛の迫力に怯えて手出しができません。それにたった一人しかいないというのも、実は近くに伏兵が隠れているのかもしれないという疑いを呼び、それ以上進軍できなくなってしまいます。たった一人で長坂橋を守りぬいた張飛は、その後無事に劉備軍に合流します。