はじめての三国志コミュニティ




はじめての三国志

menu

三国志の雑学

これぞ戦争の極意!!兵家の思想ってどんな思想?

この記事の所要時間: 237




戦争論

 

これまで触れてきました諸子百家の思想は、

その多くが戦乱の時代を勝ち抜くために国家はどうあるべきかを論じる、

政治的あるいは軍事的な要素を多分に含むものでした。

 

それでは、軍事そのものを題材とした思想というものはあったのでしょうか?

もちろん、存在します。

 

諸子百家においては兵家(へいか)とよばれる思想家の唱えるものがそれです。

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:諸子百家(しょしひゃっか)ってなに?知るともっと三国志が理解できる?

関連記事:儒者っぽくない!?「四海皆兄弟」と言った孔子の弟子・子夏

 

 

戦の勝敗を決めるのは天の意志ではなく人間である

関羽 死

 

兵家の思想を記した書物は多く残されていますが、その代表的な存在が『孫子』です。

『孫子』は紀元前500年頃(春秋時代)、当時の呉に仕えた人物、孫武が記したとされる書物です。

 

実は孫武以前の時代には、戦の勝敗は天運によって左右されるという考え方が大勢をしめていました。

 

『尉繚子』という兵法書の一節、“天官編”にこんな話が書かれています。

 

ある時、楚の国の将軍であった公子心(こうししん)という人物が、

斉の国の軍勢と戦おうとしていました。

しかし決戦の前日の夜、空には彗星が輝いていました。

 

彗星の尾は斉の方向を向いています。

この時代、彗星の尾が向く方向は天運を得ていると考えられており、

天官(天文を調べる役人)は公子心に戦ってはならないと忠告しました。

 

これに対して公子心は「彗星がいったい何を知っているというのだ?

そんな運命は俺がひっくり返してやる」と答え、

翌日、斉との戦いで大勝を収めたといいます。

 

このような事例に見られるように、その時代、

戦争を行うに際してはまず天文を調べて天の意志が敵と味方、

どちらに向いているかを調べるのが当たり前でした。

 

これを根本から否定し、戦争には勝つ理由と負ける理由があることを論理的に説明したのが、

孫武の記した『孫子』でした。

 

関連記事:現代ビジネスマンの必携の書?兵法書『孫子』とその作者について

 

4つのタイプに分けられる兵家

 

 

春秋戦国より後、後漢王朝の時代に偏差された歴史書『漢書』では、

兵家を大きく4つのタイプに分類しています。

 

 

兵権謀家

商鞅

 

国家的な計略の視点から戦争全体を俯瞰して大局的な戦略として扱う者。

孫武やその子孫とされる孫臏(そんびん)、法家としても知られる商鞅(しょうおう)、

漢の高祖劉邦の家臣であった韓信などが該当するとしています。

 

関連記事:キングダム時代に活躍した法家 商鞅と韓非はどんな人?

 

兵形勢家

項羽 はじめての三国志002

局地的において、速攻と変幻自在な用兵をもって敵を打ち破る者。前線指揮官タイプ。

神話上の存在である蚩尤(しゆう)や、劉邦と覇権を争った項羽の名前があげられています。

 

関連記事:項羽はあれだけ最強だったのに何故、天下を取れなかったのか?

関連記事:人材を使いこなす事で天下を取った劉邦

 

兵陰陽家

殷の大様002

陰陽五行の思想に基づく、超自然的な兵法を用いるとされる者。

 

兵技巧家

曹茂

軍隊の戦い方ではなく、己自身の武術を磨く者

 

 

日本への伝来と普及

 

日本には奈良時代に『孫子』が伝来していたことが『続日本紀』の記述にありますが、

当時の貴族階級の教養として広まる一方、実戦の場で『孫子』を活用する者はほとんどいませんでした。

 

これは、当時の日本の合戦が中国のような集団戦闘というよりも、

個人の技量がすべてを決する一対一の戦いが基本になっていたためでした。

 

日本で孫子を始めとする兵家の思想が積極的に取り入れられるようになったのは、

戦国時代、足軽を中心とする組織戦が一般化してからでした。

徳川幕府の時代には兵家の思想が『兵学』と呼ばれる学問として隆盛を極めます。

 

宮本武蔵は兵家だった?

宮本武蔵

 

ところで『兵法書』と言われて、日本の有名な剣客、

宮本武蔵の『五輪書』を思い出す人も多いのではないでしょうか?

宮本武蔵は『兵法家』と呼ばれていますが、中国の兵家=『兵法家』とはまったく別です。

 

中国の『兵法家』は『へいほうか』と読み、先に上げた兵家の思想家を指す言葉です。

これに対し日本の『兵法家』は『ひょうほうか』と読み、己の剣技を磨き、

その極意をつたえる剣客を指す言葉です。

 

宮本武蔵は『ひょうほうか』であって『へいほうか』ではないわけです。

ちょっと、ややこしい話ですね。

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:知らないと損をする!孔子に学ぶ健康法が参考になりすぎる!

関連記事:孔子・孟子・筍子?儒教(儒家)ってどんな思想?

 

孔子の愉快な弟子たち『はじめての孔門十哲』
孔門十哲

 




石川克世

石川克世

投稿者の記事一覧

三国志にハマったのは、高校時代に吉川英治の小説を読んだことがきっかけでした。最初のうちは蜀(特に関羽雲長)のファンでしたが、次第に曹操孟徳に入れ込むように。三国志ばかりではなく、春秋戦国時代に興味を持って海音寺潮五郎の小説『孫子』を読んだり、
兵法書(『孫子』や『六韜』)や諸子百家(老荘の思想)などにも無節操に手を出しました。

好きな歴史人物:

曹操孟徳
織田信長

何か一言:

温故知新。
過去を知ることは、個人や国家の別なく、
現在を知り、そして未来を知ることであると思います。

関連記事

  1. 三国志を楽しむならキングダムや春秋戦国時代のことも知っておくべき…
  2. 善悪関係なし!6人の君主を渡り天寿を全うした軍師賈詡の生涯!
  3. 劉焉(りゅうえん)ってどんな人?益州に独立国を建国した漢
  4. 曹操ってもしかしてフェミニストだった?銅雀台の侍妾エピソード
  5. 藏洪(ぞうこう)とはどんな人?袁紹が可哀想になるくらい逆恨み男の…
  6. 【素朴な疑問】三国志の時代にも居酒屋ってあったの?
  7. 裴松之が注をつけていなかったら『三国志演義』は生まれなかった!?…
  8. 【三国志 魏の歴史事件簿】一体何が起きたのか!?曹芳の時代に起き…

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. フビライ・ハンとは何者?モンゴル帝国のラスボスに迫る!
  2. 【おんな城主・井伊直虎を見逃した方へ】第27話「気賀を我が手に」の見どころ紹介
  3. 【子供は親のコピー】劉備の阿斗投げを容認する儒教の驚きの論理
  4. 大久保利通はどんな性格をしていたの?身長や西郷隆盛との関係性
  5. なぜか気になる夢占い!曹操も劉備も初夢を占った?古代中国の夢占いと衰退した理由
  6. 赤壁の戦いで孔明が東南の風を吹かしたじゃん?あれマジらしいよ?

三國志雑学

“はじめての三国志150万PV" はじめての三国志コミュニティ総合トピック
“広告募集"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

おすすめ記事

土方歳三、新選組副長の刀はどんなモノ? 李靖(りせい)とはどんな人?曹操と孔明の二人から学んだ初唐の名将 鮑信(ほうしん)とはどんな人?自らの命を犠牲にして曹操を助けた曹操の数少ない友人 関羽はお金の神様?風水における関羽像について 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース13記事【4/17〜4/24】 キングダムの時代に開花した法家の思想 西郷どんが奄美大島に行った理由は?西郷隆盛の妻・愛加那との出会い あまりにも短命すぎた後漢の皇帝達14選

おすすめ記事

  1. 郭嘉と賈詡どっちが秀でた軍師だったのか【今夜比べてみました】
  2. 【三国夢幻演義 龍の少年】深いい解説その2「龍の目覚め」
  3. 島津斉彬(しまづなりあきら)はどんな人?西郷隆盛と大久保利通を育てた名君
  4. 潘璋(はんしょう)とはどんな人?素行や勤務態度は悪いけど呉の最強武将
  5. 蜀の二代目皇帝・劉禅とケンシロウの共通点
  6. 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース17記事【9/11〜9/17】
  7. 記録が乏しい孫堅の妻たち
  8. 美髯公とは何?ヒゲを見るだけで三国志がわかる!男のシンボル『ヒゲ』はどこから来てどこへ行くのか。

はじさん企画

袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志"
“西遊記"
PAGE TOP