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【はじめての孫子】第2回:どうして『孫子』はビジネスマン必携の書と言われるの?

この記事の所要時間: 312

孫子の兵法 曹操

 

今から2000年以上もの昔に書かれた“戦争の教科書”『孫子』

しかし『孫子』は現代においてもビジネスのハウツー本として多くの人に読まれています。

 

そんな昔の戦争のことについて説明した本が、なぜ、現代社会にも通用するのでしょうか?

 

関連記事:【はじめての孫子】第1回 そもそも孫子って、何?

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『孫子』ってこんな本

孫武 ゆるキャラ

 

紀元前4世紀頃、孫武によって原型となる文章が書かれ、その後彼の子孫である孫臏によって完成された『孫子』。

 

その後、多くの人の手によって改訂と補筆が繰り返された挙句、全82巻という大著になるほどメタボってしまった『孫子』が、

曹操の思い切ったダイエットによって余分な部分をバッサリカットされ、現在の全13篇からなる形に整理された……

というのは前回説明した通りです。

 

『孫子』ってこんな本……構成篇

 

『孫子』全13篇の概要は、こんな感じになっています。

 

・計篇:全体の序論にあたる部分。戦争を始める前に考慮すべき事柄の考察。

・作戦篇:まず戦争の銃尾をどうするかについて。

・謀攻篇:実戦を行わずに相手を負かす計略について。

・形篇:攻撃と守備、それぞれに必要な態勢について。

・勢篇:全軍の勢いがいかに重要かについて。

・虚実篇:少数で多数に勝つ方法……主導権の重要性について。

・軍争篇:敵軍の先手を打つことの重要性について。

・九変篇:常に変化する戦局に、指揮官はどう臨機応変に対応すべきか。

・行軍篇:進軍するのにあたって注意すべきこと。

・地形篇:地形に応じて戦術を変えることの重要性について。

・九地篇:9種類の地勢と、それに応じた戦術について

・火攻篇:火計(火攻め)について論じる。

・用間篇:「間」とは間諜……つまりスパイのこと。偵察の重要性について。

 

孫子ってこんな本……内容篇

袁紹VS袁術

『孫子』の内容の最大の特徴は、非好戦的であるということでしょう。

 

戦争の教科書なんだから、非好戦的って変じゃないか?

 

そう思われる方も多いのではないでしょうか?

 

『孫子』の説くところでは、重要なのは結果的に敵に“勝つ”ことであって、そのためには必ず軍事的手段に頼る必要はないとされます。

 

実際に軍勢を動かし敵と交戦するということは、民に大きな犠牲と負担を強いることになります。

軍を動かす立場にある君主にとっては、まず国を守ることが肝要であり、国力を損ねる実戦はできるだけ避けなければいけません。

 

だから、実際に軍勢を動かすよりもまず、国同士の駆け引きを重視し、

戦うことなく敵国を下すことができれば、それが最善の策である……『孫子』はそう説いているのです。

 

また、敵だけではなく自国をも観察して、

その状態に応じた対応を取ることが重要であると説くのも、『孫子』の大きな特徴と言えます。

 

『孫子』以前の時代は、戦争の勝敗は天運が決めると考えることが普通でした。

ですから、君主は戦争を決意するにあたって占いを行い、その結果が吉と出れば出撃するが、凶と出たら出撃を取りやめるのが当たり前だったのです。

 

『孫子』は、戦争には勝つ理由と負ける理由がちゃんとあるということを説き、

敵と味方のことを客観的によく觀察することで、どうやれば勝てるか、事前に予測することができるとしています。

 

運否天賦に任せるのではなく、勝つための算段をきちんとした上で戦争に臨むこと。

その重要性を説いた『孫子』は現代にも通用する普遍性を持っていると言えます。

 

『孫子』が説いているのは武器の使い方や攻撃の仕方ではありません。

全編を通じて繰り返し書かれているのは、情報と駆け引きの重要性です。

 

現代ビジネスにおいても、情報と駆け引きが重要であることにかわりありません。

 

『孫子』が現代もなお、読み継がれ学ばれているのは、その普遍性があればこそなのです。

 

クラウゼヴィッツの『戦争論』と『孫子』の違いって?

クラウゼヴィッツ wiki

 

『孫子』は兵法書……“戦争の教科書”として東洋を代表する存在と言えます。

 

実は、西洋にも『孫子』と並び称させることの多い“戦争の教科書”があります。

それがクラウゼヴィッツという人物の書いた『戦争論』という書物です。

 

『戦争論』の著者であるカール・フォン・クラウゼヴィッツは19世紀、いわゆるナポレオン戦争の時代の軍人です。

彼がその晩年に著したのが『戦争論』でした。

 

『戦争論』と『孫子』の違いをひとことで説明するのはとても無理ですが、

最大の違いを要約するなら、それは両者が対象とした読者の違いにあると言えるでしょう。

 

『孫子』がその読者対象としているのは国を治める君主です。

君主は自国の軍の最高指揮官である以上に、まず国民を治める政治的主導者です。

ですから『孫子』は君主が政治家として戦争にどう臨むかを第一に、国民を損ねる戦争をあくまで非常の手段とした上で書かれています。

 

これに対し、『戦争論』がその対象としているのはあくまで軍の指導者=軍司令官です。

『孫子』が戦争を国家の非常時とするのに対し、『戦争論』において戦争は、政治的選択によって選ばれた外交手段に過ぎないとされており、

軍事的にいかに敵を打ち負かすか、その具体的な方法論を論じています。

 

もともと対象が違う以上、両者を比較してその優劣を論じることはできませんが、

『孫子』と『戦争論』が同じ“戦争の教科書”のようであっても、その方向性がまったく違うのは間違いありません。

 

いずれ機会があれば、『孫子』と『戦争論』の違いについて、あらためて説明してみたいと思います。

 

次回から、『孫子』の具体的な内容について、順を追って説明して参ります。

次回もぜひ、お付き合いください。

 

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この記事を書いた人:石川克世

石川克世 三国志

自己紹介:

小太郎さん(スキッパーキ オス 2歳)の下僕。

主食はスコッチウイスキーとコーヒーとセブンイレブンの野菜スティック。

朝風呂が生きがいの小原庄助的ダメ人間。ヲヤジ。

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