どこにでも、だらけてしまった組織というものは存在します。
もし、あなたが中間管理職として、そんなだらけて成績が悪い部署に
配属されたら一体どうしますか?そんな時には、春秋戦国の名将軍、
司馬穰苴(しば・じょうしょ)に学べばいいのです。
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この記事の目次
崖っぷちの斉(せい)に出現した、司馬穰苴
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司馬穰苴の時代、紀元前6世紀の斉は景公(けいこう)の治世下でしたが、
それ以前に内紛が続いたので、かなり弱体化していました。
それを見た、晋(しん)と燕(えん)は、斉の領土に進攻して
着々と領地を奪っていました。
景公「この状態を何とかできる将軍はいないのか」
景公の憂慮は深いモノでしたが、内紛の連続で軍は疲労して、士気は低く、
このまま戦っても、ボロ負けは確実でした。
そこで、名宰相、晏嬰(あんえい)が景公に推挙した将軍が司馬穰苴でした。
司馬穰苴の組織建て直し・・権威がある人を上に立てる
晏嬰の推挙を受けた司馬穰苴とは、斉の豪族の田氏の出身ですが、
傍流で、あまり知名度がない人でした。
そこで、彼は、景公に、このような条件を出します。
「私は身分が低いので、そのままでは、将軍に就任しても、
誰も軽蔑して従いません、身分の高い人を上役につけて下さい」
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ここはポイントです、だらけて成績があがらない部署を立てなおすのに
どこの誰か分からない人では、部署の士気もあがりません。
ここは本社から、肩書きが高い人が出て、新しく就任するリーダーの
履歴を紹介して、だらけた部署の空気をピリッとさせる必要があります。
悲しいかな、人は肩書きに弱いのです、それを最大限利用しましょう。
司馬穰苴の組織建て直し・・規律を破ったら、誰でも処断する
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司馬穰苴の要請を受けて、景公は、荘賈(そうか)という貴族を上につけました。
しかし、この荘賈は、あまり公私のけじめが無い人で、司令官の就任挨拶の時間に
大幅に遅刻して到着します。
それに怒った司馬穰苴は、荘賈を軍律に照らして斬罪とします。
恐れた荘賈は、命乞いをし、さらに景公に救いを求めますが、
穰苴は、即座に荘賈の首を刎ねました。
大貴族である荘賈を軍律違反で処断した司馬穰苴を斉の兵は恐れ、
だらけていた空気が一気に引き締まったと言います。
ここで大事なのは、上役でも組織の決まりは守るという事と、
どれだけ偉くても、処罰は厳しくやるという事です。
だらけた組織にありがちな光景としては、きめられた休憩時間を守らない。
もしくはヒマだからという理由で、勤務すべき時間に休息をしている
というようなケースなどがまま見られます。
一見して、ああ、この組織はだらけているな・・と分かるのは、
喫煙スペースがあっても守られていない例です。
喫煙者が、銘々で建物の影でタバコを吸うような事業所は、
成績もあがりはしません。
特に最悪なのが、こういう規律違反を無くすべき、店長や、
リーダーが当たり前のように、それを放置しているケースです。
「上役がやってるんだから、俺達も守らないよ」と言われれば、
上役は、叱る事も出来なくなるのです。
絶えず緊張感を維持する為に叱られ役をつくる
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組織は友達グループではありません、定められた目標に向かい、
全員が力を結集する運命共同体です。
しかし、だらけた組織では、時として、それがお友達会になり
居心地はいいけど、なあなあな場所になります。
このような組織を改編する為に、あなたが入った場合には、
組織の中に叱られ役を造るのが効果的です。
有名な話ですが、黒沢明監督の「影武者」では、
大ベテランの大滝秀治がその怒られ役になっていたそうです。
黒沢は遠慮なく、大滝に雷を落とし、それを見ていた、
役者もスタッフも、背筋がピンと伸びてNGが減ったと言います。
また、V9時代の巨人軍では、川上哲治監督が、スター選手である
王貞治や、長島茂雄を遠慮なく叱り飛ばしていました。
大事なのは、「ああ、こんなベテランでも怒られるんだ」と
新人の社員に絶えず仕事への緊張感を持たせる事なのです。
司馬穰苴の組織建て直し・・部下の信頼を得る
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司馬穰苴は、上司を斬罪にするという鮮烈なデビューをしましたが、
その後の行動は意外なものでした。
彼は、斉の陣中をくまなく見て回り、兵士達と親しく会話しました。
そして、薬が必要な兵士には薬を与え、疲れている兵士は休ませ、
不満があれば、それを一つ一つ聞いて改善していきました。
こうして、数カ月の間に司馬穰苴は、斉の兵士の心を掴んでしまいます。
いざ、出陣となると、斉では、病気の兵までもが志願して
戦地に行きたがった程だったのです。
これを聞いた、晋と燕は青くなり、斉軍がやってくると戦わずに、
領地を明け渡して引き上げました。
ここは、部下のやる気を引き出すという事であり、その為に部下が
何を考えて仕事をしているのか知るという事です。
具体的な方法、部下と昼食を一緒に食べる
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これはある企業の社長さんが実践している方法です。
その組織では、元々、昼食はバラバラに摂っていましたが、
社長の提案でお昼は可能な限り、社員皆で摂ろうと決めたのです。
最初の頃は、ぎこちない雰囲気でしたが、1カ月も経過すると、
それぞれが、世間話をしたり、恋バナに花を咲かせたり、
子供の進路について周囲に意見を求めたりするようになりました。
それまでは、この会社では新人で離職する人が多かったのですが、
昼食を全員で食べるようになると、定着率が上昇しました。
お互いの気心が知れるようになった組織では、報告や連絡ミスも減り、
業績も急上昇したと言っています。
春秋戦国ライターkawausoの独り言
食事は厳しい仕事を離れて、リラックスできる楽しい時間です。
そして一番、心の壁を開いて本音が出る時間でもあるのです。
ここを利用して、社員同士の交流を図り、その心の内を知るとは、
社長は、まさに司馬穰苴が実践した事と同じ事をしたのですね。
本日も悠久の春秋戦国時代に乾杯!
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この記事を書いた人:kawauso
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どうも、kawausoでーす、好きな食べ物はサーモンです。
歴史ライターとして、仕事をし紙の本を出して大当たりし印税で食べるのが夢です。
もちろん、食べるのはサーモンです。