編集長日記
帝政ローマ

はじめての三国志

menu

三国志の雑学

【軍師連盟】司馬懿は曹操の仕官の誘いを何で断わったの?

この記事の所要時間: 328




曹仁 曹操

 

考廉(こうれん)にあげられていた頃の若き曹操(そうそう)を表舞台に引き上げた人物がいます。

当時、尚書右丞の任に就いていた司馬防(しばぼう)です。

司馬防は、名家の司馬氏の生まれで、洛陽の県令などを歴任しました。

 

司馬朗 司馬防

 

優秀であり、かつ非情に厳格な人物だったと伝わっています。

その司馬防が才能を認めたのがまだ名の知られていなかった曹操なのです。

その点において司馬防は曹操の恩人ともいえます。

魏王にのぼり当時の最高権力者であった曹操は、

都である鄴に司馬防を呼んでもてなしたとも云われています。

これは曹操なりの恩返しのひとつだったのでしょう。




今度は曹操が司馬防の息子を引き上げる

司馬朗 曹操

 

司馬防の長男は司馬朗(しばろう)です。

董卓が洛陽を占拠した際、父親である司馬防から一族を率いて郷里に帰るように指示されます。

董卓に捕まり引きずり出されるところまでいくものの、

司馬朗の機知により司馬一族は郷里に帰ることができました。

田舎に戻った司馬朗を再び日の当たる政治の場に引き上げたのが曹操です。

ちょうど曹操が、長安から落ち延びてきた献帝を保護し、許に遷都した年になります。

自分を引き上げてくれた司馬防に対する恩返しのひとつだったのかもしれません。

司馬朗は一時、病気によって郷里に戻りますが、

回復してからまた中央に呼び戻され、

曹操の重要拠点である兗州の刺史となって民に慕われる政治を行いました。




司馬八達

司馬朗

 

実は司馬防には優秀な息子が八人もいました。

長男の司馬朗の字は伯達といいますが、

みな「達」が付く字を持っていたため「司馬八達」と呼ばれることになります。

司馬朗の友人で崔琰という人物がいます。

彼は袁紹(えんしょう)に仕えていましたが、袁紹が亡くなってからは曹操に仕え、

人事部門で辣腕を振るうことになります。

崔琰(さいえん)に見いだされたものはどんなに

評価が低いものであっても三公まで登りつめたと云われています。

無論、崔琰は友人である司馬朗の力を非常に認めていましたが、

一方でこのようなことも司馬朗に云っていました。

「キミの才能は弟の司馬懿には遠く及ばない」と。

司馬朗もそのことを自覚していたのか笑ってうなずいていたそうです。

それが「軍師連盟」の主役である司馬懿です。

そんな司馬懿を人材発掘・起用の神とも呼べる曹操が見逃すはずがありません。

崔琰の話を聞く以前から曹操は司馬懿に目をつけていて、出仕の命令を下しています。

 

遠望の志

司馬懿と曹操

 

「軍師連盟」の主役とある司馬懿。

その才能をもってすれば政治家になることはたやすいことでした。

彼自身が名門の生まれであって、さらに権力者である曹操との強力なコネもあります。

しかしなぜか司馬懿はなかなか表舞台に登場しません。彼がそれを拒んだからです。

兄の司馬朗が曹操の率いる漢室に仕えたのに対して、司馬懿は自粛しました。

なぜでしょうか。

それは曹操の権威が一時的なものに過ぎないと見られていたからです。

 

袁紹の妃03 袁紹

 

献帝を保護し、朝廷の実権を曹操が握ったとはいえ、北には強国の袁紹がいたのです。

曹操と袁紹の決戦は避けては通れぬものとなっていました。

当時の大多数の人間が袁紹の勝利を疑わなかったことでしょう。

袁紹は広大な河北の領土と膨大な兵力、そして中華一の名声を誇っていたからです。

いずれにせよ漢室が滅ぶと考えた司馬懿はいたずらに仕えることをしませんでした。

かといって袁紹に仕えることもしません。勝つものを見極める。

司馬懿はそんな冷静沈着な心境だったことでしょう。

 

曹操に仕える司馬懿

司馬懿 仲達

 

結局、勝者は大逆転劇を演じた曹操でした。

西暦201年、袁紹との官渡の戦いを制した曹操に司馬懿は出仕を求められます。

これにはさすがに司馬懿も断り切れなくなりました。

しかし当時はまだ官渡の戦いに曹操が奇跡的に勝っただけで、

河北は袁紹が握っていましたし、袁紹自体も健在でした。

袁紹の巻き返しの目は充分にあったのです。

慎重な司馬懿は病のふりをしてこの出仕の命令に従いませんでした。

逃げて袁紹につくようなら殺せとまで部下に命じていた曹操ですが、

病と聞いてここは無理強いはしません。

西暦208年、袁氏はことごとく滅ぼされ、河北は曹操の領土となります。

大勢は決まったのです。曹操はついに三公を廃し、丞相となります。

曹操に抗える勢力はもはやありませんでした。

慎重な司馬懿も意を決して曹操に仕えることになります。

現実に天下を治められる人物にしか仕えないという「石橋を叩いて渡る」司馬懿。

そしてそれを証明した曹操。

あくまでも漢室に仕え、清廉潔白な政治を行った兄の司馬朗と、

絶対なる権威にこそ従った司馬懿の違いがそこにはあります。

 

三国志ライター ろひもと理穂の独り言

ろひもと理穂

 

曹操が司馬懿を強く警戒したのは、

司馬懿には忠義の心がないことを見抜いていたからでしょう。

そこには将来を見越した冷静な計算があるだけです。

そして司馬懿は自分の思い描く計画を実行に移す忍耐強さと慎重さを兼ね備えていました。

「軍師連盟」にはその部分が強く描かれることになると思います。

恩人の息子とはいえ、ここまで出仕を拒んだ司馬懿に曹操は

他の人間にはないものを感じ取っていたのでしょう。

司馬懿の才能と冷酷さがやがて曹氏を脅かす存在になることを曹操は認識していたと思います。

しかし司馬懿は曹操の前では上手く立ち回り、なるべく目立たなくふるまい、

太子となる曹丕との友情を深め、己が立場を慎重に有利なものにしていくのでした。

結論として司馬懿は名声や才能、人徳に惹かれて仕えることはなく、

絶対的に安定した強者にのみ従うということがいえるのではないでしょうか。

だからこそ、それが証明できるまで司馬懿は曹操に仕えなかったのです。

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:三国志時代に降伏や降参するときはどうやってサインを出していたの?

関連記事:【素朴な疑問】三国志時代はどうやって兵士を集めていたの?

 

—古代中国の暮らしぶりがよくわかる—

 




 

ろひもと理穂

ろひもと理穂

投稿者の記事一覧

三国志は北方謙三先生の作品が一番好きです。

自分でも袁術主役で小説を執筆しています。ぜひこちらも気軽に読んでください!

好きな歴史人物:

曹操、蒲生氏郷

何か一言:

袁術は凄いひとだったかもしれませんよー!!

関連記事

  1. 2分で分かる合肥の戦い その4 張遼の猛攻
  2. 【ビジネス三国志】陳琳や周瑜、諸葛亮孔明に学ぶ失敗学
  3. 三国志時代の笑い話は腹がよじれるほどシュールだった!?
  4. 永遠の副官 李典(りてん)の二番手人生を徹底紹介
  5. 曹操くんポカーン。こやつ何を言ってるんじゃ?古代中国の方言から現…
  6. 曹丕、女心を詩で歌う ごめんねディスしてキャンペーン
  7. 「魏」ってどんな国?キングダム戦国七雄を徹底紹介
  8. 三国志の時代の城の機能について図解解説

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 元祖そこまで言って委員会!孔融と禰衡の議論がカオス
  2. 「燕」ってどんな国?キングダム戦国七雄を徹底紹介
  3. 病気の呂蒙を穴から見守る孫権
  4. 【キングダム】桓騎(かんき)秦を亡命し樊於期と名前を変え秦王に復讐
  5. 【真・三國無双8】新キャラ周倉(しゅうそう)とはどんなキャラ?実際に存在した人?
  6. 何で曹操は漢中で劉備に負けたの?

三國志雑学

“広告募集"

はじめての三国志の書籍情報

朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ (桃園出版 三国舎)

著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

おすすめ記事

113話:老将・黄忠死す、次々と天に還る五虎将軍 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース13記事【7/4〜7/10】 劉備も茶を求めた?中国茶の歴史 石奮(せきふん)とはどんな人?真面目で頑固者な性格が愛されて富貴を手にした万石君 孫策が生きていたら三国志はどうなったの? 【ネオ三国志】第8話:新たな人材と張繡軍との再戦【蒼天航路】 どうして曹操は嫌われているのか!?別に否定もしません 【センゴク】最前線拠点の城主と調略戦に明け暮れた秀吉のご褒美って何?

おすすめ記事

  1. 62話:徐庶を手に入れたい曹操、程昱の鬼畜な計略を採用し劉備から徐庶を奪うの巻
  2. 徐晃の戦い方が素晴らしすぎる!前漢の周亜夫の武勇に匹敵するほどの名将
  3. 馬場信春(ばばのぶはる)とはどんな人?鬼と呼ばれた武田四名臣の一人
  4. 朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ(笑) 第6部
  5. 【お知らせ】耳で聞いて覚える三国志 126話〜134話を追加配信しました。
  6. 【はじめての孫子】第11回:兵は多きを益ありとするに非ざるなり。
  7. 【王翦 vs 李牧】信は王翦により苦境に立たされる?
  8. 【袁術特集】孫家に吸収された袁術の子孫たちはどうなったの?

はじさん企画

帝政ローマ
広告募集
特別企画


袁術祭り

異民族
諸子百家
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
PAGE TOP