身内以外の意見は聞かない暴れ者・項羽が少年の意見だけは聞いた?

2017年3月21日


 

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西楚覇項羽(こうう)

漢の劉邦と天下の覇権を賭けて戦った英雄で、

彼が兵士を率いて負けた戦は数える程しかないでしょう。

戦の天才であった項羽の強さにあやかって孫策も「小覇王」と名乗っております。

戦の天才出会った彼ですが、身内以外の人間の意見をほとんど聞かない人でしたが、

かろうじて軍師であった范増(はんぞう)の意見は聞いていました。

しかし彼がいなくなった後は配下の将軍の意見を聞くことはほとんどなく、

自らの考えで戦や外交を行っておりました。

そんな彼がある少年の言葉を聞いて従ったことがあるですが、

この少年は項羽の身内の者ではありませんでした。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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盗賊討伐へ向かう項羽

 

項羽は劉邦がこもっていた成皋城(せいこうじょう)を攻略してこの城に守兵をおいて、

劉邦軍の残りの拠点へ攻撃を行うべく準備を行っておりました。

しかし彼を取り巻く状況は非常に厳しくなっており、

劉邦軍の将軍であった韓信が斉を討伐して平定し、

東側から項羽の勢力にプレッシャーをかけていました。

項羽軍は項羽の本拠地である彭城(ほうじょう)から補給を受けておりましたが、

途中で劉邦軍の遊撃部隊である彭越(ほうえつ)の軍勢が項羽の補給部隊へ攻撃を仕掛け、

補給物資を強奪したり、焼き払ったりして補給物資が滞り始めます。

項羽はこの状況を打開するために猛将である竜且(りゅうしょ)を斉討伐へ出陣させます。

そして項羽は自ら兵を率いて成皋城を出陣して彭越討伐へ向かうことにします。

ついでに彭越は昔、昼は漁業・夜は盗賊として働いておりました。

そのため項羽は彭越のことを盗賊団のかしら程度にしか思っておりませんでした。

 



盗賊の拠点を次々と落とす

 

項羽は自ら軍勢を率いて彭越の拠点となっている城を次々と陥落させていきます。

だが外黄(がいこう)という拠点を攻撃した時に守備軍から猛烈な反撃を受けてしまいます。

そのためこの拠点を落とすのに数ヶ月かかってしまい、

やっとのことで外黄を陥落することに成功します。

 

自分に逆らったものは生き埋め

 

項羽は自らの拠点が敵に降伏した場合、例外なく場内に住む住民を皆殺しにするか、

もしくは生き埋めにして二度と逆らわないように恐怖をもって治めていました。

そのくせ身内には非常に優しく接している人物でした。

外黄を攻略した項羽はこの城の住民を生き埋めにしようと考えており、

住民を全て生き埋めにするべく穴を兵士達に掘らせます。

 

少年の決死の説得

 

こうして住民を埋める穴を掘り終えた項羽は住民を穴に落とすべく号令をかけようとします。

すると一人の少年が項羽の前へ進み出て意見を述べます。

少年は項羽に対して「大王。私達は彭越軍の攻撃に抵抗できなかったから降伏したのです。

他の土地も外黄と同じような状況でやむを得ず彭越軍に降伏した街がほとんどでしょう。

そのためこの地の住民を全て生き埋めにしてしまえば、

他の街の住民達は大王に降伏することなく必死に抵抗するでしょう。

すると大王の軍勢はひとつの城を陥落させるのに数ヶ月かかってしまいます。

こうして全ての城を攻略し終えた時には漢の大王が勢力を取り戻し、

大王の領土へ攻撃を仕掛けてくると考えます。

そこで私はここの住民を生き埋めにするよりは生き残して、

他の城へこの城の状況を広めさせれば、

彼らは大王と戦う前に城を開けてくれるのではないかと思います。」と

必死に自分の考えを述べます。

項羽はこの少年の言葉を聞いて「もっともだ」と述べ、住民達を全員解放します。

この噂を広めさせた項羽は彭越の領土へ攻撃を仕掛けるべく出陣すると

次々と項羽へ降伏する城が増えていき、

あっという間に彭越の拠点をすべて陥落させることに成功します。

 

戦国史ライター黒田レンの独り言

 

項羽は少年の意見を聞いたおかげで、

外黄の住民を生き埋めにすることなく解放。

この結果スムーズに拠点を攻略することができますが、これはあることを表しています。

それは項羽軍の人材がいないということです。

少年が気づくことができるようなことを項羽の周りにいる人材は進言することができなかったのです。

これでは張良や陳平等の謀略や計略にするぐれていた劉邦軍に勝つことはできないでしょう。

もし范増が項羽の元を去らなければ劉邦軍との戦の行方はわからなかったかもしれませんが・・・・。

 

参考文献 史記 司馬遷著 訳 和田武司・山谷弘之など

 

 

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黒田廉(くろだれん)

黒田廉(くろだれん)

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