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【シミルボン】カルトの手法は変わらない太平道の信者獲得法

この記事の所要時間: 326




シミルボン

 

※こちらの記事は「シミルボン」に配信されているコンテンツです。

 

 

手を変え品を変え、社会に存在し続けるカルト宗教、話を聞いていると、

どうして、こんな子供騙しに引っ掛かるのだろう?と不思議に思います。

しかし、カルトには人間の弱さに付け込んだテンプレがあり、そこは不変なのです。

さて、このカルトの元祖は三国志の時代にありました、黄巾賊の母体太平道です。

36万人という信者を獲得し熱狂させた男、張角(ちょうかく)の現代にも通じる、

カルトの手口を見ていきましょう。




人には不安の種がある、張角の勧誘の手口

 

張角には個人の伝はなく、後漢書の皇甫嵩(こうほすう)伝、霊帝(れいてい)紀、

三国志呉志の孫堅(そんけん)伝などに記録が散見されるのみですが、

それによると張角は冀州の鉅鹿(きょろく)郡の人であるようです。

張角は自らを大賢良師と名乗り黄老の術を使って布教していたようですが、

当初は、ただの胡散臭いヤツだと思われているだけで布教にも苦労していました。

 

あれこれ試行錯誤をしていく中で、張角はある事に気がつきます。

 

富んでいても貧しくても、老いも若きも、男も女も、皆、なにがしかの悩みを持ち

不安の種を抱えているという事です。

お金がない人は、今後の生活に不安の種を持ち、お金持ちは病気になりはしないか、

財産を奪われはしないかと不安になり、子供がいる者は子供の将来で不安を持ち、

世の中は不安に満ちていて、人々は口には出さなくても、その不安を解消してくれる

カリスマを求めていたのです。




張角は病を癒す奇跡の人を演じる事にする

 

折しも、当時の世の中は、無能な暗君である霊帝の統治下で、役職の売買が横行し、

二重、三重の税の搾取は当たり前で、税が払えず土地を捨てて逃げる者、

役人に言いがかりをつけられて財産を巻き上げられる者や、食べるモノも無く、

道端で餓死する人も珍しくありませんでした。

 

社会には不安が渦巻いていて、誰もがすがりつけるカリスマを求めていたのです。

後漢書の皇甫嵩伝には、当時の張角の奇跡が記されます。

 

張角は信者に跪(ひざまず)いて自分を拝ませて過ちを告白させ、

札と水を使ってまじないを唱えて病を治した。

病人は頗(すこぶ)る癒され人々はこれを信仰した。

 

張角は当初、貧しい人々に目をつけました。

当時、医者にかかれるのは金持ちだけでしたから、貧しい人は

ひたすら免疫力に頼って、自然治癒を目指すほかは無かったのです。

そこで張角は、水とお札を使い疑似治療法を実施していきます。

 

張角は、病気は悪行の報いとして発生すると唱え、罪を告白して改心し

善行を積みあげ、規則正しい生活をする事で病は治るとしました。

 

こうして、張角は、まずは病人を座らせて、これまでの罪状を語らせ

改心させた上でお札を焼いて水に溶かして飲ませたのです。

 

罪を告白させるのは、心の負担を軽くさせる為でしたが、

この疑似治療で何名かが重病から回復するという事が起きました。

 

不幸にも死んでしまっても言い訳は用意されていた

 

もちろん、一方で回復せずに死んでしまうケースもあります。

その時の言いわけも張角はちゃんと用意してありました。

 

「私の治療は、心から私を信じている人間にしか効果が無い

亡くなった者は、気の毒だが信心が足りなかったのだ」

 

こうする事で張角は疑似治療の失敗を患者の信心の不足に転嫁します。

そうなると、助かりたい一心で病人は疑いを捨てて、張角の言うままに

罪を告白して焼いて水に溶かしたお札を飲むようになります。

 

失敗して亡くなる人間が多かった筈ですが、人々はカリスマを求めていました。

こうして、たまたま治った成功例が奇跡として大袈裟に宣伝され、

それまで、張角を白眼視していた金持ちや役人のような上流階級まで、

張角の奇跡にすがるようになっていくのです。

 

張角は自分のノウハウを弟子に伝授して各地に派遣する

 

張角は、自分の考えた手口を信頼が置ける八人の弟子に伝授して、

中国各地に派遣して、同じ事を行わせました。

こうして、弟子が活動していく事十数年で太平道は、信者三十六万人の

巨大な宗教集団へと発展していきます。

信者が増えると、張角は、信者同士を7千名~1万人単位の36の方(ほう)という

軍団に分け、人里を離れて信者同士の共同生活をさせるようになります。

 

この辺りも今のカルト宗教と同じで、同じ宗教を信じる者同士で一つの

コミュニティを造らせて、外界と信者を遮断して洗脳が解けるのを防ぐ方法です。

しかし、外界から隔離された為に太平道の信者と一般人との間には、

以前よりも激しい確執が産まれるようになります。

 

もとよりカルトである太平道の教えと一般社会とは相いれず、両者は対立を

避けられなくなっていくのです。

 

巨大化したカルトは社会に牙をむく

 

ここまで来ると、張角も後には引けなくなります。

増殖していく太平道の信者は、いつか現政権の脅威として一斉摘発されるでしょう。

こうして、張角は殺られる前に殺れと考えるようになり、

 

腐敗した漢王朝の天運は尽きた、これを武力で打倒して争いの無い

太平道の世を造り出すと言いだします。

 

そのスローガンの下で張角は、都、洛陽にいる宦官の仲常侍(ちゅうじょうじ)に

指示を出し、配下の馬元義(ばげんき)が数万の兵を集めて鄴で挙兵した際に、

洛陽の城門を開いて軍勢を迎え入れるように命じます。

 

洛陽には、仲常侍以外にも、千人余りの太平道の信者が潜んでいて、

合図と同時に城内に火を掛けて、武器を取って外の馬元義軍と共闘するという

手はずになっていたのです。

 

ところが、土壇場で張角の弟子であった斉南の周唐(しゅうとう)が寝返り、

朝廷に対して太平道が謀反すると上奏したので全ては露見しました。

霊帝は、急いで兵を集めて、洛陽の中の張角の内通者を探しだし千名余りを

処刑したので、これを見て怖気づいた仲常侍は張角を裏切ります。

 

黄巾賊の蜂起は失敗する・・

 

捕縛命令が出た張角は、ヤケクソで檄文を飛ばして36万の太平道の信者が蜂起します。

彼等は同士討ちを防ぐ為に、頭に黄色い布を巻きつけたので黄巾賊と呼ばれます。

当初は数の優勢と漢軍の準備不足もあり勝ち続けた黄巾賊ですが、半年を経過すると、

精神的な支柱の張角が病死、皇甫嵩、朱儁(しゅしゅん)、盧植(ろしょく)のような

漢軍の名将軍の活躍もあり、やがて鎮圧されて、その野望は潰えてしまいました。

社会不安や、不確かな人生から生じる人々の不安の種を刈り取りながら大きくなった

張角の太平道は、まさに元祖カルト教祖と言えるのではないでしょうか?

 

参考文献:後漢書

著者: 范 曄/吉川 忠夫/李 賢 出版社: 岩波書店

 

シミルボン

 

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三度の飯の次位に歴史が大好き

10歳の頃に横山光輝「三国志」を読んで衝撃を受け
まずは中国歴史オタクになる。
以来、日本史、世界史、中東、欧州など
世界中の歴史に興味を持ち、
時代の幅も紀元前から20世紀までと広い。
最近は故郷沖縄の歴史に中毒中、、

好きな歴史人物:

西郷隆盛、勝海舟、劉邦、韓信、、etc

何か一言:

歴史は現在進行形、常に最新のジャンルです。

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