「三国志」を題材にした映像化作品としては映画「レッドクリフ」やNHKの人形劇「三国志」などが有名ですが、実は、過去何度もアニメ化されていることはご存知でしょうか?
今回は「三国志」のアニメ化作品、もしくは「三国志」を題材にしたアニメ作品をドバッとまとめて紹介しましょう。
中にはアニメならではの大胆なアレンジを施された作品もあり、「三国志」のことなら小説や漫画でよく知ってる!!と思っておられる方でも、新鮮な感覚で楽しめるものもありますよ。
筆者石川克世の独断と偏見による“オススメ”度を、「★」1個~5個で採点しちゃいます。作品視聴の参考にしてみてくださいね。(あくまで個人の感想です)
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※なお、紹介内容にはネタバレを含む部分もあります。ネタバレがお嫌いな方はご注意ください。
紹介作品:
・『横山光輝 三国志』
・『蒼天航路』
・『三国志』『三国志Ⅱ 天翔ける英雄たち』
・『鋼鉄三国志』
・『一騎当千』
・『恋姫†無双』
・『最強武将伝 三国演義』
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この記事の目次
定番コミックのアニメ化『横山光輝 三国志』
『横山光輝 三国志』は、テレビ東京系列で1991年10月から1992年9月まで、全47話放送されたTVアニメです。
タイトルからもおわかりの通り、漫画家・横山光輝の作品『三国志』を原作としており、基本的なストーリー展開は原作コミックに忠実に作られています。
ただし、袁術討伐のくだりなど、省略されたエピソードや、董承の曹操暗殺計画など、ナレーションによる説明のみでシーンとしては描かれなかった場面もあります。
さらに、物語は「赤壁の戦い」で完結するなど、原作の完全なアニメ化作品とはなっていません。制作された時期が90年代初頭のアニメブームに当たることもあり、原作には未登場のオリジナルの女性キャラが数多く登場するのも特徴です。
- 石川克世によるオススメ度:★★★★★
やっぱり、三国志作品の定番中の定番である横山光輝版をアニメ化しただけあって、オーソドックスに楽しめる作品となっています。「赤壁の戦い」までしか製作されていないのがつくづく残念ですね。
曹操を主人公として描き、一世を風靡した『蒼天航路』
王欣太のコミック『蒼天航路』は、それまで悪役の印象が強かった曹操を主人公に抜擢、他の登場人物も、それまでの「三国志演義」をベースとする解釈にとらわれないエキセントリックな描写で人気作品となりました。
このコミック『蒼天航路』を2009年の4月から9月にかけ日本テレビ系列で全26話にわたって放送されたのが、アニメ版『蒼天航路』です。基本ストーリーはコミック版に忠実に作られており、原作同様、曹操を主人公に据えていることから彼の幼少から青年期にかけてのエピソードが描かれているのが特徴です。
曹操を主人公に据えていることから、原作『蒼天航路』は曹操の死を持って完結していますが、アニメ版はその道半ば、「官渡の戦い」を持って終わっています。
原作の出版元が講談社であったことから、テレビ放送時には同社のミスコン「ミスマガジン」との連動企画があったり、同時期に公開された「赤壁の戦い」を題材にした映画「レッドクリフ」のジョン・ウー監督が声優として出演するなど、お遊び要素も話題になった作品でした。
- 石川克世によるオススメ度:★★★★☆
話題のコミックのアニメ化作品としてご存知の方も多いかもしれません。原作同様、史実をベースに描きつつも独自の視点から描かれるストーリーが見どころです。
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原作もビックリの大胆アレンジ『三国志』『三国志Ⅱ 天翔ける英雄たち』
今回紹介する作品の中では最も古く、1985年3月20日に日本テレビ系列「水曜ロードショー」枠で放送された長編アニメです。1986年8月22日には続編に当たる『三国志Ⅱ 天翔ける英雄たち』が放送されています。
原作は『横山光輝 三国志』と同じく、横山光輝のコミック版とされていますが、もともと作品としての尺が短いこともあり、原作からごく一部のエピソードをピックアップして作られたダイジェストストーリーとなっています。
第一作目『三国志』では長坂の戦いから赤壁の戦いまでを描き『三国志Ⅱ』は、劉備の益州攻略から蜀の成立までが描かれています。ロボットアニメやヒーローアニメが全盛だった80年代半ばの作品ということもあり、それらを意識した演出・表現が特徴です。
また、キャラ設定もかなりのアレンジが加えられています。曹操の配下の武将である于禁はなんと女性キャラ化しており、曹操に恋心をいだきつつ赤壁の戦いで戦死。さらに曹操自身は金髪碧眼の人物として登場、北方から侵略してきた異民族(ローマ人?)の父親との間にできた混血児であるという、驚きの展開を見せます。
ちなみに、同作品で諸葛孔明役を演じたのは、後年、『銀河英雄伝説』で孔明をモデルとしているとされる主人公の一人、ヤン・ウェンリーを演じた富山敬です。
- 石川克世によるオススメ度:★★★☆☆
「はじ三」的に注目したいのは、なんと言っても『【架空戦記】帝政ローマ軍と三国志軍が戦ったらどっちが勝つの?軍隊の編成や武器なども徹底解説』の記事を彷彿とさせる曹操の設定でしょう。
ただ、当作品はVHSビデオ版以降商品化されておらず現在視聴するのはやや困難であるのが残念な点です。
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陸遜を主人公にファンタジーにアレンジされた『鋼鉄三国志』
2007年4月から9月にかけ、テレビ東京系列で全26話に渡り放送されたテレビアニメ『鋼鉄三国志』他の「三国志アニメ」とは違い、特定の原作者を持たないアニメオリジナル作品として製作されました。
舞台となるのは、現実の古代中国ではなくパラレルワールドとして存在する幻想古代中国。呉に仕えた武将、陸遜伯符を主人公として桃語りが展開しますが史実や三国志演義の展開には縛られない、ファンタジーとして大胆にアレンジされた展開が特徴です。
史実や演義では、袁術が皇帝を僭称するために利用した玉璽(伝国印)ですが、当作では古代文明によって生み出さ得れたエネルギー体として登場、物語はこの玉璽を巡って展開することになります。
諸葛孔明と陸遜が師弟関係であったり、玉璽の闇の力に取り憑かれた孔明が劉備を陥れ死に至らしめるなど、奇想天外なファンタジーらしい物語が展開、アクション性の高いバトルシーンも魅力の作品です。
- 石川克世によるオススメ度:★★★★☆
『三国志』のアニメ化作品はそのほとんどが劉備と曹操を中心として描いていますが、当作はファンタジーに翻案されているとは言え、陸遜を主役に据えて『三国志』を描くという斬新な視点が見どころです。ラノベチックなキャラ設定や派手なアクションも見どころ。
孫策伯符が女性キャラ化!! ポロリもあるよ!! 『一騎当千』
今日では『艦隊これくしょん』や『刀剣乱舞』など、さまざまな物を美少女、あるいはイケメンキャラとして擬人化した作品が普通に流行していますが、この『一騎当千』はそうした作品群のある意味走りともいうべき作品かもしれません。
2000年からワニブックスの「コミックガム」誌に連載を開始した塩崎雄二氏のコミック原作を元にアニメ化、CSで4度に渡りシリーズ化され放映、二度のOVA版も発売された超人気作品です。
舞台は現代の日本、三国時代、魏・呉・蜀の覇権を巡り戦った武将たちの魂を宿す“勾玉”を持った高校生たちが七つの高校に分かれ、再び覇権を取るために激しい戦いを繰り広げます。
主人公の少女は“孫策伯符”として転生、他にも関羽雲長や呂布奉先といった多くの主要キャラが女性の姿に転生して登場します。
『一騎当千』の売りはなんと言っても激しいバトルとお色気!!オッパイやパンチラといった、ムフフなシーンも見どころです。
- 石川克世によるオススメ度:★★★★☆
バトルとお色気のイメージが強い当作ですが、ストーリー展開にも力が入っており、楽しめる作品となっています。いまなお、コミック版の最新作『真・一騎当千』が少年画報社の雑誌「ヤングキングアワーズ」に連載が続いているのもうなずける作品です。
乙女だらけの三国志演義!! 『恋姫†無双』シリーズ
『一騎当千』の大ヒットを受け、三国志の登場人物をモデルにしたヒロインが登場するさまざまな作品が製作されるようになりましたが、
この『恋姫†無双』シリーズはPC向けアダルトゲーム『恋姫†無双 〜ドキッ☆乙女だらけの三国志演義〜』を原作として製作されたアニメシリーズです。三国志の世界を舞台にしてはいますが、登場人物はアニメ版の主人公となる関羽雲長を始め、そのほとんどが少女キャラとして登場。
また、彼女たちには姓名・字の他に「真名(まな)」という真に心を開いた相手にのみ呼ぶことを許される本当の名前があるという設定も、アダルトゲーム原作らしいポイントです。
- 石川克世によるオススメ度:★★★☆☆
三国志に登場する武将がほぼすべて少女キャラとして登場するなど、好みの分かれそうな作品です。「萌え」系作品の好きな方には特にオススメしたいタイトルです。
日中合作の三国志アニメ『最強武将伝 三国演義』
2010年4月から翌2011年3月にかけ、テレビ東京系で全52話にわたって放送された『最強武将伝 三国演義』は中国のアニメ製作会社アニメ製作会社「北京輝煌動画」と日本のフューチャー・プラネット株式会社による三国志演義のアニメ化作品です。
この作品最大の特徴は、三国志演義をベースとして「桃園の誓い」から晋による全土統一までを描き切っていることです。
多くの「三国志」アニメが、エピソードを切り出したダイジェストであったり、「赤壁の戦い」までしか描いていないなか、三国志演義の概要をこの一作で知ることができるという意味で貴重な作品といえるでしょう。
しかし一方で全52話に三国志演義のすべてのストーリーを詰め込んでいることから全体的には展開が早く、カットされたり省略されているエピソードが多々あることも否めません。
- 石川克世によるオススメ度:★★★★☆
三国志を最初から最後までアニメで観てみたい!! という人にオススメしたい作品です。
劉備役の船越英一郎や曹操役の鶴見辰吾など、専業の声優以外の有名俳優やタレントが数多くキャスティングされているのも、この作品の見どころのひとつと言えるでしょう。
三国志ライター 石川克世の独り言
残念ながら、2017年現在「三国志」全体を包括的に描ききったアニメ作品というものは殆ど存在していません。
やはり、壮大なボリュームを誇る原作(史実・演義ともに)をその全てを余すところなく描くというのは、なかなか難しいのかもしれませんね。さて、あなたが観てみたい、と思った「三国志アニメ」はありましたか?
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