愛されすぎてことわざになった人・張飛(ちょうひ)編

2018年1月15日


 

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张飞讨债(張飛が借金を取り立てる)――すさまじく恐ろしい剣幕。

 

中国には三国志の登場人物にちなんだことわざがたくさんあります。

ことわざを見ていくと、その人物がどういうイメージで

とらえられているか見えてきて、面白いですよ!

 

本日は三国志の蜀(しょく)初代皇帝劉備(りゅうび)の弟分、

暴れん坊の張飛翼徳(ちょうひよくとく)編。

※正史ではあざなが「益徳(えきとく)」ですが、私はほとんど演義ベースの

話しかしないので「翼徳」と呼びます。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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張飛の脳筋ぶりに注目したことわざ

 

 

★张飞扔鸡毛(張飛が鶏の羽を投げる)――力があっても使いにくいことのたとえ。

 

この言葉の由来は民間説話で、張飛がスーパー軍師の諸葛亮(しょかつりょう)

力比べをしいたという話からきています。

若輩者の諸葛亮が劉備に大事にされていることが面白くない張飛

諸葛亮に力比べを挑んだそうな。諸葛亮は余裕の表情で勝負をうけ、

あまつさえこんなことを言ったとさ。「私はほんっと力持ちなんで、

ちょっとハンデをあげないといけませんね。物を遠くまで投げ飛ばした

ほうが勝ちという勝負にしましょう。私は重たい石を投げますが、

あなたは軽い鶏の羽を投げるだけでいいですよ」

さて、投げ比べ競争の開始です。諸葛亮が石を投げると、少ししか飛ばず、

とても力持ちのようには見えません。続いて張飛が鶏の羽を投げると、

羽はふわふわと舞うばかり、張飛の足下にひらりと落ちましたとさ。

このことわざの使い方としては、「わたしTOEICスコア990点なのに、

会社には週に一回程度英語のメールが届くだけ。いつもお茶くみとコピーだよ。

《張飛が鶏の羽を投げる》だね。トホホ」

 

★张飞拆桥(張飛が橋を壊す)――武勇はあっても知恵がないことのたとえ。

 

これは曹操(そうそう)軍からの追撃を食い止めるために

張飛が長坂橋(ちょうはんきょう)に立ちはだかって曹操軍を

脅しつけて進軍をいったん止めさせた後、橋を壊してから退却したという

お話にちなんだことわざですね。劉備が「橋を壊してしまったのは惜しい。

壊さずにいれば曹操は伏兵があるかもしれないと疑って追撃を

ためらっただろうに」と残念がってました。このことわざの使い方は

「この缶詰、どうして缶切りで開けたの? 裏側に手で開けられるプルタップが

ついてたのに。《張飛が橋を壊す》ようだね……」

 

張飛のおっかなさに注目したことわざ

 

★张飞贩私盐(張飛が闇取引の塩を売る)

――おっかなくて誰も摘発できないことのたとえ。

 

張飛はすぐ暴れるおっかない人、というイメージがあるのでしょう。使い方は……

子供どうしのヒソヒソ話「お母さんダイエット中だといいながらお菓子を

モリモリ食べてるけど《張飛が闇取引の塩を売る》」

 

★对着张飞骂刘备(張飛の前で劉備をののしる)

――わざわざ怒らせるようなことを言うたとえ。

 

張飛は劉備の弟分。兄貴の敵は天が許してもこの張飛が許すまじ、

というイメージからできたことわざでしょう。使い方

「就職が決まった報告に行ったら、ゼミの先生が『まあ就職なんかしても

金と地位が手に入るだけですからね』って小馬鹿にするんだよ?

《張飛の前で劉備をののしる》な!」

 

波動の時代を生きた先人たちから学ぶ『ビジネス三国志

 

 

三国志ライター よかミカンの独り言

 

張飛については、脳筋、暴れん坊、というイメージなんですね。

 

「张飞使计谋(張飛が計略を使う)――大胆な中にも繊細さがある」

 

なんて

ことわざもあったのですが、脳筋暴れん坊ことわざが圧倒的に多かったです。

「ことわざ」としてご紹介しましたが、実はこれ、「歇后語」といいまして、

前の句と後の句が一セットになった言葉遊びです。

「張飛が計略を使うとかけまして、○○と解きます。その心は、

大胆な中にも繊細さがあります」というようなノリです。

「○○と解きます」の部分がないから、とんち要素はありませんが、

三国志キャラのイメージを使って他のことをたとえるというのは

よくできた言葉遊びですよね。

 

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よかミカン

よかミカン

三国志好きが高じて会社を辞めて中国に留学したことのある夢見がちな成人です。 個人のサイトで三国志のおバカ小説を書いております。 三国志小説『ショッケンひにほゆ』 【劉備も関羽も張飛も出てこない! 三国志 蜀の北伐最前線おバカ日記】 何か一言: 皆様にたくさん三国志を読んで頂きたいという思いから わざとうさんくさい記事ばかりを書いています。 妄想は妄想、偏見は偏見、とはっきり分かるように書くことが私の良心です。 読んで下さった方が こんなわけないだろうと思ってつい三国志を読み返してしまうような記事を書きたいです!

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