曹丕はけっこうグルメだった!?蜀の食文化にも食いつく!

2018年11月13日


 

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曹植を任す曹丕

 

弟・曹植(そうしょく)を生涯にわたってド突きまわしたというイメージの強い魏の初代皇帝曹丕(そうひ)ですが、彼は結構風流人。弟の方が優れていたと言われているものの詩文の才に長けており、「文章経国」を唱えて漢民族の文化人としての道を切り開きました。そんな曹丕ですが、どうやらグルメな面もあったらしく、今は散逸してしまった書物にチラホラそのような記録が残っているのだとか。今回は、曹丕のグルメエピソードを少しご紹介したいと思います。

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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孟達、魏に逃げる

魏に逃げる孟達

 

関羽(かんう)が呉と争っていた際、関羽から応援要請を受けた劉封(りゅうほう)孟達(もうたつ)。しかし2人は「ちょっと自分たちのところで手いっぱいなんで…」と軍を動かさず…。結果的に関羽は呉軍と魏軍から挟撃されて大敗。捕らえられた関羽は斬首されてしまいます。このことを聞いた劉備(りゅうび)は怒髪天。劉封と孟達を激しく怨みます。

 

劉封は劉備が義父であったためにその怒りから逃れることよりも名誉を挽回したいと考えたようですが、劉備の怒りに恐れおののいた孟達の方は魏に逃げることを決意。曹丕は孟達をあたたかく迎え入れたのですが、その厚遇ぶりは他の魏の臣下たちは不満げな様子…。しかし、そんなことはどこ吹く風。曹丕は孟達との関係を深めていったのでした

 

 

 

曹丕、孟達から蜀の食文化について聞き出す

曹丕、孟達から蜀の食文化について聞き出す

 

曹丕はなぜ孟達をそれほどまでに厚遇したのでしょうか?

 

 

それはおそらく蜀の事情を事細かに聞き出すため、そして、孟達と同じように「蜀から逃げたい…」と考えている者たちに「魏でなら俺も大切にしてもらえるかも!」と思わせるためでしょう。しかし、蜀の事情を聞くばかりではお互いに信頼関係を築くことはできないでしょう。そのために曹丕は孟達と様々な話題について語らっていたようです。その中でも曹丕が特に食いついた話題は蜀の食文化だった模様

 

当時の蜀は中原と異なり、平らな土地が少ないために農地を開発するのも大変でした。その上塩分を多く含む土壌であったために農作物の生産にはあまり適していなかったようです。農作物をうまく育てられない地では牧畜の方に力が傾けられることになります。しかし、農作物がうまく育たない地の草を食べて育った動物たちのお肉はあまりおいしくなかったのだそう。

 

孟達は曹丕と一緒に食事をした時に「中原の肉は蜀の肉と違って焼くだけで十分おいしいですね!」とでも言ったのでしょう。そしてきっと曹丕は「蜀では肉をどのように料理するのかね?」と孟達に尋ねたのだと思われます。「蜀では少ない肉のうまみを閉じ込めるために飴蜜でコーティングしているんですよ。」と答えたであろう孟達。

 

肉に蜜を…?ちょっと不思議な蜀の肉の調理法に驚く曹丕。一体どんな味がするんだろうか…?肉は甘く味付けしてもうまいのだろうか…?そんなことを悶々と考えながら曹丕は一晩を明かしたのでしょう。

 

まだ漢王朝で消耗してるの?

まだ漢王朝で消耗しているの  

 

 

他の人にも話したくなっちゃった曹丕

他の人にも話したくなっちゃった曹丕

 

蜀で食べられているという蜜でコーティングされた肉料理のことがどうにも気になって仕方がなかったらしい曹丕は朝廷の臣下たちに「孟達が言ってたんだが…」と例の蜀の料理について次のように語ったそうな。「蜀の豚やカモはどれも味が薄いために蜀の人々は料理をする際には飴蜜でコーティングすることを好むそうだ。」

 

このエピソードは『太平御覧(たいへいぎょらん)』などの書物に見られるのですが、臣下たちの反応については特に言及されていません。「では1つ試してみましょうか!」となったのか、「そんなものがうまいわけがありませんな!そんなものを食べなければならないなんて蜀人は可哀想ですな!」となったのか。それとも皆反応に困って静まり返ってしまったのか…。

 

実は、この蜜で肉をコーティングするという調理法は現代では北京ダックの調理法として知られています。油をかけながら焼くことによって皮がパリパリになると思われがちな北京ダックですが、実はあのパリパリ感の正体は蜜。蜜でコーティングして数日間干したアヒルを焼くことによりうまみがしっかり閉じ込められたおいしい肉を楽しむことができるのです。もし曹丕がこの料理を知ってしまったら毎日のように食べたいと願ったことでしょう。

 

三国志ライフ

 

 

三国志ライターchopsticksの独り言

三国志ライター chopsticks

 

曹丕は蜀の蜜をコーティングした肉料理についてどのような味を想像したのでしょうか?きっと色々なものを食べてきた曹丕ですら今まで食べた料理を思い浮かべながら未知のその味に様々な思いを巡らせたことでしょう。甘いのかな…?でも焼いたらやっぱり甘さは飛ぶのかな…?そんなことが気になって仕方がなかったであろう曹丕はきっととてもグルメな人だったのでしょうね。

 

 

民間伝承の三国志

 

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清朝考証学を勉強中。 銭大昕の史学考証が専門。 片田舎で隠者さながらの晴耕雨読の日々を満喫中。 好きな歴史人物: 諸葛亮、陶淵明、銭大昕 何か一言: 皆さんのお役に立てるような情報を発信できればと思っています。 どうぞよろしくお願いいたします。

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