はじめての列子
麒麟がくる特集




はじめての三国志

menu

春秋戦国時代

戦国策【楚策】女心を利用して窮地を切り抜けるの巻




戦国七雄の地図

 

戦国時代、中国大陸の南に大きく陣取っていた大国・()

他の国とは異なる気候と風土を持つ楚では独自の文化が築かれており、そこに住む人々も曲者(くせもの)揃いだったようですね。

今回はそんな曲者たちのエピソードや動かした縦横家(じゅうおうか)のエピソードを『戦国策(せんごくさく)』よりご紹介しましょう。

 

関連記事:楚の荘王が残した「鳴かず飛ばず」【五分でわかる春秋戦国時代の名言】

関連記事:子玉(しぎょく)って誰?三国志にも名前が出る楚の猛将・成得臣

 

 

アイツは虎の威を借る狐!

豹と黒豹

 

楚の宣王が群臣に次のように尋ねました。

 

「北の六国は我が国の宰相・昭奚恤(しょうけいじゅつ)を恐れているらしいが、実際のところはどうなのかね?」

 

群臣たちが答えに窮して口をつぐむ中、江乙(こうおつ)が答えます。

 

「昭奚恤は虎の威を借る狐ですよ。

狐が獣の長だと偽って虎を自分の後ろに歩かせ、獣たちが逃げ出す様子を見せて(だま)しているのと同じです。

六国が昭奚恤を恐れているのは、実際のところ宣王さまの軍勢を恐れているのです。

獣たちが虎を恐れたのと同じです。」

 

このエピソードは江乙が昭奚恤を大したことの無い奴なんだと楚王に力説している話なのですが、

「虎の威を借る狐」の部分ばかりがひとり歩きして有名になっていますね。

 

 

王のお気に入りの夫人に取り入る

 

あるとき楚の懐王(かいおう)連衡策(れんこうさく)を説いて回る秦の臣・張儀(ちょうぎ)を捕らえて殺そうしました。

このことを知った楚の臣である靳尚(きんしょう)は、張儀を助けるために懐王に口添えします。

 

しかし、それだけで懐王が張儀を許してくれるとは思えず、その頃懐王がかわいがっていた夫人・鄭袖(ていしゅう)に次のようにささやきました。

 

「張儀がこのまま捕らえられていたら、秦王が楚に美女を寄越して張儀を解放するようにはからうでしょう。

秦の後ろ盾がある美女が楚に送られてきたら、懐王さまはあなたのことを忘れてしまうでしょうね。」

 

このことを聞いて恐れを抱いた鄭袖はすぐに懐王を説得して張儀を釈放させたのでした。

王の愛する夫人にまで手をまわす靳尚の周到さには脱帽ですね。

 

孔子の愉快な弟子たち『はじめての孔門十哲』
孔門十哲

 

あの夫人、実はヤバい奴だった…

 

臣下に脅されていた夫人・鄭袖ですが、なかなかの人物だった模様…。

そのことが窺い知れるエピソードも『戦国策』に記されています。

 

ある日、魏から美女が送られてきます。

その美しさを見てすぐに美女を気に入った懐王。

 

この様子を見た鄭袖は、美女に目をかけてそれはそれは可愛がりました。

 

美女をかわいがる鄭袖を見て

「私以上に美女を可愛がっているなんて鄭袖は孝子・忠臣の(かがみ)だなぁ」とご満悦。

 

鄭袖は王が自分のことを嫉妬しない良い女だと思い込んでいると知るや否や、美女に対して次のようにささやきました。

 

「懐王さまはあなたを大変可愛がっていますが、どうもあなたのそのお鼻が嫌いみたいです。

これから懐王さまに会うときはその鼻を隠しなさい。」

 

そのアドバイスを真に受けた美女は懐王の前では鼻を隠すとうになりました。

 

懐王は美女のその様子を訝しんで鄭袖に対して

「あの美女はなぜ私に会うと鼻を隠すのだろうか?」

と相談します。

 

すると、鄭袖は次のように答えたのです。

「懐王さまのにおいをかぐのが嫌で鼻を隠しているのだそうですよ。」

このことを聞いた懐王は「不届き者め!」とブチギレて、すぐに美女を鼻をそぎ落とす残酷な刑に処してしまったのでした。

 

女性といえば嫉妬深いイメージですが、まさにイメージ通りの鄭袖。

でも、彼女は普通の女性より1枚も2枚も上手だったようですね。

懐王にも美女にも自分の嫉妬心を微塵も見せず、うまいこと立ち回って嫌いな奴をパパッと排除する…。

 

なんだか妙に手馴れているというか…あまり深く考えない方が良さそうですね。

 

三国志ライターchopsticksの独り言

三国志ライターchopsticksの独り言

 

曲者揃いのイメージが強い楚ですが、『戦国策』を読んでみると懐王の夫人・鄭袖がダントツで曲者だと感じられました。

いつの時代も女性というのは恐ろしい…と思ってしまいます。

楚策には他にも色々と面白い話があるので、皆さんも興味があれば『戦国策』をめくってみてください。

正史では見ることができない戦国時代のエピソードを垣間見ることができますよ。

 

関連記事:キングダム 楚の宰相、春申君の最後が残念すぎる

関連記事:項翼(こうよく)は実在した?彼は項羽の父なのか?【キングダム考察】

 

■古代中国の暮らしぶりがよくわかる■

古代中国の暮らし図鑑  




chopsticks

chopsticks

投稿者の記事一覧

清朝考証学を勉強中。
銭大昕の史学考証が専門。
片田舎で隠者さながらの晴耕雨読の日々を満喫中。

好きな歴史人物:
諸葛亮、陶淵明、銭大昕

何か一言:
皆さんのお役に立てるような情報を発信できればと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

関連記事

  1. 秦王政の疑心を見抜いていた二人の人物:尉繚と王翦
  2. 孟嘗君 【食客には無駄な人材はいない!!】孟嘗君の脱出劇が名言として登場…
  3. 【キングダム】龐煖(ほうけん)が戦死する理由を史実をもとにネタバ…
  4. 蒙毅(もうき)ってどんな人?趙高に恨まれて悲劇の最期を迎える文官…
  5. 燃える本能寺 【織田信長暗殺】本能寺の変の黒幕は長曾我部元親?
  6. 【キングダム好き必見】漫画をより面白く読める!始皇帝と秦帝国の秘…
  7. 飛信隊はどのような構成だったの?史実をもとに強さも考察
  8. 孟嘗君 【戦国四君の食客の名言】人間関係を達観した馮驩の名言

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

  1. 日本に目指さした孫権
  2. 織田信長
  3. 諸葛瑾と幼い頃の孔明
  4. 曹丕

おすすめ記事

  1. 袁術はそんなに悪くない、自叙伝で袁術を庇っていた曹操
  2. 【時代の先導者】父に嫌われていた孟嘗君・田文は○○がきっかけで父の跡を継ぐことになった 孟嘗君
  3. 裴松之(はいしょうし)の神編集!異論反論ブチ込みまくりで三国志が激アツに!
  4. 天才軍師・黒田官兵衛の最後の戦いまで神ってる 黒田官兵衛
  5. 近藤勇の池田屋事件での活躍とは? 幕末極悪な尊攘派志士と正義の新選組
  6. 曹操の妻はどんな人達だったの?13人を紹介 Part1 環夫人

三國志雑学

  1. 曹操
“はじめての三国志150万PV" はじめての三国志コミュニティ総合トピック
“広告募集"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. 三国夢幻演義バナー 龍の少年
  2. 馬にまたがって戦う明智光秀
  3. 水月観音像(仏像)

おすすめ記事

異議ありと叫ぶ司馬懿 司馬懿(しばい)ってどんな人?実は列伝が無い孔明のライバル 典韋にボコボコにされる成廉 典韋と弁慶の共通点を探してみたら意外な事実が判明!? 兵法三十六計(借屍還魂)の古今東西 【衝撃】秦の始皇帝陵は実は完成していなかった!壮大な地下宮殿と兵馬俑の謎 関羽の一騎当千 【保存版】関羽が生涯に斬った主な敵将一覧 山頂に陣を敷いた馬謖 馬謖が山上に布陣しなければ第一次北伐は成功したの? キングダム584話ネタバレ予想vol2鄴攻めは覚醒者を集める実験場だった! 于禁を虐める曹丕 于禁と共に関羽に降伏した浩周と東里袞のその後とは?

はじさん企画

“if三国志" “三国志とお金" “はじめての漢王朝" “はじめての列子" “はじめての諸子百家" “龍の少年" “読者の声" 袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志"
“水滸伝"

“三国志人物事典"

PAGE TOP