魏延
姜維特集




はじめての三国志

menu

三国志の雑学

関羽の逸話は民間伝承の影響でキャラがブレた?死後の怨念がド迫力すぎる件

関羽の呪いで殺される呂蒙




関羽は神様

 

関羽(かんう)といえば、豪放で冷静沈着、忠義あふれる英雄としての逸話に満ちています。

 

曹操を逃す関羽

 

骨の手術を受けながら平然と囲碁を打っていたとか、曹操(そうそう)に仕えた時の贈り物をことごとく返却したとか、日本の武士道の逸話としても違和感のないような、カッコいい話ばかりが揃っていますね。

 

関羽の死

 

ところがそんな関羽にカッコよさを感じながら『三国志演義(さんごくしえんぎ)』を読み進めていくと、どうにもおさまりの悪い逸話にぶつかってしまいます。本稿のライターである私自身も、初めて『三国志演義』を読んだ少年時代に、あまりの異色シーンすぎて戸惑った記憶が強い場面。

 

呂蒙のお見舞いにかけつける陸遜

 

呂蒙(りょもう)の死」の逸話です。

 

自称・皇帝
当記事は、
関羽 逸話」
などのワードで検索する人にもオススメ♪

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:関羽が悪人扱いされない3つの理由

関連記事:呉の呂蒙は死の原因は病気だった?関羽の呪いは関与してない?

 

 

いろいろな意味でドンビキ!呂蒙をたたり殺す関羽の怨霊の理不尽さ!

呂蒙

 

荊州(けいしゅう)争奪戦で関羽が敗死した後、その一番の功績者である呂蒙(りょもう)孫権(そんけん)の宴席に呼ばれた時に、事件は起こります。

 

呂蒙

 

とつぜん形相の変わった呂蒙。孫権のことを「アオヒゲネズミ野郎!」と罵り、上座を奪ってさんざん暴れた後、「お前ら呉を必ず呪い滅ぼしてくれるわ! 私のことがわかるか! きさまらに殺された関羽雲長だ!」と叫んで昏倒。

 

呂蒙が病気になり心配する孫権

 

驚いた近臣たちが駆け寄ると、倒れた呂蒙は体の毛穴から血を流して絶命していた、とのことでした。この逸話、どちらかといえばリアリティ路線であったはずの『三国志演義』の中では、かなり異色な場面である上に、そもそも関羽のキャラがブレちゃっています。

 

関羽の呪いで殺される呂蒙

 

生前はあれだけ公平で冷静だった関羽が、いくら自分を殺した敵だからといって、呂蒙を怪しげな魔力で惨殺するというのは腑に落ちない。たしかに呂蒙は関羽を滅ぼす際にいろいろな計略を仕掛けましたが、関羽のことを畏敬していたがための用意周到な作戦という話であって、そんなに汚い手を使ったというほどでもない。

 

関羽の呪いでなくなる孫皎(そんこう)

 

そもそも呂蒙をイジメ殺すなら、命令者の孫権や、裏で手伝っていた陸遜のほうを呪ったほうが効率的なのに、目先の中間管理職である呂蒙に襲い掛かるというのも、関羽の怨霊にしては、なんだか「しょぼい」。

 

酒癖が悪い孫権

 

トドメは、孫権のことを「アオヒゲネズミ野郎」とは。

 

激怒する関羽

 

関羽にしてはずいぶん教養のない言葉遣いというか、小悪役っぽいというか。「孫権のことをアオヒゲネズミ野郎って、関羽どころか、中年をすぎたオトナは普通言わないよな」と、どうしても思ってしまいます。

 

 

少年時代のライターが採用した解釈は、「関羽と『関羽の怨霊』は別キャラ」説!

呂蒙を慰める孫権

 

三国志演義』の呂蒙死亡シーンを読んで違和感を受けた少年時代の私、なんとかこの場面を「無理なく」解釈しようと、ずいぶん頭をひねりました。

 

孔明 東南の風

 

赤壁の戦いにおける諸葛亮孔明の「風向きを変えた」祈祷も、「季節の変化を予測していたのだ」という合理的な解釈が採用されている昨今。呂蒙の死亡シーンにも、何か関羽のキャラ属性を殺さない解釈はできないものかと。

 

曹操の頭痛の原因は関羽?

 

そして思いついた結論は、こうでした。「呂蒙を殺したのは、きっと関羽の霊ではなくて、関羽をかたった低級なB級浮遊霊に違いない!」と。言われてみれば、「全身の毛穴から血をふいて絶命!」というのも、ハリウッドB級映画のチープな特撮で演出すればシックリきそうな描写ですし。

 

「アオヒゲネズミ野郎!」という罵りコトバも、チープな特撮のSFホラーの中で、悪霊が英語で「ユー アー ブルーベアード ラット!」と絶叫しながら襲ってくるシーンだと思えば、セリフとしてしっくりきますね。

 

「あれは関羽と偽った低俗ゴーストの仕業で、その後、悪霊はあの世でホンモノの関羽の善霊にワイヤーアクションで退治され、呂蒙の霊と関羽の霊も仲直りしたに違いない!」と、少年時代の私は自分を納得させたのでした。

 

 

まじめに考察すると、このキャラ崩壊は民間伝承を無理に合体させたせいらしい

五虎大将軍の関羽

 

呂蒙の死亡シーンの違和感について好きに語らせていただきましたが、日本の作家さんも似たような違和感は覚えている様子。

 

朱然に後を引き継ぐ呂蒙

 

三国志演義』にほぼ忠実な描写をする吉川英治も、呂蒙の死亡シーンについては、「関羽の死後、間を置かず呂蒙が病没したため、巷では怪談のウワサが立った」というスタンスで描いています。

 

三国志ライター YASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

実は、ここで吉川英治(よしかわえいじ)が「呂蒙の死がタイミングよすぎたために怪談が生まれた」と言っているのが、この逸話の背景説明としては一番アタリの模様。関羽の亡霊が呂蒙を呪い殺したというのは、正史とは関係のない、民間伝承で生まれた逸話のようなのです。

 

羅貫中と関羽

 

それが有名だった為に、『三国志演義』の作者が無理に取り入れてしまったものと思われます。無理に取り入れたために、関羽のキャラにそぐわない荒唐無稽な場面が挟まれたという次第でした。

 

実際、呂蒙の急死は呪いでもなんでもない「たまたま」のタイミングだったということでしょうし、個人的にはあの世で関羽と呂蒙には、どこかで仲直りしていてほしいもの、とも思うのでした。

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:関平と関羽の微妙な関係性、正史と三国志演義では異なる二人の間柄

関連記事:関羽の実績が少ない理由は美髯公の性格が最悪だったから?

 

【昔の人の二次創作 民話の中の三国志】
民間伝承の三国志

 




YASHIRO

YASHIRO

投稿者の記事一覧

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。

好きな歴史人物:
タレーラン(ナポレオンの外務大臣)

何か一言:
中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

関連記事

  1. 趙雲の妻、孫夫人がお茶目すぎる!ほんのいたずらが夫を殺す羽目に!…
  2. 司馬懿と魏延 驚愕!実は名築城家でもあった魏延の意外な才能!
  3. 関帝廟 関羽 関帝廟ガイド~知っておきたい、正しい「基本」の参拝方法
  4. 関羽が殺されキレる劉備 劉備の養子・劉封(りゅうほう)はなぜ殺されねばならなかったの?
  5. 法正と劉備 劉備を唯一なだめられた、法正(ほうせい)ってどんな軍師?
  6. 諸葛瑾 諸葛恪は父諸葛瑾に期待されていなかった?
  7. しっかりと仕事をこなす華歆(華キン) 司徒とはどんな役割?具体的に何をする?チベットでは今も存在する司…
  8. 空を飛ぶスーパーマン袁術 理屈は確かにそうだけど・・中2病的な袁術の皇帝即位の理由とは?

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

  1. 司馬昭と司馬師
  2. 山頂に陣を敷いた馬謖
  3. 三国志の計略と孔明
  4. 曹操を裏切る陳宮
  5. キングダム54巻amazon

おすすめ記事

  1. 【5分で分かる】意外と知らない孫呉滅亡のきっかけ 呉の孫権
  2. 孫策涙目になるほどのフルボッコ!?小覇王をコテンパにした陳登
  3. 【お知らせ】はじめての三国志メモリーズに龐徳を追加しました はじめての三国志からのお知らせ バナー
  4. なんと○○を食べていた!三国志の驚異の食生活 曹操と羊と蚊
  5. 中国古典によく出てくる「鼎」って何? 鼎(かなえ)
  6. もしも、楊脩が殺害されず曹操の軍師になっていたら三国志はどうなる? 問題を解決する楊脩

三國志雑学

  1. 魏の曹操孟徳
  2. 海賊時代の孫堅
  3. 諸葛孔明
“はじめての三国志150万PV" “はじめての三国志Youtubeチャンネル" “広告募集" “誤字・脱字・誤植などの報告フォーム"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. 卞夫人 曹操
  2. 亡くなる卑弥呼
  3. 法正と夏侯淵
  4. 于禁、曹操、青州兵
  5. キングダム52巻

おすすめ記事

魏延の謀反を察する孫権 諸葛亮が魏延に言った「反骨の相」ってどんな頭の形なの? 簒奪する王莽 王莽(おうもう)ってどんな人?中国史で最初に帝位を譲りうけた人物 【シミルボン】異議ありまくり!三国志の時代の裁判風景 ミニチュアで遊ぶ董卓 董卓が行った長安遷都とはどんなこと?長安遷都の意図は? 実子劉禅(りゅうぜん)と養子劉封(りゅうほう)の明暗 関羽 関羽が打った囲碁は、今の囲碁と同じものだったの? 項翼(こうよく)は実在した?彼は項羽の父なのか?【キングダム考察】 劉禅と孔明 【シミルボン】孔明も騙した?蜀に似合わないテキトー人間 何祇の人生

はじさん企画

“if三国志" 英雄の死因 “三国志とお金" “はじめての漢王朝" “はじめての列子" “はじめての諸子百家" “龍の少年" “読者の声" 袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
英雄の武器 編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志" 英雄の墓特集 誤字・脱字・誤植などの報告フォーム
“水滸伝"

“三国志人物事典"

“はじめての三国志PR募集陸遜"
PAGE TOP