劉備はなぜ人気なのか?その裏には「儒」の陰があり?

2020年6月26日

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kawauso編集長(石原 昌光)

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kawauso編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務めるほか、紙媒体やWebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者・おとぼけ(田畑 雄貴)

コンテンツ制作責任者

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月に「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感していただけることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。

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曹操に仕える陳宮

 

三国志には数々の武将たちが出てきますが、皆さんはどんな武将が好きですか?

曹操そうそう)、ふむ、確かに有能で革命的な働きをしていますね。

関羽の降伏を説得しにいく張遼

 

関羽(かんう)、分かります、分かります三国志演義の関羽は本当に義の人でカッコイイですよね。え、トウ(とん)……もしや貴方、蒼天航路(そうてんこうろ
)
愛読者では?と、様々な人物が挙げられると思いますが良く正史三国志を見た人に「劉備(りゅうび)がなぜ人気なのか分からない」と言っているのを見かけました。今回はこの劉備の人気について考えてみましょう。

 

どうして劉備は人気なのか?

悪役の曹操、正義の味方の劉備

 

まずやはり、三国志演義の影響が大きいと言わざるを得ません。三国志演義では劉備は主人公であり、また仁徳(じんとく)に溢れた聖人君子(せいじんくんし)です。多くの人々に優しく、思いやりに溢れた仁君が志半ばで倒れていくことに涙した人も多いでしょう。

二刀流の劉備

 

何を隠そう筆者も三国志演義、横山三国志から入ったので「劉備は良い人だな」「関羽はかっこいいな」「曹真だっさーい」と思っていて、特に最後は今言われたら過去の自分でも三時間は拘束して曹真の凄さを言い聞かせていたことでしょう。

 

法正と劉備

 

ともかく日本での三国志というと三国志演義ということもあり、主人公に据えられた分かりやすい人格者の劉備が人気なのはある意味正当と言えます。

 

日本での三国志の面白い所

悪の正義バットマン風 曹操

 

ただ三国志演義の影響から悪役化されることが多い曹操ですが、意外と三国志演義だけを見ていても曹操が嫌いという人は少なく、そういった「悪の魅力」に惹かれるという人も多くいます。

曹操から逃げ回る劉備

 

逆に三国志の本場である中国では、近年では評価が見直されてきたとはいえ、長い間曹操は嫌われている悪役でしかありませんでした。この違いについて少し考察してみましょう。

 

曹操はどうして嫌われたのか?

曹操の再度仕官の勧誘を断る陳宮

 

曹操が嫌われた経緯として、長らくあった儒教(じゅきょう
)
の思想が大きく影響していたと思われます。孔子(こうし)の子孫処刑の件ですね。

孔融を処刑する曹操

 

これは儒家の人たちにとって認められない所であり、目上を敬うべきという思想からすれば漢王朝から権威を奪った、実際には曹操は漢王朝に一番敬意をはらって貢献しましたし、息子の曹丕(そうひ)も極めて穏やかに禅譲(ぜんじょう
)
を受けたのですが、それでも儒家の思想から大きく離れた行動であったのでしょう。確信的すぎたその行動が受け入れにくかったのかもしれません。

 

曹操の再評価

若い頃の曹操について語る袁準

 

そんな曹操が中国で再評価されたのは、実は近代になってからです。魯迅(ろじん
)
を始めとした知識人たちが近代化の失敗の背景に儒教思想への偏りがあったと指摘したことで、曹操のあくまで合理的な行動が見直されてきたのです。

 

毛沢東(もうたくとう)

 

特に再評価に熱心だったのが毛沢東(もう たくとう
)
で、彼の指導によって曹操の再評価は一気に進みました。皮肉なことに儒教思想への反発から曹操が評価されることもあるそうです。

劉備人気の陰に曹操あり?

三国志(歴史)を誇張しまくる羅貫中 ver2

 

ここでちょっと考えてみたいのが、劉備の人気の理由に曹操への反感があるからでは?という考え。特に曹操が悪とされた時代に、何よりもその反感を煽るためには対抗勢力を作ることでしょう。

 

三国志(歴史)を誇張しまくる羅貫中

 

そこで漢王朝の正当後継者(あやしい)劉備を良い人物、理想的な人物とすることで人気を出した結果、曹操がどんどん嫌われ、そして反するように劉備の人気が上がって行ったのでは?と筆者は思います。

 

日本での曹操人気

関羽が大好きすぎる曹操

 

さて劉備の人気が出るのは正統派、主人公扱いが多いということもありますが、曹操の人気も結構あると思います。その背後にあるのは「人材登用」というポイント。

関羽が大好きすぎる曹操 ver2

 

有能であればどのような人物でも、身分差があっても重用する曹操の姿に、この人にならついていきたいと思わせる魅力を感じる人も多いのではないでしょうか。

桃園の誓いをする劉備、張飛、関羽

 

同時に劉備もまた、関羽や張飛(ちょうひ)などの一癖ある人物たちを仲間にしていくその姿を好ましいと思われ、日本でも人気が出たのかもしれませんね。

 

否定しないこころ

食客に成り下がる劉備

 

個人的には黒さを感じさせる劉備というか、世渡り上手な劉備もまた、聖人君子な劉備と合わせてとても好きです。個人的に、正史ではああだ、歴史ではこうだ、と言うのではなく、楽しむことが重要だと思います。

太行山に入り山賊になる劉備三兄弟

 

横山三国志を見た時、吉川三国志を見た時、正史を見て驚いた時、どれも知らないことを知る楽しさがありました。正史の劉備は三国志演義の劉備とはイメージが大きく違いますが、それで三国志演義の劉備のイメージがそこなわれたのではなく、新しい魅力を知った喜びがありました。

劉備の黒歴史

 

なので「三国志演義ではこうだけど正史ではひどいんだよ!」なんて言わずに、まだ知らない人に新しい魅力を広めていって欲しいと思います。新しい知識を得る時、人は本当に楽しいのだと思いますから。

 

三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

もしも過去の筆者と出会って「曹真ってだっさいよね」と言われたら過去の自分を三日は拘束して曹真の凄さを言い聞かせることでしょう。そこまで苛烈になる必要はありませんが、その一面だけしか知らないのは寂しいことです。

 

そしてそこだけで三国志を知ったようになってもつまらないことです。面白いことはできるだけ多くの人と語り合いたい、だからこそ。三国志の楽しさ、もっともっと伝えていきたいと思いました。

 

文:セン

参考文献:蜀書先主伝 横山三国志など

 

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民間伝承の三国志

 

 

 

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両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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