キングダム雑学「秦にニートは1人もいない」その理由とは?

2020年8月19日

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kawauso編集長(石原 昌光)

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kawauso編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務めるほか、紙媒体やWebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者・おとぼけ(田畑 雄貴)

コンテンツ制作責任者

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月に「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感していただけることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。

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張良と劉邦が楚漢戦争のゲームをプレイ

 

大人気春秋戦国時代漫画キングダム。

7国でも最強の軍事力を持つ秦ですが、その庶民の暮らしはスポットが当たりません。

法家の厳しい厳罰主義が行き届いているせいで犯罪も少なく能力主義な秦ですが、一方で庶民にとっては暮らしにくい土地でした。

そもそも、秦に生まれるとニートになる事が出来ないのです。

 

キングダム雑学:分異の令で強制的に家族と引き離される

 

秦では商鞅の変法により、君主への権力の集中と無駄の排除、人民の勤労意欲を限界まで搾り取る全体主義的な政策が取られました。

その中でも顕著な例が、分異(ぶんい)の令と呼ばれるもので、成人男性が2人以上いる家庭では、強制的に分家を行うというものです。

元々、分異の令は一世帯に2人以上の成人男性がいる場合、人頭税を2倍にするというものでしたが、第二次変法により、余計に厳しくなりました。

疫病が蔓延した村と民人

 

出て行くのが長男か次男かは書かれていませんが、家を継ぐ長男が分家するとは考えにくく、強制的に家を出るのは次男なのでしょう。

可哀想ですが、親のスネをかじって生きようにも、それが出来ないのが分異の令なのです。

 

キングダム雑学:住む場所は自分で決められない

左遷される劉邦

 

「強制的に分家されても、家の近くに家を建てて実家に通えばいいじゃん」

そう考えたあなた、残念ながら秦の法はそんな甘いものではありません。

 

分異令で強制的に分家されると、あなたが次に住む場所は秦が決めるのであって、あなたが勝手に決める権利はないのです。

キングダムの読者の方はご存知でしょうが、秦では領地が増えるとそこに秦の人民を送り込んで秦の制度に馴染むようにしています。

そこに送り込まれる秦人の何割かは、分異令で強制的に家族と引き離された人々です。

 

キングダムネタバレ考察

 

キングダム雑学:見ず知らずの周辺の家々と伍を組まされる

餓えた農民(水滸伝)

 

さて、秦により見ず知らずの土地に連れて来られたあなたは、ここで土地を与えられ家を建てます。そして、見ず知らずの周囲の家と、伍(ご)あるいは什(じゅう)という監視組織を作ります。

 

伍や什は、お互いに監視と告発を義務付け、もし、同じ伍の中で犯罪を犯したものがいても、見逃すと全ての伍が連帯責任で処罰されます。

逆に、訴え出ると、戦場で敵の首を獲ったのと同じだけの褒美が貰えました。

行軍する兵士達a(モブ)

 

しかも、この伍や什、戦争が起きると、そのまま部隊になり戦場でも運命共同体になります。

互いに監視、密告しつつ戦場では助け合わないといけないという面倒くさい共同体が伍や什です。

 

キングダム雑学:怠けて貧しくなると奴隷に落ちる

 

むかつく隣人にガマンできたとしても、そこに最後の秦の法律が襲い掛かります。

秦では、男子は農業、女子は家で機織(はたお)りが奨励(しょうれい)されていて成績はチェックされていて、成績がよいと褒美がもらえました。

 

逆に、あまり働かずに貧乏になると、平民の身分を剥奪されて奴隷に落ちたというのです。

これは酷い、俺が怠けて貧しくなって人に迷惑がかかるか!って話です。

秦に生まれると、ニートになんか絶対になれないように法があなたの一生を雁字搦(がんじがら)めにしてしまうのです。

内容に納得がいかないkawauso様

 

すると、あなたは不思議に思うかも知れません。

なんで、こんな厳しい法律に皆んな平気で耐えているのか?

そりゃあ、昔は不満を持つ人もいましましたが、商君の変法から百年以上経過すると

これが当たり前になり、誰も疑問にも思わなくなるのです。

そもそも商君の変法がニート撲滅法

韓信と鍾離昧

 

商君の変法が敷かれる前、秦は七国でも特に大家族が多い土地でした。

なかなか分家が行われず大勢で田畑を耕すので貧しいですが、なんとか食えるのです。

だから結婚してもしなくても実家に住み続け、のんびりとして生きる事が出来ました。

逆に言うと、大家族主義はあまり働かないニートが生きやすい社会でした。

 

しかし、そういう大家族だと、国としては人口も増えなけりゃ税収も増えません。

おまけに儒教の観念が強い中原六ヵ国から見ると、秦のような大家族は野蛮の極みでした。

 

商鞅はニートを撲滅して家族をバラバラにして、必死にならないと生きられないように仕向け、お互いに監視させてサボれないようにして生産力を増大させて、秦を強国に導いたのです。

 

逃げる事も出来ない

曹操から逃げ回る劉備

 

仮に、そんな生活が嫌になり、他国に逃げようとしたとしましょう。

しかし秦では、旅行するにもお金以外に旅券が必要であり、旅券なしには宿にも泊まれず野宿するしかありませんでした。

果てしなく広い秦の領土から、常に野宿しながら出ていくのは大変な事でしたし、周囲を山に囲まれた秦では、国外に出るのも一苦労です。

歩きやすい所には、当然、関所があるわけで、逃げる事も簡単ではありませんでした。

 

キングダム(春秋戦国時代)ライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

秦は貧しかったので、過酷な法で人民の自由を奪い、利益で釣りシャカリキに働かせる事で君主に力を集中させて強国になりました。しかし、少しも遊びのない国ってつまらないですよね。

 

秦は確かに強い国でしたが、文化的にも実用第一で芸術が育たず、斉のように諸子百家が学問の華を咲かせる事もありませんでした。めぼしい文化事業は、大商人出身の呂不韋(りょふい)が大勢の食客を集め呂氏春秋(りょししゅんじゅう)を編纂した位なんじゃないでしょうか?

普段怠けて生きているkawausoは、秦に生まれるのは嫌ですね。

 

参考文献:始皇帝中華統一の思想 「キングダム」で解く中国大陸の謎

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。「はじめての三国志」編集長。三国志・中国史を中心に、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を執筆・編集し、当サイトでは4,000本以上の記事を担当。三国志は正史から入ったため、演義を書くときのほうが神経を使うという天邪鬼。故郷・沖縄の歴史に関する勉強会の開催や、ラジオパーソナリティとしての活動も行う。

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