敵国に降伏した黄権と潘濬、降将は歴史家や小説家からどう評価されるの?

2021年8月12日


 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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三国志演義でも

三国志演義_書類

 

また三国志演義において、黄権は全体的に出番も多めであり、その活躍から、働きまでを描かれているのに対し、潘シュンはほぼ名前だけ登場します。

 

呉に下る糜芳、孫権

 

その際においても潘シュンは「酒飲みの小人物で信用できない」とまで言われ、その後も糜芳、士仁らと共に呉に降ったとされるだけの有様。

 

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劉禅

 

 



どうしてこうなった

黄権(司馬懿と孔明)

 

さて黄権は蜀から魏に降りました。潘シュンは蜀から呉に降りました。両方とも積極的に裏切ったとは言えない状況であり、やむを得ない部分も大きいと思います。しかし後世において一方は称えられ、一方は非難される。彼らの際はどこで生まれたのでしょうか?

 

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蜀漢の滅亡

 

 

残された者たち

正史三国志・呉書を作り上げる韋昭(いしょう)

 

ここで思い出して欲しいのは黄権は妻子が蜀に残されています。対して潘シュンは一族が呉に降っています。つまり記録に対してどう思うか、関りのある人物が残っているかどうかが大きな違いではないかと思われます。現に呉書において潘シュンは評価をきちんとされているのに対し、蜀の人物史では手酷く記録されていますね。

 

三国志を語るセンさん

 

また黄権は魏でそこまで出世したということはなく、潘シュンは寧ろ呉においてその能力を活かし、良い働きをしました。個人的には「蜀ではその能力を引き出せなかったんだな」とは思うのですが、そういう別の土地に行って成功した、しかもそれは敵地、というところで潘シュンの評価が貶められてしまったのでは、と思います。

 

正史三国志_書類

 

だからこそ黄権は蜀書に、潘シュンは呉書に記録されたのでしょう。後世の評価ががらりと違う降将の二人ですが、それぞれの生き様もまた歴史の一ページ。先入観を持たずに、その一幕を楽しみたいですね。

 

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三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

またこれは個人的な観点ですが、潘シュンが降るきっかけに関羽の死があります。関羽は後に神格化までされた人物。もしかしたら多くの人が潘シュンに対して「なんで関羽に殉じなかった!」という憤りを感じていたのかもしれません。

 

ヒゲ袋にヒゲを大切に保管する関羽

 

それが影響したと考えると、やはり関羽の影響力は大したもの。正に首だけになっても数多くの人に影響を与える人物……などと諳んじつつ、本日も三国志の沼にハマって行こうと思います……

 

センさんが三国志沼にドボン a

 

どぼん。

 

参考文献:蜀書黄権伝 呉書潘シュン伝 季漢輔臣賛

 

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三国志ライフ

 

 

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セン

両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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