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漢読み、呉読み
漢字は中国から伝わってきました。その読み方には漢読み、音読みとありますが、この音読みの種類の一つに呉読みというものがあります。これはもちろん、三国志における「呉」のことです。漢字は百済から伝わってきたと言われていますが、この百済の漢字の読みがそもそも呉読みだったとされ、日本では仏教を中心に漢字は呉読みされていたのです。
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唐の建国
さて時代は下がって隋、唐が建国された際、漢読みが生まれます。ここで日本から送られたのが遣隋使、遣唐使、彼らは漢読みを持ち帰り、これが正式の読みとされます。とはいえ今まで続けてきたものをそうそう変えることはできず、漢読み、呉読みは廃れることなく伝わり続け、詩や読み物には漢読み、音読みが混同されることになります。
こういった経緯から「かこうじゅん」という読みが定着し、現代でもちょっとすると「かこうとんなの?かこうじゅんなの?」と頭を悩ませる羽目になったのですね。
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夏侯惇の読み方の正しさとは?
ともあれ、かこうとん、であれ、かこうじゅん、であれ、どちらが間違いで正しく、そういう呼び方をしてはいけないということではありません。むしろ吉川三国志などに親しんでいると「かこうとん」という呼び方に違和感を覚えてしまって中々呼びにくい、という人もいるでしょう。
そういう場合は「かこうじゅんって呼んでるってことはきっと吉川三国志に親しんでいる人だな!」という、あくまでフランクな話のきっかけとしてみてはどうでしょうか?
三国志の入り口はどこにあっても楽しいものですからね!
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三国志ライター センのひとりごと
筆者は横山三国志が三国志の入り口なので、かこうとんにもかこうじゅんにも不思議な親しみと違和感があるタイプです。しかし不思議なもので、近年の創作物なら「かこうとん」と素直に読めるし、吉川三国志では「かこうじゅん」がするりと入ってきます。
なので読み方のルーツを探るのは楽しんだとしても、それで相手を非難したり、攻撃したりはしないようにしましょうね!
本日の三国志の沼からお伝えしました……とぷん。
参考文献:横山三国志 吉川三国志
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