騎士と言えばRPGではお馴染みの職業ですし、そのイメージは信仰心に厚く、正義感に燃え弱者に優しく女性に親切パーティーでも良識派として描かれる事が多いです。しかし、元々の騎士はキリスト教と関係もなく利己的なバーバリアンでした。
特にカロリング朝を開いたカール大帝のフランク王国の分裂後は各地の封建領主は家の次男坊、三男坊を騎士として戦場に出し、周辺の封建領主と領土の奪い合いを開始。首尾よく敵の騎士を捕らえて身代金をふんだくって開放するそんなビジネスをしていましたが、血の気の多い騎士たちは、しばしば憎しみや名誉欲から敵を徹底的に殺戮し騎士とは無関係な市民まで殺害する暴挙に出ました。
これに怒った市民は団結し騎士に対して、戦いに市民を巻き込まないように要求を突きつけて一時的に和平を実現したりします。また、当時のカトリックは、度々領内に侵攻してくるイスラム教徒に対抗すべくバーバリアンだが勇敢な騎士を懐柔し「キリストの為に戦って戦死すれば聖職者にならなくても騎士の身分のままで天国の門が開く」として内心では死後に怯えていた騎士を説得しキリストの騎士として取り込む事に成功します。
このようなムーブメントが最初に盛んになったのは第一回十字軍であり、多くの西ヨーロッパの騎士が天国へ行ける切符を求めて異教徒との戦いに赴く事になりました。もっとも、騎士が優しいのはキリスト教徒に対してだけで異教徒に対しては元のバーバリアンさながらの狂気の宗教戦士であり続けたのですが…
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