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命令に従い自決する扶蘇
趙高は自分の食客を使者に偽装して、オルドスに派遣し偽の遺言を扶蘇と蒙恬に手渡して自決を命じました。
蒙恬は「私も公子様も重大な北方の警備を受けている存在であり、まだ始皇帝は後継者を発表してもいません。この遺言は偽物の可能性があり、こちらから遺言が本当かどうかを問い合わせましょう、死ぬのはそれからでも遅くありません」と扶蘇に言います。
確かにオルドスには30万の秦軍が常駐していて、実力で自決命令を拒否する事も可能でした。しか親孝行な扶蘇は激しく号泣し
「遺言を疑い確認するだけでも親不孝だ。私は死んで父の下に行く」と言い自決しました。蒙恬は不信がぬぐえず使者を逮捕して牢獄に監禁しますが、まもなく咸陽において胡亥が二世皇帝に即位し、蒙恬に死を命じたので自決します。
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扶蘇伝説
素直に死んだ扶蘇ですが、その名前は意外な場所で甦る事になります。紀元前209年、陳勝と呉広が秦帝国に反乱を起こしますが、この時に2人が成りすましたのが、扶蘇と楚の英雄、項燕大将軍でした。
陳勝と呉広が扶蘇の名前を騙ったのは、扶蘇が始皇帝の暴虐に意見した人であると共に、その生母が楚の出身である事に影響しているのかも知れません。項燕は晩年に秦から亡命した昌平君を担いで楚を再興させていますから、昌平君を通じて血縁があった扶蘇の名前を出す事は反乱に有利に働いたのでしょう。
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キングダム(春秋戦国時代)ライターkawasoの独り言
優秀な人物だった扶蘇ですが、父の遺言を無視してまで皇帝の地位に執着しなかったので、大将軍蒙恬と30万の秦の精鋭を擁していながら、むざむざと趙高の奸計に落ちてしまいました。
もっとも最近の研究では、始皇帝は最初から後継者を胡亥に指名していて遺言を趙高が書き換えた事実はないとするものもあります。それが事実なら扶蘇は始皇帝が自分を後継者にする筈がないと最初から諦めて、すんなりと死を受け入れた事になりますね。
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