蜀を滅亡に導いた戦犯は費禕?その根拠を解説

2022年1月16日


 



監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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費禕は中途半端な状態で死んだ

費禕

 

ここまでの内容で、費禕は腹黒いことはわかったと思いますが、なぜ戦犯なのか。端的に言えば、蔣琬を失脚させて蜀漢政権のトップに立ったにも関わらず、不用意に暗殺されてしまったからです。

 

費禕の宴会に呼ばれて毒を塗った刀で暗殺に成功した郭修(かくしゅう)

 

仮に費禕が暗殺されずに次代のことを考えて行動していれば、以下のメリットがあったと予測します。

 

・国力の増強

 

孫権に気に入られる孫峻

 

費禕は事務処理能力において優れ、北伐反対派、加えて呉の孫権(そんけん)にも認められた人物だったので、戦争を控えて内政と外交重視の方針にすれば国力は増強されたでしょう。

 

・姜維の成長

 

姜維

 

費禕が大将軍、録尚書事となった際に、姜維もまた録尚書事となりました。上下の関係こそわかりませんが、軍事に置いては明らかに費禕の方が上です。だからこそ姜維には1万以上の兵力を与えず、軍事行動を制限することができました。

 

すぐに戦争したがる姜維

 

ただ、その際に姜維に政治の実務を経験させておけば、北伐を躊躇した可能性があります。さらに北伐反対派の人物たちとも溝を深めず、黄皓もその台頭を抑えるか、最悪な対立関係を作らずに済んだ可能性があります。

 

北伐したい姜維を止める費禕

 

費禕は諸葛亮、蔣琬と続く北伐推進派の流れに割って入り、反対派勢力を大きく成長させましたが、姜維になんの教育もしないままこの世を去りました。その確執が後に大きくなり蜀漢政権の内部分裂を引き起こし、最終的には国が滅ぶ事態に及んでいます。

 

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姜維特集

 

 

三国志ライターTKのひとりごと

TKさん(三国志ライター)

 

今回は費禕を戦犯として扱いましたが、これは誰か1人に絞るならという話です。複数の人物を挙げるのであれば、基本的に諸葛亮を始めとする、軍事や政治のトップにいた人物は全員戦犯と言えるでしょう。

 

天下三分の計を唱える諸葛亮孔明

 

それは蜀漢政権に軍事と政治においての長期的な計画がなかったように思えるからです。唯一、諸葛亮がそれらを一手に抱えていた時には、北方の開発によって国力増強や対魏への備えを作ろうとした様子が伺えます。

 

しかし、それも後任となる人物に引き継がれておらず、時代が下るにつれてどちらかに偏重し、重臣間での内部分裂を引き起こしました。未来を見据えてバランスの取れた国家運営ができていれば、巴蜀の地は長らく安泰だったのかもしれません。

 

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TK

TK

KOEIの「三國無双2」をきっかけに三国志にハマる。
それを機に社会科(主に歴史)の成績が向上。 もっと中国史を知ろうと中国語を学ぶために留学するが 後になって現代語と古語が違うことに気づく。


好きな歴史人物:
関羽、斎藤一、アレクサンドロス大王、鄭成功など

何か一言:
最近は正史をもとに当時の文化背景など多角的な面から 考察するのが面白いなと思ってます。 そういった記事で皆様に楽しんでもらえたら幸いです。

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