この記事の目次
侍中とは何?
侍中とは皇帝のお世話係で、年代を経て書類の取次ぎなどもやるようになる、重要な役職です。三国志では荀彧などが努めました。
さてこの侍中が付けていたのが惠文冠であり、文面からすると金を添加した冠で、蝉の模様、貂の尾を飾りにしている冠……と、なります。金を添加した、というのはおそらく金を使用して作られていたか、表面材に金を使用していたものと思われます。
そして重要なのは、この冠が貂蝉と呼ばれていたということです。
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秦の恵文王が被っていた貂蝉冠
ちょっとここで恵文冠についてもお話しましょう。恵文冠とは秦の皇帝、恵文王がかぶっていたことからその名を付けられたとも言われる冠です。
この恵文王は秦の26代君主であり、巴蜀や漢中を併合したことで秦の勢いを益々盛んにした王として知られます。有名な皇帝、秦の始皇帝のおじいちゃんのお父さんにあたる人……というとなんか逆にややこしいでしょうか。ともあれ、その恵文冠が、付けられた飾りから貂蝉冠とも呼ばれるようになりました。
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蝉は貧乏で気高いシンボル
その名前の意味する所、まずは蝉ですが、実はこの蝉、中国では高潔さの象徴であり、清貧の象徴とも言われています。なぜなら蝉と言う生き物は、高い木の上で水、つまりは樹液だけを飲んで生きていきます。
その姿を清く貧しく生きていく姿と重ね合わせ、その蝉の生き様に古代中国の人々は高潔さを見出し、冠の飾りとしたのでしょう。
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貂は世界中のセレブが求める希少な毛皮
もう一つ、貂蝉の「貂」について。貂の尾、と言われているように、貂とは動物のことです。イタチのような動物なのですが、この貂の毛皮は古代中国、そして日本でも大変な高級品でした。
そんな高級品を身に付けるというのは権力者の力の現れ、そこに高潔な蝉を合わせて、貂蝉冠が生まれたのですね。
もしかしたら貂蝉はこれに準え、美しく、それでいて董卓と呂布と言う二人の傑物を相手に勝利した貂蝉の姿に高潔さを見出し、貂蝉、と名付けたのかもしれませんね。
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三国志ライター センのひとりごと
さて最後に余談を。日本では人を化かす獣に狐や狸がいますが、地方ではそこに貂も加わり、
「狐七化け、狸八化け、貂九化け」と言うそうです。つまり貂は狐や狸よりも人を化かす生き物なのです。
四大美女にもなっている貂蝉ですが、作品によっては悪女、烈女、悲劇の女性と様々な姿を見せてくれます。そういう一面は、誠に貂である……なんて思いました。
どぼん。
参考文献:魏書呂布伝 初学記
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