もし周瑜が早世しなかったら三国鼎立時代もなかった?名将が長生きしてしまった場合の呉の運命を考えてみた

2023年1月14日


 

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諸葛亮孔明の天下三分の計に感化される劉備

 

蜀の劉備には、名補佐役の諸葛亮がついていました。

 

周瑜と張昭に孫権を頼んだと依頼して亡くなる孫策

 

呉の孫権にも名補佐役がおりました。ただ孫権の場合、それに該当する候補は、劉備に対する諸葛亮のようにくっきりとはせず、何人か挙がるでしょう。ただ、「あえて一人」となると、やはり周瑜の名前を挙げる方が多数ではないでしょうか?

 

周瑜

 

孫権の兄の孫策時代より、領土拡張事業において頭角を示した周瑜。そして赤壁の戦いで、兵力優勢だった筈の曹操軍を撃退し、彼の名声は比類なきものとなりました。

 

亡くなる周瑜

 

残念ながらその周瑜は、赤壁の戦いから二年後に急逝してしまいます。つまり曹操劉備・孫権による天下三分の完成を見るよりも前に亡くなってしまったことになります。

 

周瑜と孔明

 

まだ活躍できたはずの年齢での急死。もしここで周瑜が亡くならず、長生きしていたとしたら、その後の三国志の歴史はいったいどのようになっていたでしょうか?

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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死の直前まで稼働させていた壮大な戦略が実現していたら?

三国志演義_書類

 

三国志の歴史を物語としてうまく編纂した『三国志演義』では、周瑜は諸葛亮との知恵比べに敗れたショックで急死したように描かれています。ですが、これはあくまでも物語。

 

周瑜

 

 

より史実に近いとされる『正史三国志』の呉書では、周瑜は壮大な遠征事業の途中で急死したことになっています。

 

その遠征事業というのは以下のようなプランでした。

 

ハンセン病に侵された徳行者・冉伯牛 冉伯牛(モブ)(疫病)

 

 

・赤壁の戦いで敗戦した曹操は、しばらくは大きな戦争ができないものと予想

・その間に、呉は領土を拡張し、将来の曹操との決戦に向けて天下の南半分を手中にすべきと考える

・具体的には、荊州を突破し、劉璋が治める益州を奪取する

・さらに北方の馬超と同盟し、曹操を挟撃する

・うまくいくなら、張魯がおさえている漢中も呉が占領する

 

周瑜

 

これは、見れば見るほど、のちの「・呉・蜀」勢力図でいう、蜀の取り分を呉がすべて取ってしまうプランと言えます。これが実現していれば、天下の趨勢は三国鼎立時代ではなく、曹操と孫権の南北朝時代!

 

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実際に推し進めていたら曹操が有利になってしまった?周瑜の益州・漢中攻略計画

周瑜と孔明

 

実際には周瑜の急死で、この遠征事業は中止されてしまいました。その為に、周瑜が占領を狙った益州および漢中は劉備が押さえることとなり、諸葛亮のプラン、三国鼎立が現実のものとなります。

 

周瑜、陸遜

 

孫権にとっては残念、劉備にとってはラッキーだった周瑜の急死、・・・と見えますが、しかし、もっと広い視線に立つと、どうでしょうか?

 

画像利用について04 孫権

 

なるほど、周瑜のこのプランが成功し、曹操と孫権が天下を二分するような構図になれば、歴史の展開はガラリと変わったことでしょう。しかし、その頃には赤壁でのダメージが癒えた曹操が復活している筈です。その上で、情勢が、魏呉蜀の複雑に絡み合う三国の戦いではなく、曹操対孫権という二大勢力のガチンコ勝負となったとしたら?

 

北方謙三 ハードボイルドな曹操

 

天下の半分を押さえたとしても、真正面からの激突では、やはり、曹操とその部将の人材豊富さが有利になり、一度は広大な土地を手に入れることに成功した孫権軍も長期的には敗れる運命ではないでしょうか?

 

いやそれ以前に、周瑜のプランには、彼には想定しえなかったとはいえ、穴があります。

 

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周瑜が死んだことで三国鼎立が成立した?

諸葛亮孔明の天下三分の計に感化される劉備

 

周瑜が完全に計算から見落としてしまっていたこと。それは劉備と諸葛亮の存在です。なるほど、周瑜にとっては、赤壁の戦いの最大の功績者は彼自身。かつての同盟者である劉備と諸葛亮も、本気を出せば足蹴にできる相手くらいに見ていたことでしょう。

 

劉備軍で出世する魏延と黄忠

 

ですが後世の目から見れば、この時期の劉備は荊州に着々と地盤を構築している上に、黄忠や魏延といった新戦力も獲得したところ。赤壁の頃とは違い戦力は急成長中の段階でした。周瑜が早世せずに遠征を敢行しても、目的の益州や漢中に到着する前に、荊州の劉備との戦いで壮絶な反撃を食らい、思わぬ足止めを食ったのではないでしょうか?

 

劉備と孫権

 

そうなった場合、劉備軍と孫権軍が互いに激しく消耗しあい、せっかくの赤壁の戦果が帳消しになってしまいます。このシナリオでは曹操が圧倒的に有利になり、蜀も呉も曹操の前に滅ぼされていたかもしれません。

 

曹操に立ち向かう劉備と孫権

 

なんと、三国鼎立が実現し、蜀と呉が絶妙なバランスを保ちながら魏を牽制する勢力図になるためには、周瑜の遠征は、蜀にとっても、呉にとっても、中止すべきことだったのです。結果として、周瑜があのタイミングで早世したことは、劉備のみならず孫権も救ったのかもしれません!

 

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まとめ:そもそも周瑜が長生きしていたら孫権本人に不利だった?

三国志を楽しく語るライターYASHIRO様

 

さらに、こういう可能性も、考えてみましょう。もし周瑜が長生きしており、かつ、荊州の劉備を撃破することにも運よく成功し、彼の戦略どおり益州から漢中までを手中にした「曹操と孫権の南北朝時代」に突入したとしたら?

 

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三国志ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

長期的に魏に滅ぼされる前に、これはこれで、そもそも立場が困ることになる人がいたのではないでしょうか。

 

周瑜と孫策(断金の交わり)

 

周瑜は赤壁の戦いでの最大の功労者であり、先代孫策の時代からのビッグネームです。このような人物が荊州・益州・漢中まで遠征で占領してしまったとなると、君主の孫権にとって、これはいささか恐ろしい権力競争相手に見えてくるのではないでしょうか?

 

「いや、周瑜は義理固いタイプなので孫権を脅かすようなことはあるまい」と思うかもしれません。

 

周瑜

 

しかし、孫権と周瑜の時代はよいとしても、周瑜が長生きして、優秀な子供を育てたら?

孫策や孫権と周瑜の間の義理を忘れた次世代こそ、呉は危ないことになるのでは?

周一族がどんどん呉の中で力を持ち、孫権の後継者を脅かすようなことにはならないでしょうか?

 

司馬懿、司馬師、司馬昭

 

ちょうど魏の司馬懿の息子たちがやったように。もしかすると、周瑜長生きシナリオでいちばん損をするのは孫権であり、そのイフ世界では司馬懿の息子たちと周瑜の息子たちとの凄惨な戦いが発生したかもしれません。

 

北方謙三 ハードボイルドな司馬懿

 

司馬懿子孫と周瑜子孫の対決?

これはこれで、ちょっと見てみたいイフ展開でしょうか?

いや、見たくないイフ展開でしょうか?

 

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YASHIRO

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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