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九品官人法と科挙の違いとは?その衝撃の欠点と歴史的意義

2023年12月17日


 

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北方謙三風ハードボイルドな曹丕

 

 

九品官人法きゅうひんかんじんほうとは、の文帝・曹丕そうひによってはじめられた官吏登用法です。 そして科挙かきょとは、その官吏登用法・九品官人法きゅうひんかんじんほうが廃止された後に行われた登用法試験のことを言います。

 

凡人すぎた楊雍(はてな)

 

ではこの九品官人法きゅうひんかんじんほう科挙かきょの違いとは何か?どうして九品官人法きゅうひんかんじんほうから科挙かきょに移り変わったのか? 九品官人法きゅうひんかんじんほう、及び科挙かきょの欠点とは何があるのか、これらを今回は噛み砕いてお話したいと思います。

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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九品官人法とは?

九品官人法を作った陳羣

 

九つのランク分けにあり! さて九品官人法きゅうひんかんじんほうとは、の初代皇帝曹丕そうひによって制定された、人材登用法です。 そもそも「郷挙里選きょうきょりせん」という人材登用法があり……これは地方の豪族が良い人材を推薦するという方式でしたが、これには賄賂わいろが横行し、ろくな人材発掘ができなくなってきていました。 そこで代わりに考えられたのが九品官人法きゅうひんかんじんほう。 中央から中正ちゅうせいな立場の官吏を地方に派遣し、その地方での人材を一から九の品、ランク分けで推薦する方式です。

 

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結局横行するのは「賄賂」である……

ヘタレな役人梁鵠

 

ですが九品官人法きゅうひんかんじんほうには欠点もありました。 それは郷挙里選きょうきょりせん同じく、賄賂わいろが横行していたからです。 よくよく考えてみるとこの制度 「地方の豪族が推薦する」が「中央からやってきた役人がランク分けして推薦する」 というものであり、本質的な所では変化がなく、賄賂わいろの贈り先が変わっただけとも言えるものでした。 このため九品官人法きゅうひんかんじんほうは「上品に寒門なく、下品に勢族なし」、つまり上の品には身分の低いものなし、下の品には身分の高い者はいない、とまで言われるようになってしまったのです。

 

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科挙とは?

宋代の公務員試験である科挙

 

 

実力が何よりも認められる時代の到来か さて科挙かきょずいの時代から、九品官人法きゅうひんかんじんほうに代わって用いられた人材登用……というよりも、試験です。 とても乱暴に説明すると、かなり難しくて年間に数人しか合格しない試験であり、この試験に合格すると官吏になることができます。 高い地位、権力を持つ家の持ち主でなくても合格できれば前途洋々、それが科挙かきょでした。 やっと実力社会がやってきたか……と思いますが、実はちょっとこれまた難しく。

 

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つまりはやっぱりお家の力が超重要ってコト?

知貢挙(科挙に合格した人)

 

 

官吏になり、更に上……官になることは、権力を握る上でとても大事でした。 一族から一人科挙かきょに合格すれば、その在位中、引退後は一族は安泰、とまでされたほどです。 このため一族で資金を出し合って一人でも多くの子供を科挙かきょに受かるための塾を開いて勉強させるという方法も生まれました。 こうなると勉強のための環境をどれだけ整えるか、という各家での差が付きます。 やはり家そのものの力も科挙かきょには重要であったと思われます。

 

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科挙の歴史

 

 

 

科挙最大の悪法蔓延る……それはカンニング

冗談も言えないほど超真面目すぎる仲弓(文官)

 

科挙かきょは試験に受かればその前途が開かれます。 これは身分の高い家でも、低い家でも同じです。 だからこそ一族の総力を挙げて取り組む家もあったのですが……そこに、悪法も生まれてしまいます。 科挙かきょに受かるために、多くの者たちがカンニングに手を染めたのです。 その手法は、カンニングペーパーのようなものを用意したり、下着にカンニング内容を書き込んでいたりと実に様々。 もちろんこれらは違法であり、バレたら処刑ものになることもありましたが、それでもカンニングをする者は後を絶たない状態でした。 受かりさえすれば人生が変わる、それだけの試験でもあったのですから、当然とも言えるかもしれません。

 

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九品官人法と科挙との違いとは何ぞや?

キングダムと三国志 信と曹操のはてな(疑問)

 

さてまとめますと、九品官人法きゅうひんかんじんほう科挙かきょの違い、それは推薦形式か、試験に合格するかの違いとなります。 一見すると科挙かきょの方が実力社会の方式を取られているようにも思えますが、その一方で科挙かきょではカンニングが横行すると言う事実も存在し、その背景には「身分に関わらず、合格さえすれば」というほの暗い闇も存在したのです。 前時代の悪手を改善して新しい方法を取ろうとする、しかしまたどこかで、歪さも生まれてしまう。 それは歴代の王朝おうちょうの悩みに似ていたかもしれませんね。

 

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実はあの人は……タイムスリップ!?

不合格になる張角

 

因みに三国志さんごくし演義えんぎに出てくる有名なあの人も科挙かきょにチャレンジした経歴がございます。 その人物とは……黄巾賊こうきんぞく、イエローマスター・張角ちょうかくさん。 三国志さんごくし演義えんぎに出てくる彼は、科挙かきょに落ちたという経歴を持っています。

 

キングダムと三国志 信と曹操のはてな(疑問)

 

科挙かきょに落ちて、その後は黄巾賊こうきんぞくを率いて蒼天既に死すをやってしまうお人……というと、まるで科挙かきょに落ちたから黄巾党を開いたようではないですか! ……まあ実際には張角ちょうかくの時代には科挙かきょどころか九品官人法きゅうひんかんじんほうもないので、三国志さんごくし演義えんぎの創作ですが。 それでも三国志さんごくし演義えんぎ張角ちょうかくにこのような経歴が付けられたのは、科挙かきょに落ちるということはそれほど当時としてもショックであり、同時に中々受かることのない、多くの人が落ちる試験、という認識があったのかもしれませんね。

 

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三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

九品官人法きゅうひんかんじんほう九品官人法きゅうひんかんじんほうで。 また科挙かきょ科挙かきょで。 それぞれ何かしらの欠点があるのもまた、面白い所。 何かを成し遂げるために、その前例から悪手を改善しようとして考える。 しかしそちらもそちらで欠点があって……というのを見ていると、かんしん……と移り変わる王朝おうちょうを見ているようでもあります。 それほど難しい人材発掘法、ある意味、今を生きる人たちも抱えている問題なのかもしれませんね。 どぼーん。

 

参考:三国志演義

 

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両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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