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徐福とはどんな人?徐福伝説や史記に記された徐福と日本のつながりを探る!

2024年3月29日


 

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徐福

 

皆さまは徐福(じょふく)、と言う人物をご存じでしょうか?遥か昔、(しん)始皇帝(しこうてい)の命を受けて不老不死(ふろうふし)の妙薬を探しに出たとされる人物で、永らくこの徐福と言う人物は「不老不死」という題目と並べ、語られてきました。創作などでも幾度か言及されていましたが、とあるゲームでこの徐福が出演したことをきっかけに、多くの人がこの徐福に関心を示すようになったと思います。

 

日本に目指さした孫権

 

そこで今回はこの徐福が日本とどのようなつながりを持っていたのか、伝説、末裔について、更には史記を含めて三国志とのちょっとした繋がりも解説したいと思います。

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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徐福伝説、不老不死と秦の始皇帝

始皇帝(キングダム)

 

中国の初代皇帝、始皇帝。彼は中国全土を手にした後、その当地の永劫を望んだのか、不老不死を求めるようになったというのは有名な話です。

 

不老不死を求める始皇帝

 

そしてその始皇帝が望んだ「不老不死」に絡んでくるのが、徐福という人物です。

 

劉雄鳴は三国志の仙人

 

史記によるとこの徐福が「海中に蓬莱、方丈、瀛洲という三神山があり、そこに仙人がおります。私は斎戒して汚れなき童男童女を連れ、不老不死の仙薬を得たいと思います」と書面で願い出ました。始皇帝はこの願いを全面バックアップ、資金援助をして徐福に不老不死の薬を探しに出させます。

 

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結果、徐福も始皇帝も不老不死には至らず

病に倒れる始皇帝

 

ですがこの後、徐福はこの三神山に至ることはなく、不老不死の薬は始皇帝の手に渡ることはありませんでした。

 

ポイント解説をするセン様

 

まあ不老不死の妙薬というものを手に入れるのは大変だったのだな……とか思いそうになりますが、史記(しき)の記述では「理由を付けて出発しない」「始皇帝から改めて出立を命じられてやっと出立する」「結局平原を手に入れてそこで王になったので帰らなかった」など、そもそも徐福は不老不死の薬を探す気はなかったように書かれています。

 

 

水滸伝の包道乙 仙人

 

 

 

このため徐福は詐欺師、もしくはこの始皇帝と徐福のやり取りは民間伝承のようなもので、実際にはなかったことなのでは?とも言われてきました。

 

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徐福、新たな地にて伝説を残す

西遊記巻物 書物_書類

 

しかし、この徐福が旅に出て「平原を手に入れて王になった」という記述に注目すると、面白い伝承がなんと日本各地に見られるようになりました。中国ではなく、海中ではなく、日本の地に徐福は降り立ったというのです。

 

紫式部(女性)

 

 

史記で徐福の「蓬莱(ほうらい)」という言葉がありますが、この蓬莱という言葉、かの有名な竹取物語でも「東の海に蓬莱という山あるなり」と記され、かぐや姫自身が求婚者に「蓬萊の玉の枝」を要求するというシーンがあります。また竹取物語ではかぐや姫から不老不死の妙薬を貰った帝が「かぐや姫がいなくなったこの世で不老不死担っても仕方ない」と富士山でその薬を焼いたという話もあり、この富士山も徐福伝説と深い縁があるとされていました。

 

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九州佐賀県で見られる徐福伝説

富士山とkawauso様

 

 

とは言え、不死の山が転じて富士山となった、と言われる富士山と徐福伝説はある意味定番とも言えますので、ここで筆者にも縁がある、九州佐賀での面白い徐福伝説を紹介しましょう。ここに金立山という山があるのですが、その山頂近くに金立神社上宮があり、ここで保食神、罔象売女命と並んで農耕や医薬の神として徐福が祭られています。

 

 

張昭(ポイント)

 

 

中国からはるばる霊薬を探してきた徐福が、この地で霊薬を見つけたとされ、祀られているのです。ここでは春と秋の祭礼と共に「五十年に一度」の大きな祭が行われているとのことです。この五十年、ちょっと覚えておいてください。

 

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徐福の見つけた「不老不死」の薬の正体とは!?

仙人を演じる少年

 

 

さて、この地では徐福が不老不死の薬を見つけたという伝説があります。金立山の山頂で徐福は仙人と出会い、不老不死の薬について尋ねました。仙人は窯の中で茹でられていた薬草を徐福に教えると、姿を消してしまいました。この教えられた薬草は「フロフキ」……フロフキとフロフシを聞き間違ったのか、それとも本当にこれこそが不老不死の薬だったのかは分かりませんが、このフロフキ、カンアオイと呼ばれる植物は、現在でも地元で自生、栽培され、腹痛などに効く薬とされています。

 

 

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不老不死と悲恋の悲しい伝説

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またこの地には徐福と地元の娘、お辰との悲恋伝説も伝えられています。

 

お辰という娘と徐福は恋仲になりましたが、異国人、身分違いと言う壁によって、思い悩んだお辰は病にかかってしまいました。もしくは不老不死の薬を見つけられないまま、徐福は一度国に帰らねばならなくなり、別れの辛さかお辰は寝込んでしまうことになります。

 

お辰の病を聞いた徐福は自分の持っていた二本の宝剣のうちの一本を使者に持たせて「五年後に戻る」と伝えさせました。しかし使者の間違いから「五十年後に戻る」とお辰には伝えられ、ショックを受けたお辰はそのまま亡くなってしまったとされています。哀れなお辰は地元の人々の手により祀られ、徐福の「五十年」の大祭は、このお辰と徐福の再会を願うために行われると言うのです。不老不死の薬を探す果てに、草津の湯でも治せない恋の病で娘が一人亡くなった。なんとも言えないほろ苦い伝説ですね。

 

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実は三国志とのあの関わり!!

不老不死を目指す始皇帝

 

では最後に、徐福とは直接関係はありませんが、とある三国志との関係についてちょっとお話ししましょう。徐福は始皇帝から援助を受けて旅立つのですが、始皇帝が視察に行くとまだ徐福は出立していませんでした。どうして出立しないのかと聞くと「海に怪物がいて出港できません」と言うではありませんか。

 

秦の始皇帝

 

 

これに怒った始皇帝は「連弩(れんど)」という兵器でこの怪物を退治して、徐福は喜んで出立……したかどうかは分かりませんが、不老不死の薬を探す旅に出たと言います。

 

 

弩(ど)を発射させる蜀兵士達

 

 

そう、諸葛亮が改良して武器として使われるようになった連弩、諸葛弩とも言われる、三国志演義でも出てくる武器、兵器は既にこの頃から用いられていたとされる記述です。ちょっとしたことではありますが、三国志ファンとしてはあの武器だ……!と興奮を覚えた瞬間、ぜひ皆様と共有したく、最後に述べさせて頂きました。

 

 

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三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

徐福伝説、真偽のほどは分からず、更には史記では割と徐福は「始皇帝を騙した!」という取り方が強く描かれていますが、日本では寧ろ徐福は不老不死と縁強い人物とされる伝説が多いのは面白いですね。今回は主に佐賀の徐福伝説について紹介させて頂きましたが、この他にも各地で徐福の伝承を見かけることができます。

 

センさんが三国志沼にドボン a

 

 

よろしければ始皇帝も求めたこの不老不死の伝説、徐福の残した足跡を追ってみて下さい。そしてぜひ何らかの手掛かりあらば、ぜひご一報、お待ちしてます。どぼーん。

 

参考:淮南衡山列伝

 

はじめての列子

 

 

 

 

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セン

両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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