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曹彰が本気で曹操の後継者の座を奪っていたら?徐庶元直が一世一代の奇策で魏を内部から翻弄する

2024年7月20日


 

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魏王に就任する曹操

 

三国志の英雄の一人にして人気も高いキャラクターが、曹操(そうそう)。皆さんは、その曹操の後継者候補といえば、誰を思い出しますか?

 

曹操と曹丕

 

「そりゃまず、誰でも思い出すのは、史実で曹操の後を継いだ曹丕(そうひ)」というのが、ごもっともなご意見。では、その次、といえば?

 

曹植

 

三国志ファンとなると、次に浮かぶ名前は、おそらく曹植(そうしょく)でしょう。

 

後継者争いをしている曹丕と曹植

 

というのも曹植は史実でも、曹操の寵愛を受けていたという理由で、曹丕から警戒された「後継争いライバル」。けっきょく曹植本人が曹丕に恭順の姿勢を見せ収まりましたが、それまでは周囲からも、曹丕に対抗し得る有力候補と認識されていたようです。

 

曹彰

 

では・・・三番目は?三国志ファンならばこの辺りで、あの人物を思い出すのではないでしょうか?そうです。曹操の四男の、曹彰(そうしょう)です。

 

はてなマークな劉備と袁術

 

 

この曹彰、実際には曹操の後継者を名乗れる可能性は、どれくらいあったのでしょうか?そこで今回は、まさかの「曹彰が継承者」展開があり得たかを、妄想してみましょう!

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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曹彰とはどんな人物だったの?

正史三国志_書類

 

とはいえ、三国志全体の中では出番が少なめの曹彰。イフ世界を考える前に、どんな人物だったのか、『正史三国志』をもとにおさらいしてみましょう!

 

行軍する兵士達b(モブ)

 

まず曹彰は、父である曹操に対しても「自分は学問よりも、野で軍を指揮する能力を高めたい!」と意気盛んなことを言う息子だったようです。そんな話を聞いていた曹操も、力試しをさせようと思ったのか、北方の異民族が魏国を脅かした際、曹彰を討伐軍の指揮官に任命しています。

 

青州兵(兵士)

 

ここでの曹彰の抜擢は、結果としては、大成功でした。曹彰は自ら先頭に立って戦う姿勢を見せ、猛将タイプとしてのリーダーシップをとり、さらに兵士たちへの褒美も実に気前が良かった模様。討伐作戦は成功した上に、兵士たちからも大人気だったようです。「やはり曹彰は軍人が向いているな」と、父の曹操も良好な結果に満足したことでしょう。

 

ただしこの曹彰、その後の人生はあまり幸せなものではありませんでした。

 

死期を悟る曹操

 

曹操が亡くなった時、彼も当然、葬儀に駆けつけたのですが、なぜか十万もの手勢を率いて参上し、しかも何を思ったのか、到着するや否や「(曹操の後継者の証となる)印綬というのは、どこにあるんだ?」と、まるで自身が後継者であると決まっているかのような、素っ頓狂な質問をして、大顰蹙(おおひんしゅく)を買っています。

 

皇帝に就任した曹丕

 

 

曹操の後継者は、先述した通り、曹丕になるわけですが、曹丕はこの時の曹彰の言動に不信感を抱き、以後、曹彰を辺境の地に追いやり、重要な仕事も役職も与えずに放置しました。そんな不遇も影響してか、三十代という若さで、曹彰は病死してしまうのです。

 

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曹操の後継者になるにはどうにも心配ないくつかの理由

行軍する兵士達a(モブ)

 

このように整理してみると、どうしても、気になる点がありますよね。曹操が死んだ際、曹彰はなるほど、十万の手勢を率いて現れたり、王の印綬の場所を確認しようとしたり、まるで後継者になる気まんまんのように見えます。ですが曹丕が後継者に決まったと知ると、あっけなく引き連れてきた軍勢も引っ込めています。

 

 

はじ三倶楽部 スマホの誤変換でイライラする参加者(はてな)

 

 

このあっけない態度は一体?曹彰はどうやら本気で自分が後継者になれると(勝手に)思っていただけの天然君なのか?あるいは、単に空気が読めない言動を思い付きでしてしまう世間知らず君だったのか?ともかく、言ってはなんですが「軽率」な印象を受けてしまいます。この辺りを見ると、とうてい王や、まして皇帝となって、劉備や孫権と対抗できる深謀があるとは思えません。

 

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曹彰大出世のためにはトップクラスの軍師が必要!となると?

ポイント解説をするYASHIRO様

 

しかし、せっかく今回は曹彰の為のイフ世界を妄想する回と決めているわけなので、もう少し、がんばってみましょう。そんな曹彰が曹操の後継として、魏王になることは、絶対に不可能なのでしょうか?

 

西遊記巻物 書物_書類

 

古代中国史を見ると、そうでもない、と思います。古代中国には、本人の能力はいまいちだが、その人柄の良さで民衆を味方にした上に、片腕に超有能な軍師をアドバイザーとして控えさせたことで、王や皇帝の地位に上り詰めたケースもあり得るからです。

 

兵士や民衆の人気を取る点でいえば、異民族討伐の際に兵士の人気を得ていた曹彰、そういうのはけっこう得意そうですよね。となると必要なのは、優秀な軍師です。候補が一人います。

 

人質にされる徐庶の母親

 

 

曹操時代に魏の陣営に加わっていながらも、いろいろな理由で才能を発揮できなくなっていた名軍師が。かつて劉備に仕えたこともある、徐庶元直(じょしょ げんちょく)です!ただし、いくら人材として埋もれていたとはいえ、

 

徐庶

 

曹彰がこの徐庶を「三顧の礼(さんこのれい)」で迎え、軍師として雇いたいなら、絶対に必要な条件があります。

 

劉備の元から離れたくない徐庶

 

徐庶が心の底でずっと敬慕しているのは、劉備。となると「劉備との良き同盟者になる」という条件を出さないと、徐庶の心は動かないでしょう!

 

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まとめ:曹彰と徐庶のコンビが魏を引き裂く!

三国志を楽しく語るライターYASHIRO様

 

曹彰が曹操の後継者になる方法を考えているうちに、途方もない話に膨れ上がってきました。曹彰が徐庶の忠誠心を手に入れ片腕として働かせるためには、劉備に有利になる勢力として独立する必要がある、つまり、魏を分裂させ劉備と結び、曹丕と対峙するしかない!

 

そのシナリオは、こうなります。

 

劉備軍で指揮を執る徐庶

 

・曹彰は、曹丕よりも自分こそが曹操の後継者にふさわしいと宣言し、徐庶を軍師に、手飼いの兵士を連れて大反乱を起こす

・徐庶から連絡を入れさせ、早々に劉備と同盟

・イデオロギーとしては、漢王朝の復興を掲げる。この目的のために曹丕から献帝を奪取する!

・あとはとことん蜀と連携を取りつつ行動する

 

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三国志ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

まさかの、魏の大分裂!ここまでやれば、まさかまさかの逆転、曹丕を辺境に押し出し、曹彰が正式な魏王を名乗ることも可能かもしれません。そのあとは?

 

漢中王になる劉備

 

当然、漢王朝復興を掲げていた以上、劉備の蜀に何らかの形で合併されてしまう運命でしょう。ですが、史実ではどうせ曹丕に憤死にまで追いやられた曹彰、そんな史実の運命を吹き飛ばす、これほどの大暴れをするイフシナリオがあってもよいと思ったのですが、いかがでしょうか?

 

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YASHIRO

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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