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戦国七国の通貨事情![キングダムの世界を深掘り]

2024年12月26日


李信(キングダム)

 

キングダムの舞台である春秋戦国時代の中国、しかし漫画では戦いがメインで信(しん)河了貂(かりょうてん)や、羌瘣(きょうかい)が普段、どのような生活を送っていたかは見えてきません。もちろん、そんな事は知らなくても、何の問題もないのですが、知っていると、さらにキングダムのキャラクターたちに愛着がもてるかも・・・。

 

部下の兵士に褒美(お金)を分け与える曹真

 

そこで、今回は、キングダムの時代、七国でどんなお金が使われていたか?解説していきたいと思います。

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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秦の通貨 半両銭

秦の旗を掲げる兵士

 

最初は、信や尾平(びへい)や河了貂が生活しているです。秦で使われていたのは、方孔円銭(ほうこうえんせん)といい丸い硬貨で孔(あな)は四角でした。通貨の名前は半両銭といい7.3グラムあります。

 

しかし、秦の貨幣は何度かモデルチェンジしており、半両銭の前の重一両十二一珠は、孔が丸い円孔円銭です。元々、秦は後進国だったので、貨幣は六国のそれを参考にし周辺国の影響を受けて、形が変化していったと考えられます。また、貨幣には重さの単位である両が刻印されるなどは、斬新で、次の漢の時代にも踏襲されます。信が鎧を買ったり、河了貂が食材を買うのは、この半両銭を使用して行っていたと推測されます。

 

 

クラシックな楚の通貨 蟻鼻銭

楚の旗と兵士

 

禍燐(かりん)様や、項翼(こうよく)が活躍しているも国が大きい割に人口が希薄で、経済の発展は遅れていて、貨幣が出てきたのも戦国時代の末期です。ただ、楚の通貨はかつての周の時代の貝貨をモデルにしていて他の国とは違い、小さく蟻の頭のような形をしています。重さも3グラムと七国で小さい方のサイズです。

 

その形状から後世では、蟻鼻銭(ぎびせん)と呼ばれていました。ただ、貝貨のフォルムは800年も昔のものであり、頑固に古いフォルムを守るところに、楚人の頑固さを窺う事が出来ます。また、一般的ではありませんが、楚は黄金の産地で江戸時代の日本のように、刻印を押した黄金も流通していました。

 

 

只今 激闘真っ最中 趙のお金 円孔円銭

 

現在、秦と激闘をしているのお金は、秦のお金と同様に、丸い通貨ですが、孔が丸いのが違います。その為に、秦の方孔円銭に対して、趙は円孔円銭と呼ばれます。

藺相如(りんしょうじょ)

 

表面には、藺という漢字が彫られていますが、これは旧、三大天の藺相如(りんそうじょ)とは・・・全く関係なく藺という都市で発行されたという事を意味していました。趙や、韓というような三晋の国では、貨幣は国ではなく都市の商人が独自に発行していたようです。逆に、斉や秦では、貨幣発行は国の仕事であり、かなり均質で統一された規格の貨幣が出回っていました。

 

 

秦の天下統一を傍観 斉で使われたお金 アイ六化銭

「斉」の旗を持った兵士

 

秦とは早々と中立同盟を結び、今後も出番はないであろうでは、偶然なのか、秦と同様に方孔円銭が使用されていました。しかし、元々は、斉と燕では、ナイフの形をした刀銭が使われていました。趙やでは、農具を模した布銭が、かつては利用されたので、そもそも、斉と趙や韓、魏では民族が違っており、趙や韓、魏が農耕民なのに対し、斉や燕は狩猟民でした。

 

特に、斉の刀銭は48グラムと燕の3倍もあり、刀らしく出来ていました。ただ、経済が発展してくると、さすがに刀銭は嵩張って非効率なので、円銭にシフトしていきました。斉の円銭は、アイ六化銭といい、重さは4.7グラムです。

 

 

なんだかショボい 燕のお金 明化銭

「燕」の旗を持った兵士

 

オルド将軍が一人で頑張っている燕は、余りにも北のはずれであり、人口が少ない事や、手前に趙があり、秦と国境を接していないので、楽毅(がくき)昭王(しょうおう)が登場した時期を除けば、あまり活躍しませんでした。

 

そんな燕の通貨も、元々は斉と同じ刀銭でしたが、重さ14グラムと軽く実際に力を入れればポッキリと折れそうなしょぼい通貨です。その後、斉や秦と同じような方孔円銭を採用しましたが、同じく円銭を採用している4国より一回り小さいです。こちらは、漢字で明と書かれていて、重さはたった2,6グラムしかありません。なんだか、七国の力関係をそのまま表している感じですね。

 

七国で最弱 韓のお金 橋足布

 

七国で最弱の韓のお金は、橋足布(きょうそくふ)と呼ばれる農具の鍬(クワ)をモデルとした布銭で、重さは13グラムと軽いです。円銭もあったようですが、探す事が出来ませんでした。上部にある丸いのが孔であり、元々はそこに柄がささり、鍬であった名残を残しています。表面の文字は、盧一釿で、盧(ろ)という都市で発行されたようです。

 

中堅クラス 魏火龍七帥 魏の垣(えん)銭

「魏」の旗を持った兵士

 

魏は呉鳳明(ごほうめい)がいたり、廉頗(れんぱ)と四天王が加入したり、魏火龍七師がいたりと、小国の割には、なかなか強いです。そんな魏で使われたのが、円孔円銭で、重さは9.6グラム、表面には、垣(えん)という漢字が鋳込まれています。この垣とは、魏にあった都市の名前です。貨幣の造りもシッカリした感じなので、何となく、魏の雰囲気を感じますね。

 

 

キングダム(春秋戦国時代)ライターkawausoの独り言

 

以上、キングダムの時代に流通していた七国の通貨について書いてみました。お金の事って、別に知らなくても、困りませんが、今後漫画を読むとき思い出していただけると、ちょっとおもしろいかも知れませんよ。

 

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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