ゲーム「三国無双」シリーズでは片言のセリフでどことなく暗いイメージのある魏延。仮面を本当にかぶっていたかはミステリーですが、魏延の最期はどんなストーリーだったのでしょうか。
蜀軍との人間関係に着目しながら、魏延の死の真相に迫りましょう。
この記事の目次
魏延と仲の悪い楊儀は曹操の配下だった!
ところが楊儀にとってのスターは関羽。ころっと蜀軍に下るのです。
関羽といえば劉備の義兄弟。
もちろん楊儀も劉備の陣営に属するのですが、劉備からは敬遠されていました。やがて、諸葛亮が丞相という蜀のナンバーツーになると楊儀を補佐役に付けます。
武将というよりは頭脳で才覚を発揮するタイプだったようです。
魏延は本当に暗いの?
むっつりタイプでゲーム「三国無双」のプレイヤーからは低い評価の魏延。本当に根暗だったのでしょうか。実は忠義に厚い武将で楊儀とは正反対の人物でした。
そのせいか諸葛亮より劉備から慕われており、蜀の要所である「漢中太守」にも任命されました。当時、蜀にとって漢中は魏軍に睨みを利かせるエリア。
誰もが張飛がその職に就つくと考えていました。ところが、武将としての忠実さを買われ、劉備が抜擢したのです。
どちらかというと暗いのは楊儀の方だったのでしょう。この楊儀と魏延の仲の悪さが魏延の死の「遠因」となっていきます。
三国時代の占いの信頼度は?
魏延の死を予言した夢占い師の趙直。政治や戦になぜ夢占いが登場するのかと疑問に感じる読者もいるはずです。怨霊だの祟りだのと騒ぐのは日本ぐらいで中国で夢占いが用いられていたのは、にわかに信じがたいことです。
しかし、曹操も悪夢にうなされていたことがあり、現在の中国歴史ドラマでも悪い夢が不吉な暗示として使われています。攻城槌や石積みの城壁がすでに発明されていた三国時代ですが、権力者ほど重要な局面で夢占いに頼っていたようです。
夢占いとは少し異なりますが、流れ星はたびたび誰かの”死”を暗示するものとして使われます。古代中国の人々は死ぬと星になると考えていたのです。
魏延の死とつながりのある趙直の予言とは?
それは諸葛亮が蜀の丞相となり北伐に向かったときのことでした。魏延は夜な夜な「頭に角が生える」という夢ばかり見て、苦悶していました。
矢も楯もたまらず魏延は夢占い師として名高い趙直に相談を持ち掛けます。すると彼は魏延に「麒麟は角を持っているが使うことはありません。つまり、戦わずして敵が自滅する」と告げたのです。
しかし、これは趙直のウソでした。本当の占い結果は魏延の死だったのです。
つまり「”角”は刀に用いると書きます。その角が頭に生える夢ですから、それは魏延の死を暗示しているのです」と真実を居残った者に打ち明けます。
すでに魏延がその場から去った後の話でした。
結局、魏延は誰に殺されたのか?
占い師の結果を信じたかどうかは分かりませんが、楊儀が魏延を殺したかったことは事実です。諸葛亮は死を予感したときに魏延抜きで戦いの青写真を部下に伝えました。要するに魏延はのけ者にされたのです。
軍師であった諸葛亮が楊儀に遺言を伝えたのも無理はありません。魏延は劉備から慕われていたものの諸葛亮とは疎遠だったのです。まもなく魏延は進軍を開始。諸葛亮の息のかかった楊儀らは撤退を選択します。
魏延は仲間の行動に納得ができず、撤退用の橋を落としてしまいます。これを楊儀は魏延のクーデターとみなし、馬岱に追撃させます。進退窮まった魏延とその息子は漢中で命を落とすのです。
三国志ライター 上海くじらの独り言
魏延は皮肉にも太守に任命された漢中の地で最期を遂げます。
魏延の直接の死因は馬岱による討死でしたが、積もり積もった楊儀との確執が死を招いたとも言えるでしょう。
もしかしたら、趙直の占い結果を裏で操作していたのは楊儀本人だったのかもしれません。噂が人の耳に伝われば劉備や諸葛亮でも止められません。サスペンスドラマではありませんが、口止めに殺すのが一番の解決方法です。
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