「三国志の中で好きな人物は誰ですか?」ごくありふれた質問ですが、答えるほうはけっこう悩みます。私は中国人の女の子からその質問を受けた時に「呂布」と答えたところ、イケメン好きだと勘違いされたことがあります。
中国では、呂布はずる賢くてハンサムなイメージがあるんですと。脳筋ゴリマッチョじゃなかったのか!ということで本日のお題は、中国の人から三国志で好きな人物を聞かれた時に気をつけたいこと。
人物のチョイスによっては人格を疑われるかも
日本人が三国志の話をする時は、はるか昔の歴史ロマンとして、現在とは切り離して考えていますよね。中国では、歴史に仮託して現在を語るという表現手法があるため、歴史の話をしていても現在の自分の主張をしていると勘違いされることがあります。
このため、あんまりヤバい人を「この人物が好き!」と言ってしまうと、自分までもがヤバい人であると疑われる恐れがあります。
(必ずしもそうなるとは限りませんが、そういう空気になることもある)
冒頭に述べた呂布のケースでは、
「イケメン好き」というのはまだ好意的な解釈をされたほうで、
下手をすると「呂布のように平気で人を裏切る人なのか?」と疑われかねないところでした。
(女の子が呂布が好きだと言った場合、だいたいミーハーな意味で解釈してもらえますが!)
曹操ファンの方に気をつけていただきたいこと
日本では曹操は人気がありますよね。
漫画の「蒼天航路」では問答無用にかっこよく描かれていますし、そこまであからさまでなくても、三国志演義でも正史三国志でも
曹操はかっこいいです。
中国では、大陸の若い人には曹操ファンも多いのですが、あまり自分で本を読む機会のなかったお年寄りとかに「曹操が好きです」と言うと、
ちょっとびっくりされるかもしれません。
新中国では曹操は偉大な人だということになっているのですが、ご高齢の方や本を読む機会のなかった人は、絵本やお芝居で
断片的な曹操像を知っているだけという人もいらっしゃるからです。
昔ながらの断片的なエンタメ作品だと、曹操はわかりやすい悪者役になってしまっていますので、
「どうしてあんなに悪賢い人が好きなの? 人格疑う!」って思われかねません。
悪者でなくてもバカはだめらしい
以前「呂布」を挙げて失敗した私は、他の機会に呂布の代わりに張飛の名前を挙げてみました。
三国志の人物について語っている時に自分の思想傾向とかを勘ぐられると嫌なので、思想の片鱗もない脳筋キャラを選んだのです。
すると、今度は「あんなに脳みその簡単な人が好きなの?」と大笑いされました。
しまった、私までバカだと思われた!
悪者キャラじゃなくても、バカはやっぱりまずいようです。
(正史ではバカかどうか分かりませんが)
中国人もナットクの無難なチョイスとは
やはり、人格的に立派そうな人の名前を挙げるのが無難なんじゃないでしょうか。
諸葛亮は不器用なところもありますが努力家だし「智」が絶倫のキャラだから○
関羽は誇り高すぎますが神様だから○
趙雲は悪い要素ないから○です。
ううむ、蜀ばっかですな。
自分の道を専一に究めた人でもいいかもしれませんね。馬鈞とか。
三国志ライター よかミカンの独り言
私は本当は賈詡が好きなのですが(蒼天航路の影響ではなくもっと昔からです)、それを言ってしまうと、主君を何度変えようとも
自分の智恵で思うさまに世を渡り歩き、高官のまま天寿を全うしようとしている現金な人だと思われそうで嫌なので、
こんど三国志の好きな人物を聞かれたら「馬鈞」って言ってみようと思います。
べつに、誤解されることを恐れて好きな人物を偽って答える必要もないのですが、説明するのが面倒です。
(賈詡のどこがいいかなんて母国語でも説明するのは難しいです)
三国志の人物は全部好きですしー。
中国の方は自分の好きな人物は堂々と好きっておっしゃっているようですが、それに関して侃々諤々になっているのも見かけるので、
侃々諤々したくない人は無難な答えもご用意しておかれるとよろしいかと思います!
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