人間には自我があります、そして、意識していなくても自尊心は大変なものです。
相手の提案が100%正しくても、全て相手の言う通りだとヘソを曲げると言うのが
人間の偽らざる心理であり、だからこそ、優れたビジネスマンは、
複数の提案をしつつ、あたかも、それを顧客が選んだように誘導するのです。
この記事の目次
天才軍師、龐統(ほうとう)が優柔不断な劉備を誘導する・・
容姿以外は、孔明に匹敵するとされた、鳳雛こと、
龐統士元(しげん)ですが、彼は劉備の軍師として、
劉璋(りゅうしょう)が領有する益州の攻略に随行します。
しかし、なりふり構えない立場の筈の劉備(りゅうび)は、
優柔不断な所があり、何事も直線で片付ける主義の龐統から見ると、
つまらない事にウダウダしていて、イラつく部分がありました。
並の人物なら、ここで、劉備を批判して、その為に劉備は、
さらに、頑固になり、より益州攻略は難航したでしょう。
ところが、龐統は、優柔不断な劉備の性格を分析する事で、
益州攻略を早める手を打ってきます。
龐統は劉備を分析、切羽つまらない限りは冷静で沈着、
龐統は、しばらく、劉備と寝食を共にする間に、その癖を見抜きます。
龐統「劉備とは、切羽つまれば大胆な事もするが、
普段の性質は用心深く慎重、できれば危ない橋を渡りたくない小心な人だ。
このような人物は急ぐような過激な策ではなく、また、
余り時間が掛からない策を好む傾向がある・・」
龐統は、劉備の性格をこのように分析して、益州攻略の策を考案します。
龐統は、劉備が取らないであろう策も混ぜて複数提示する。
龐統は、劉備に、益州攻略の計略を提示しますが、
それは、3つ存在していました。
上策:選りすぐりの精鋭を選んで、昼夜兼行で隠密で成都を奇襲する。
劉璋は、武力がないから、その首を挙げられるだろう
中策:フ水城を守る高沛(こうはい)と楊懐(ようかい)は、
劉備を警戒しているが一方では英雄だと慕っている所もある。
そこで、荊州に帰るので送別の宴を開かせて欲しいと言って騙し、
城に入ったら、これを殺して兵力を吸収し、成都を目指す。
下策:一度、白帝城まで退却して、守りを固めつつ、
荊州に使いを送って援軍を呼び、兵力を増強してから成都を目指す
劉備は、中の策を採用する・・
劉備は、上策については、成功しても自分の評判を落としかねない
過激な策だと難色を示して却下します。
また、下策については、荊州の軍勢を呼んでいる間に劉璋が守りを
固めてしまう事や、呉や魏が動く可能性も考えて却下しました。
そして、高沛と楊懐を騙して殺し、城と兵力を奪うのが、
自分の名前も傷付けず、同時に、それほど時間も掛からないと
決断して、中策を選んだのです。
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