漫画と史実のキャラクターの性格が全然異なるというのは珍しい事ではありません。
しかし、キングダムの王翦程、史実と漫画でキャラクターが乖離した人物も珍しいといえば珍しいのではないでしょうか?
史実の王翦は、先輩格の白起が秦の昭襄王に死を賜った事から、極端に猜疑心の強い性格になり、秦王政の逆鱗に触れないように
立ち回り続けてついに天寿を全うする事が出来ました。
ところがキングダムの王翦はそれとは真逆に王位を狙う人物になっています。
どうして、こんな違いが生まれたのか?今回はそれを考えます。
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この記事の目次
キングダム最新608話ネタバレ予想vol5「王翦変貌の理由」
では、キングダムの王翦は、史実と異なり王位を狙うようなキャラクター設定になってしまっているのでしょうか?
いつものようにkawausoが少ない脳みそを振り絞って考えてみました。
①史実に隙がありオリジナリティを加えやすい
②卑屈なキャラに戻しギャップを楽しむ
③悪役とする事で秦王政を善人化する
④主人公信が乗り越えるべき壁にしたいから
⑤トリックスターとしてキングダムを相対化
そうすると以上の5つの理由が思いつきました。
以下では、それぞれの理由について解説します。
キングダム最新608話ネタバレ予想vol5「史実に隙がありオリジナリティを加えやすい」
史実でも剣豪として知られる宮本武蔵は、同時にその史実での記述が少ない人です。
それは、史学上では何とも書く事が出来ない人ですが、逆に小説では、
「何をしていたか分からない時は、何をやらせてもいい」と取るので逆に、作家のオリジナリティを加味して魅力的なキャラクターになったのです。
王翦も実は、同じであって、内容の濃い所と薄い所がまだらになっています。
例えば王翦の若い頃については、史記白起王翦列伝では、
頻陽東郷の人である。若い時から兵法を好み、秦の始皇帝に仕えた
とあるだけで、出身地と兵法の勉強をしていた以外は謎です。
また、紀元前236年に鄴を攻め落とす手柄を立てているものの、その後、李牧との直接対決がある紀元前229年までの7年間は、
どこで何をしていたのか全く分かりません。
小説の手法で行けば、この空白の7年間は王翦に何をさせてもいいのです。
「それをしなかった証拠はない」わけですからね。
逆に、229年から先は、紀元前222年まで、ほぼ毎年戦いに出ています。
これを考えると、紀元前236年から紀元前229年までの間に秦王政と水面下のバトルがあり、
結果、王翦は屈伏したというシナリオも描けない事はないわけです。
キングダム最新608話ネタバレ予想vol5「卑屈なキャラに戻しギャップを楽しむ」
前述の「史実に隙がありオリジナリティが加えやすい」と少しかぶるのですが、
史実の王翦の卑屈さがMaxで登場するのは、紀元前224年です。
この前年に、信と蒙恬が楚に攻めこんで楚の項燕に大敗し逆に函谷関まで楚軍が押しまくるという展開になるわけですが、
ここで、王翦は秦王政に何度も出陣を頼まれて「もう老いぼれなので」と秦王政の要請を断る上から目線でリスキーな事をします。
しかし、最終的には折れて、出陣今度は逆に恩賞を気にする小物ぶりをPRするわけです。
漫画のままのキャラなら、秦王政に60万の大軍を預けられた途端に、逆に咸陽を落として自分が王になった上で、
悠々と項燕と対峙するシナリオを描けたのに、そうはしないという事になります。
どうして、強気な王翦が卑屈になるのか?ここを描くのにキングダムは相当な人間ドラマを仕掛けてくるでしょう。
キングダム最新608話ネタバレ予想vol5「悪役とする事で政を善人化する」
王翦の仕事は、結構な汚れ仕事が多いです。
紀元前229年の李牧の誅殺にしても、秦の手により佞臣郭開が李牧を讒言した可能性が高いです。
王翦の手によると書いているわけではありませんが、知らなかったとは思えません。
また、もし、秦の朝廷が画策した事にすると、秦王政のイメージが傷つく事からここは王翦に汚れを押し付けるのが一番いいでしょう。
かつて、俺と共に王国を創らないかとスカウトした相手を謀略で滅ぼす、さすがは腹黒い男、王翦と読者を納得させられるでしょう。
王翦が暗躍する事で、秦王政の悪行ポイントを減らす事が出来るのです。
キングダム最新608話ネタバレ予想vol5「主人公乗り越えるべき壁にする」
キングダムは、秦王政と信と飛信隊のメンバーの成長物語です。
主人公を成功させる為には、壁が必要で、最近までの信の壁は龐煖と桓騎でした。
信は龐煖から本当の強さとは何かを学び、桓騎から大義のある戦いとただの蹂躙の違いを学びました。
しかし、間もなく龐煖は歴史から退場しますし、桓騎は李牧に敗れます。
つまり、壁が二枚同時に消えるので、新しい壁が必要です。それが王翦になるという事ではないでしょうか?
これは、秦王政にとっても、呂不韋以来の壁であり、王翦が口にする「強く新しい国」が秦王政が目指す国の理想とは違うのは明白です。
王翦は、信と政の二人の壁となるべく、史実とはだいぶ違うキャラクター設定になっているのではないかと思うのです。
キングダム最新608話ネタバレ予想vol5「トリックスターとしてキングダムを相対化」
漫画には、適当に茶々を入れて、ストーリーを相対化するキャラトリックスターがいた方が物語に深みを与える事が出来ます。
例えば、ドラゴンボールに登場したヤジロベーなどはそうでしょう。
ヤジロベーはピッコロ大魔王の産み出したシンバルを斬殺する程の力があるのに強くなりたいとか、世界を救うとか、そういう考えはなくて
ただ、自分の生きたいように生きているキャラです。
ともすればキングダムは、中華統一へ天下の大将軍へという一色に塗りつぶされてしまいがちですが、
その中で「俺は自分の王国を創る、お前達の中華統一にも六国にも興味はない」
このような視点を持って、暗躍する王翦のようなトリックスターがいた方が
読者は複数の視点を持つ事が出来て、漫画に深みが生まれるのです。
キングダム(春秋戦国時代)ライターkawausoの独り言
今回は、どうして王翦は王国を創りたがっているのかを考えました。
およそ、5つの要素をkawausoは見出したわけですが、
読者の皆さんは、どうして王翦の性格が史実と漫画では大きく違うのだと思いますか?
参考文献:史記白起王翦列伝
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