三国志には数々の武将たちが出てきますが、皆さんはどんな武将が好きですか?
曹操、ふむ、確かに有能で革命的な働きをしていますね。
関羽、分かります、分かります三国志演義の関羽は本当に義の人でカッコイイですよね。え、トウ頓……もしや貴方、蒼天航路愛読者では?と、様々な人物が挙げられると思いますが良く正史三国志を見た人に「劉備がなぜ人気なのか分からない」と言っているのを見かけました。今回はこの劉備の人気について考えてみましょう。
この記事の目次
どうして劉備は人気なのか?
まずやはり、三国志演義の影響が大きいと言わざるを得ません。三国志演義では劉備は主人公であり、また仁徳に溢れた聖人君子です。多くの人々に優しく、思いやりに溢れた仁君が志半ばで倒れていくことに涙した人も多いでしょう。
何を隠そう筆者も三国志演義、横山三国志から入ったので「劉備は良い人だな」「関羽はかっこいいな」「曹真だっさーい」と思っていて、特に最後は今言われたら過去の自分でも三時間は拘束して曹真の凄さを言い聞かせていたことでしょう。
ともかく日本での三国志というと三国志演義ということもあり、主人公に据えられた分かりやすい人格者の劉備が人気なのはある意味正当と言えます。
日本での三国志の面白い所
ただ三国志演義の影響から悪役化されることが多い曹操ですが、意外と三国志演義だけを見ていても曹操が嫌いという人は少なく、そういった「悪の魅力」に惹かれるという人も多くいます。
逆に三国志の本場である中国では、近年では評価が見直されてきたとはいえ、長い間曹操は嫌われている悪役でしかありませんでした。この違いについて少し考察してみましょう。
曹操はどうして嫌われたのか?
曹操が嫌われた経緯として、長らくあった儒教の思想が大きく影響していたと思われます。孔子の子孫処刑の件ですね。
これは儒家の人たちにとって認められない所であり、目上を敬うべきという思想からすれば漢王朝から権威を奪った、実際には曹操は漢王朝に一番敬意をはらって貢献しましたし、息子の曹丕も極めて穏やかに禅譲を受けたのですが、それでも儒家の思想から大きく離れた行動であったのでしょう。確信的すぎたその行動が受け入れにくかったのかもしれません。
曹操の再評価
そんな曹操が中国で再評価されたのは、実は近代になってからです。魯迅を始めとした知識人たちが近代化の失敗の背景に儒教思想への偏りがあったと指摘したことで、曹操のあくまで合理的な行動が見直されてきたのです。
特に再評価に熱心だったのが毛沢東で、彼の指導によって曹操の再評価は一気に進みました。皮肉なことに儒教思想への反発から曹操が評価されることもあるそうです。
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