三国志は正史、三国志演義は言ってしまえばエンターテインメント。とは言え正史三国志では全然出番のなかった武将がやたらめったら活躍をするというのは、声高には言えないけれど特に蜀の武将ではお約束。
ということで、蜀の武将ではないものの、なぜか三国志演義の方で活躍している武将、紀霊について今回はお話したいと思います。
この記事の目次
正史の紀霊(みじかい)
さて正史三国志の紀霊の方からご紹介を。
徐州にいた頃の劉備、袁術と戦いに行った隙に呂布に留守を奪われてしまいます。ここで劉備は仕方なく呂布に降伏、そんな劉備を袁術が攻撃するべく差し向けられたのが三万もの兵を率いた紀霊。
呂布は「あっここで劉備やられたら次は自分だ」と気付き、紀霊と劉備の仲裁をしに来ます。そこで陣門に突き立てられた戟に矢を当てたら紀霊たちは引き上げるように、ということで見事命中。そして紀霊は綺麗に陣を引いて引き上げました、終わり。
何のために正史に紀霊が出てきたの?
さて、正史の紀霊というと記述がこれだけなのです。
袁術に劉備討伐を任され、三万もの兵を与えられるのですからそこそこ優秀、信用されている武将だとは思いますが、呂布に仲裁されてあっさり引き上げるなど、何をしたかったのか分からない人物……そう言われると何だか袁術の部下と言う気もしますが、それを踏まえても良く分からない人物です。
しかしこんな武将が三国志演義の方では謎の活躍をするのだから、面白い。次にその輝く紀霊(創作)をご紹介していきましょう。
登場からレベルが違う紀霊
さて三国志演義の紀霊、何と重さ50斤、約11キロもの三尖刀を操る袁術軍にこの人物ありといわれる武将。もうこの登場から正史の紀霊とはレベルが違います……いやあっちはプロフィールさえも良く分からない人物なんですが。
さてそんな紀霊は劉備討伐に派遣させられ、何とあの関羽と一騎打ちを開始。しかも一太刀で切られたり曹操の飲んでいる酒が冷めたりすることはないまま、そのまま30合ほど打ち合うというこの時点では凄まじい能力を発揮します。ただここで紀霊は休憩を申し出て、関羽が再戦をしようと誘いかけるもそれを断って二人の勝負は終わりを迎えるのが少し残念な所でしょうか。
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