こちらは2ページ目になります。1ページ目から読む場合は、以下の緑ボタンからお願いします。
この記事の目次
極秘の封神計画を遂行するのは出来損ないの太公望
ただ、封神計画は、元始天尊、太上老君、通天教主という数人の仙人のお偉いさんしか知らない極秘計画で、もちろん彼らが365名の神様候補をぶっ殺す訳にはいきません。誰か代理人を立てて動かないといけないのです。
そうして白羽の矢が立ったのが、元始天尊の弟子で仙人修行を40年やっていた姜子牙(後の太公望)で当時72歳でした。本当は修行して仙人になりたかった姜子牙ですが、40年も修行してから元始天尊に「ゴメン、お前、仙骨持ってないから仙人になれないや」と今頃のダメ出し
そんな、、40年も修行して、今さら仙人は無理って、、と絶望のどん底に落ちた姜子牙に、元始天尊は易姓革命を指揮して封神計画を実行せよと命令を下したのです。
こうして姜子牙は、72歳で地上に下りて結婚し商売を潰したり、離婚したり苦労をしながら、西岐の姫昌という名君に出会い、その軍師になり姫昌の息子の姫発の時代に暴虐な商の紂王を滅ぼして周を建国する易姓革命を主導します。
なんというか上層部はリストラ計画だけ作成し、実際の首切りは中間管理職がやるみたいな話ですが、実際、封神演義とはそういうお話です。
封神計画の裏目的 殺劫を解消し截教徒をブチ殺せ
実は、封神演義には封神榜以外にももっと深刻でドロドロした裏目的があります。それは仙界で勢力を二分する闡教と截教の勢力争いでした。実は仙人は、人間が修行して仙人になるパターンと、動物や樹木や奇石のような人間以外の存在が、数千年の歳月の中で霊気を受けて仙人になるパターンの2つのパターンがあり、人間から仙人になるものが闡教徒、人間以外から仙人になるものが截教徒と別れていました。
しかし、人間上りの仙人は非人間の截教徒を差別しており、その勢力が伸びる事を嫌っていて、抑え込もうと常々思っていました。もう一つ人間あがりの闡教徒の仙人は、殺劫という業を背負っていてどんなに清浄な生活をしても1500年の間には殺人をしたいという欲望がMaxになってしまう宿命がありました。
そこで、闡教徒の仙人は、人間界の易姓革命に参加し、世直しの大義名分の下で合法的に人殺しをして殺劫を解消し、ついでに截教徒の仙人を多めにぶっ殺して仙界の均衡を保とうと考えていたのです。もう、二重にも三重にもドロドロで、仙人と言えど人間と変わりません。
やはり登場人物が大半死ぬ封神演義
封神榜のリストに掲載されたリストラ要員は365名いますから、当然、封神演義は水滸伝同様に、ほとんどの登場人物が死ぬという殺伐な話になります。それも水滸伝よりも性質が悪いのは、易姓革命に参加するほとんどの登場人物は、自分が封神榜にリストアップされている事を知りません。当人たちは、正しい事をしているつもりで敵を殺し殺され、封神計画の片棒を担いで、バタバタと倒れていくのです。
もちろん、それは姜子牙に協力して易姓革命を手伝う味方も同様でした。姜子牙だけは、封神榜を読んでいて誰が神に封じられるか知っているので、味方陣営でも誰が死ぬかは承知しているのです。絶対言えませんけど・・・。なんというか、造られた聖戦で死んでいくって、哀しいなという話なんですけど
封神演義ライターkawausoの独り言
仙界のごく一部の仙人の自分勝手な計画で365人もの人や妖怪や仙人が殺害されて神に封じられ、その隠れ蓑として易姓革命が利用され、人間も大勢苦しんで死ぬというのが封神演義の大まかな筋立てです。ただし個性豊かなキャラクターが繰り広げる冒険活劇は理不尽も込みで一見の価値がありますから、一度読んでみて下さいね。
関連記事:藤崎竜ファン感涙 封神演義がアニメ化!アニメキャスト声優や見どころ
関連記事:封神演義(ほうしんえんぎ)って何?殷末の武将たちの戦いをもとに書かれた小説
そのほかにもある、中国の小説
中国には「四大名著」と呼ばれる4つの小説があります。ひとつはご存知『三国志演義』です。残りの3つを挙げてみましょう。
・『水滸伝』
・『西遊記』
・『紅楼夢』
『紅楼夢』の代わりに、明代のエロティックな長編小説『金瓶梅』を挙げる方もいますが、その場合は「四大奇書」というのが一般的です。残念ながら前述の『封神演義』は入っていません。
『水滸伝』は、北宋時代に起こった反乱をもとにした小説です。梁山泊に集まった豪傑たちが、乱れた国政に対して戦いを挑む話です。『南総里見八犬伝』の作者、滝沢馬琴が心酔していた話としても有名です。
『西遊記』は、唐時代の三蔵玄奘の仏典を求める旅を、さるの孫悟空らが供をして活躍する話です。日本人にもとてもなじみの深い小説だと思います。『紅楼夢』は、清時代に書かれた小説で、上流階級の生活とその没落が描かれた話で、登場人物の感情がこれまでの小説よりいっそう細やかにあらわされています。他の3作品とは雰囲気がかなり違う上、日本ではあまりなじみがありません。
参考文献:爆笑封神演義 KOEI
関連記事:山海経(せんがいきょう)って何?|中国古代の神話世界
関連記事:三国志の二次小説が江戸時代に書かれていた