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『三国志』人気を数字から考えてみる

この記事の所要時間: 326




張飛 参上

 

人間の歴史は戦争の歴史、とも言いますが、世の中にはさまざまな時代のさまざまな戦争を題材とした文学作品があふれています。

その中でも『三国志』は最も人気の高いジャンルであると言っても過言ではないでしょう。

 

それにしても、なぜ『三国志』は本国である中国のみならず、日本においてもこれだけの人気を得ているのでしょうか?




なぜ、“三”国志なのか?

三国志まとめ 董卓

 

「そりゃ、魏・呉・蜀の三つの国があったからだろう?」……と思われた方。

確かに仰るとおり、三つの国が天下統一を志したから『三国志』……であることには間違いありません。

 

しかし、日本の戦国時代に代表されるさまざまな歴史小説、時代小説の中で、なぜ『三国志』が際立っているのか、不思議に思われたことはありませんか?

 

日本語には、「三度目の正直」「仏の顔も三度」「早起きは三文の得」などなど“三”という数字が用いられたことわざが数多くあります。

 

「三大◯◯」、という言い回しも良く使いますよね。

「世界三大料理」「日本三大霊場」、「日本三景」や「相撲三役」などもそれに類していると言えるでしょう。

 

「三つのものをひとまとめにして考える」という思考法は、実は日本独自のものではなく、ヨーロッパや中国にも見られるものです。

キリスト教における『父と子と精霊の御名において』というい“三位一体”が、その代表的なものですよね。

 

どうやら「3」という数字そのものに、特別な意味があるようです。




数学・力学的には最も安定・調和した数字の「3」

桃園兄弟

 

「3」という数字は、人類が最初に数字の概念を得た時代、最大の数字とされていました。

小さな子どもが1と2の上を「たくさん」と数えることとも共通するように思われます。

 

見方を変えるならば、「3」とは「無限」の象徴でもあり、それは宇宙や世界そのものの象徴であったとも言えるかもしれません。

(日本語の『三国一の果報者』が「世界一の幸せ者」という意味であったことに注目してみましょう)

 

関連記事:中国だけじゃない? 世界の三国時代・古代琉球・朝鮮半島・ブリテン諸島などを紹介

関連記事:古代中国のコペルニクスは孔明だった?彼はなぜ天文学を学んだの?

 

力学的に「3」は最も強度と安定性のある数字とされています

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例えばイス。

実はイスの脚としては三脚が最も安定性のある形状であることをご存知でしょうか?

 

確かに平らな床の上に限っては四脚の方が安定性があるのですが、砂利の上など、整地されていない地面の上では四脚のイスはすぐにガタついてしまいます。

それに比べ、三脚は不整地でも安定させやすいのが特徴です。

カメラの撮影用に三脚が用いられるのも、その事によるわけです。

 

紙を折って三角柱と四角柱を作り、それを立てて上から力を加える実験を行うと、四角柱より三角柱の方が強度があることが知られています。

ダンボールの中紙が三角形に折られているのも、その方が強度がでるからです。

 

人間は「3」という数字に、無意識のうちに安定と調和を見出しているのかもしれません。

 

「3」の数字は崩壊の予兆を感じさせる

天下三分の計

 

しかし、同時に「3」という数字は崩壊の予兆を感じさせる数字でもある。

 

数学的に見れば安定や調和を意味する「3」ですが、ストーリーを作る視点からとらえた場合、実はまったく反対のことが言えます。

 

 

3つのモノ、あるいは力が存在するとき、その3つすべてが均等であるなら確かに安定するでしょう。

しかし、3つのうちの2つが寄り添ったり、あるいは一体化すると、たちまちこの均衡は破れてしまいます。

三者のうち二者が対立状態にあるとき、実は残された一人こそが対立の勝敗のアドバンテージを握ることになります。

対立する二者のいずれかに付くも良し、両者を対立させて漁夫の利を得るのもよし、自らの力を持って三者の均衡状態を生み出すことも可能です。

 

 

……あれ? これってどこかで聞いたことがあるような?

 

そう思われた方も多いのではないでしょうか。

 

 

そう。

 

コレって、諸葛孔明の「天下三分の計」とまったく一緒!!

 

つまり、3つの勢力(人物)という構造は最も物語にドラマ性を生み出すことのできる構造であり、ストーリーを構築する時の基本とも言える形なのです。

 

二つの勢力の争いは均衡による膠着と安定……

 

チェスにおける『千日手』に陥りやすいですが、ここに第3の力を加えてやることで、その安定性をいかようにも崩し、展開させるきっかけを作ることが可能になるのです。

 

 

田中芳樹氏の小説『銀河英雄伝説』では、“銀河帝国”と“自由惑星同盟”という二つの勢力が対立、戦争を繰り広げるなか、もうひとつの勢力“フェザーン自治領”が暗躍し、ドラマを展開させていきます。

これも「3つの勢力」の原則に則り、物語を自在に展開させていく手法だったわけです。

 

 

まあ『銀河英雄伝説』の仮題は『銀河三国志』だったそうですから、三つの勢力が登場するのも当たり前の話、なのですが。

 

 

 

 

“約束されたベストセラー”だった『三国志』

はじめての三国志看板

 

『三国志』とは、タイトル「3」が持つ安定性や調和性から、その内容に対する「完全性」を期待させるものである一方、

物語をドラマティックに展開させるための最も基本的な対立構造を設定上に持つ物語であります。

 

つまり最初から約束されたベストセラーであるとも言えるでしょう。

 

 

今回は『三国志』人気を、少しいつもとは違う方向から考えてみましたが、皆さんはどうお考えになったでしょうか?

 

 

関連記事:三国志は2つある!正史と演義二つの三国志の違いとは?

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この記事を書いた人:石川克世

石川克世 三国志自己紹介:

三国志にハマったのは、高校時代に吉川英治の小説を読んだことがきっかけでした。
最初のうちは蜀(特に関羽雲長)のファンでしたが、次第に曹操孟徳に入れ込むように。
三国志ばかりではなく、春秋戦国時代に興味を持って海音寺潮五郎の小説『孫子』を読んだり、
兵法書(『孫子』や『六韜』)や諸子百家(老荘の思想)などにも無節操に手を出しました。

 

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