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始皇帝は不老不死を求めて何で水銀を飲んだの?

2015年9月7日


 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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辰砂(しんしゃ)別名:賢者の石

辰砂(しんしゃ)

どうでしょう?

これだと、なんか薬っぽくみえなくもないですよね?

 

この辰砂は、水銀が硫黄と結びついた硫化水銀という物質です。この硫化水銀には、とても面白い性質が存在しています。赤い鉱石である硫化水銀は、酸素中で熱してある温度に達すると硫黄と分離し、液体金属である銀色の水銀となります。

 

しかし、この状態の水銀を350度まで加熱すると今度は酸素と結合する酸化を起こし、再び赤黒い砂状の物質に変化します。この状態の物質は赤降汞(せきこうこう)と呼ばれます。粒子の大きさによって黄色い黄降汞(おうこうこう)にもなります。

 

この赤降汞をさらに加熱していくと、400度で黒色化し、500度になると酸素と分離して再び水銀に戻ります。つまり、硫化水銀という物質は加熱していくと赤い固体(辰砂)→銀色の液体(水銀)→赤い固体(赤降汞)→銀色の液体(水銀)と、その姿を循環させつつ変化していく、ということですね。

 

不老不死を実現するための技、煉丹術

水滸伝の包道乙 仙人

 

始皇帝の時代以前から、中国には“不老不死”の思想がありました。諸子百家のひとつ、道家の思想から派生した宗教である道教には、神仙=仙人となって不老不死を得ることが究極の理想であるとする考え方がありました。そこから派生した長生術が煉丹術(れんたんじゅつ)です。

 

煉丹術は、はじめ不老不死の秘薬を作るとこから始まりました。これを『外丹術(がいたんじゅつ)』と呼びます。

 

 

劉雄鳴は三国志の仙人

 

『外丹術』において、薬の基本材料とされたのが辰砂です。辰砂は別名を丹砂(たんしゃ)と呼ばれ、この辰砂を用いて作られる薬は『丹薬』と呼ばれました。もちろん、主原料が辰砂=水銀ですから、そこから作られた丹薬が不老不死の秘薬であるわけがありません。はっきり言って毒薬です。

 

実際、唐の時代にはこの丹薬を服用して死んだ皇帝が何人もいたことが、史書に記されています。

 

結局、不老不死の秘薬を生み出そうとする試みは失敗に終わりましたが、錬丹術はその後、『外丹術』の思想を応用し、自らの身体機能を呼吸法や房中術で高めて不老長寿に至ろうとする思想に変化していきました。この思想を『内丹術(ないたんじゅつ)』と呼びます。ちなみに、曹操(そうそう)が行った健康法はこの『内丹術』の教えに基いています。

 

関連記事:曹操は健康オタク?三国時代のロングブレス健康法

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錬金術と錬丹術の類似点

錬金術 wiki

(イラストはホムンクルスを作り出す錬金術師)

 

中国の煉丹術と西洋の錬金術にはいくつかの類似性を見出すことができます。まず、その主目的は失敗に終わっていること。煉丹術は不老不死の妙薬を創りだすことが目的でしたが、錬金術は貴金属(金)を他の金属(卑金属)から生み出そうとするのが最初の目的でした。

 

多くの副産物を生み出したことも類似点と言えるでしょう。例えば火薬は錬丹術の副産物であったと言われています。錬金術も、やがて科学の母体となり、そこから無数の成果物が作り出されたことは、説明不要ですよね。

 

そしてもう一点、水銀と硫黄を主要な物質としていた点も類似しています。(正確には、錬金術においては『水銀』『硫黄』『塩』の三種類の物質があらゆる物質の基本であるとされましら)

 

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石川克世

石川克世

三国志にハマったのは、高校時代に吉川英治の小説を読んだことがきっかけでした。最初のうちは蜀(特に関羽雲長)のファンでしたが、次第に曹操孟徳に入れ込むように。 三国志ばかりではなく、春秋戦国時代に興味を持って海音寺潮五郎の小説『孫子』を読んだり、 兵法書(『孫子』や『六韜』)や諸子百家(老荘の思想)などにも無節操に手を出しました。 好きな歴史人物: 曹操孟徳 織田信長 何か一言: 温故知新。 過去を知ることは、個人や国家の別なく、 現在を知り、そして未来を知ることであると思います。

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