キングダム
if三国志




はじめての三国志

menu

三国志の雑学

【はじめての孫子】第8回:夫れ兵の形は水に象(かたど)る。

水攻めをする兵士




水攻めをする兵士

 

「はじめての孫子」8回目。

今回は「虚実篇」これまで語ってきた戦略、戦術の総論の締めとして、

孫子はここで合戦に勝つための2つの重要なポイントを説明しています。

『兵(戦)の形は水のようなものである』

孫子のその言葉には、一体どのような意味があるのでしょうか?

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

前回記事:【はじめての孫子】第7回:凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。

関連記事:三国志を楽しむならキングダムや春秋戦国時代のことも知っておくべき!

 

 

「虚実篇」の要点

孫子の兵法 曹操

 

●最も重要なことは戦いの主導権を取ることである。

●先手を取って、相手を意のままに動かすべし。

●兵力を集中すること。分散は愚策である。

●敵情を知り、その虚を突くべし。

■機先を制し、先手を打つことの重要性

 

前回まで、孫子は守ることの重要性を繰り返し主張してきましたが、

彼の言う守勢とは消極性を表すものではありません。

むしろ孫子は、相手に先立って軍を動かし、

敵に先んじて戦闘の主導権を握ることの重要性を説いています。

 

守備をするにしても、まず、

自軍にとって守りに有利となる場所に布陣をすることが必要です。

そして、敵の先手を取ることは、

単に守備することにとって有利となる以上のメリットを自軍にもたらします。

 

 

先手を取ることでどんなメリットが得られるか?

 

●先に布陣して待ち構えれば、

自軍の兵士はその間休息を取ることができる。

しかし、後から駆けつけてきた敵軍は休む間もなく戦いを始めなければならず、

最初から疲れた状態で戦闘しなければいけない。

 

●先んじて行動してみせることで、敵軍を陽動し、

あたかも敵にとって有利に戦えると思える場所に誘い出すことができる。

逆に、自軍にとって不利な場所に敵が布陣しないよう、

それが誤った判断と思い込ませることもできる。

 

●敵が布陣し守りを固めていても、行動の主導権を取れば、

敵が守りを捨てて行軍して来ざるを得ないよう、要地を攻め立てることができる。

 

●先手を取って行軍すれば、その過程で敵に急襲される恐れはなくなる。

 

●敵に先行すれば、敵がまだ守備を固めていない要所を

攻撃してやすやすと攻め落とすことができる。

 

常に先手先手を取って、相手に自分の意のままに行動する自由を与えないこと。

これが重要であると孫子は説いています。

 

関連記事:武経七書(ぶけいしちしょ)って何? 兵家を代表する七つの書物

関連記事:これぞ戦争の極意!!兵家の思想ってどんな思想?

 

戦争は数だよ、兄貴!!

 

……と孫子が言ったわけではありませんが、

多数が少数に勝つのは戦争のもっとも基本的な原理と言えます。

 

もちろん、前回紹介した合肥の戦いや、

日本における桶狭間の戦いのような例外もありますが、

それらは基本的に敵がその数ほどの戦力を出し得ない状況にあったからこそ

少数が多数に勝利しえた数少ない事例となったのです。

 

孫子はまず敵の機先を制して行動することの重要性を説き、

次にそうすることで、自分の手のうちを敵に見せることなく、

相手を翻弄し、自軍の行動を隠すことができると言います。

 

敵と味方の兵力が1:1の場合、

両軍がそのまま激突すれば自軍はそれと同様の戦力を持つ敵と戦うことになります。

数で同等の戦いですから、そこには例え勝てたとしても、

少なからぬ損害を被ることは間違いありません。

 

しかし、敵の機先を制して、

相手に悟らせないまま自軍の有利な地点で待ち構えることができればどうでしょう?

敵は自軍の行動が予想できなくなり、

自軍が布陣している可能性のある地点に兵力を分散して向かわせざるを得ません。

 

敵が十箇所に分散してしまえば、自軍は十分の一の戦力と戦うことになり、

これなら圧倒的有利に戦うことが可能です。

兵力の拡散は古今東西最も愚策とされており、孫子もまた、そのことをキツく戒めています。

 

ランチェスターの法則って、知ってます?

 

1914年、イギリスの技術者であったフレデリック・ランチェスターは第一次世界大戦に際して、

「ランチェスターの法則」と呼ばれる二つの軍事的法則を発表しました。

 

ピタゴラスの定理にヒントを得たとされるこの「ランチェスターの法則」は、

もともと航空機のエンジニアでもあったランチェスターが、

第一次世界大戦時の最新兵器であった戦闘機による軍事戦略のために考案したものですが、

現代では広く経営戦略にも用いられることで有名です。

 

「ランチェスターの法則」は第一・第二の二つの法則からなっていますが、

特に重視されているのは、その第二法則です。

 

攻撃力=兵士数の2乗×武器性能

 

言い換えると、互いが装備する武器性能が同等であるのなら、

攻撃力はほぼ、その数の2乗である、ということです。

 

また、この法則から、次の式を導き出すこともできます。
強者の兵力Aと弱者の兵力Bが戦った時、AがBを全滅させて尚残る兵力は

√(Aの2乗-Bの2乗)

 

ちょっとわかりにくいので、簡単な例えで説明してみましょう。
ケンカをする場合、一対一であれば、体力(武器性能)が同じなら戦力はまったく互角、

そのままでは相手を倒せても自分も共倒れになってしまいます。

しかし、2対1の場合はどうでしょうか?
2人でケンカする場合の戦力はその2乗の4、それに対して1人の側は戦力1のまま。
2人組が1人をのしても、2人組側に残る戦力は√3ですから、片方がちょっとケガをする程度です。

この場合、1人でケンカする側が2人組に勝つためには、4倍以上の体力が必要、となるわけですね。

「ランチェスターの法則」を見ても、

いかに戦力を拡散してしまうことが愚策であるのかが良くわかります。

 

 

強い軍のありようはさながら水のごとし?

 

相手の虚(弱点)を突き、臨機応変に対応して巧みに戦える軍隊のことを、孫子は水にたとえています。

相手の堅実な部分を山に例えるなら、

その弱点=虚はさながら山に生じる谷あいのようなものであり、

その虚に応じて行動できる軍とは、あたかもその谷間を埋めて流れる水のようなものである。

 

敵の先手を取り、その行動や目的を読み取って、

どこが弱点であるかをしっかりと把握し、その虚を突くように行動を絶えず変化させること。

それこそが重要であり、それをなし得ることこそが神業であると孫子は言っています。

 

三国志ライター 石川克世の次回予告

石川克世

次回「はじめての孫子」は『軍争篇』
孫子実践編その一、実際に軍を動かすにあたっての心構えを孫子が説いていきます。
あの武田信玄で有名な一節も登場しますよ!!

それでは、次回もまたお付き合いください。再見!!

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

次回記事:【はじめての孫子】第9回:其の疾きことは風の如く、其の徐なることは林の如く

 

最強の戦略教科書『はじめての孫子の兵法』
はじめての孫子の兵法

 




石川克世

石川克世

投稿者の記事一覧

三国志にハマったのは、高校時代に吉川英治の小説を読んだことがきっかけでした。最初のうちは蜀(特に関羽雲長)のファンでしたが、次第に曹操孟徳に入れ込むように。三国志ばかりではなく、春秋戦国時代に興味を持って海音寺潮五郎の小説『孫子』を読んだり、
兵法書(『孫子』や『六韜』)や諸子百家(老荘の思想)などにも無節操に手を出しました。

好きな歴史人物:

曹操孟徳
織田信長

何か一言:

温故知新。
過去を知ることは、個人や国家の別なく、
現在を知り、そして未来を知ることであると思います。

関連記事

  1. 梁興と馬騰 【潼関の戦い】関中軍閥にはどんな人がいたのか?
  2. 【袁術のちょっとイイ話】袁術(えんじゅつ)と蜜柑のお話
  3. 孫堅が伝国の玉璽を手に入れたわけ
  4. 三国志一騎打ちの強さベスト10!一騎当千は誰だ!
  5. 漢(ハン)HAN amazon引用 漢代の中国が舞台のボードゲーム「漢(ハン)」について調べてみた
  6. 烏桓族 曹操、生涯最大の苦戦 白狼山の戦い|烏桓討伐編
  7. 楽進 【俺たちだって五虎将だ!】魏の五虎将たち~楽進・于禁篇~
  8. レッドクリフを100倍楽しむ!赤壁の戦いを分かりやすく徹底紹介!…

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

  1. スサノオノミコト(日本神話)
  2. 豊臣秀吉 戦国時代
  3. 司馬懿
  4. 袁尚と対立する袁譚
  5. 周瑜と孫策

おすすめ記事

  1. 【孔門十哲】子游(しゆう)とはどんな人?ドヤ顔といえばやっぱりこの弟子
  2. 同じくらいの力量の武将や軍師を三国間でトレードしたらどうなる?
  3. 明智光秀の家臣にはどんな人がいたの? 細川ガラシャ
  4. 厳顔の最後はとっても○○だった!! 蜀の厳顔
  5. 立花宗茂とはどんな人?大河ドラマ希望ナンバー1武将の人気に迫る 立花宗茂
  6. 董卓の軍師・李儒はどれだけ凄かったの?革新的な進言を続けた謎の軍師 李儒

三國志雑学

  1. 夏侯覇の妻は誰?
  2. 曹操の元から離れる関羽
  3. 周瑜と孫策
  4. 後継者を決めずにダラダラする袁紹
“はじめての三国志150万PV" はじめての三国志コミュニティ総合トピック
“広告募集"

はじめての三国志 書籍情報

朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ (桃園出版 三国舎)

著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. 三国夢幻演義バナー 龍の少年
  2. 魏の移民政策のプロ、田豫(でんよ)
  3. 孔子と儒教

おすすめ記事

呂布と劉備 【呂布の心に響いた名言】その肉を飽かしむべし。飽かざれば人を咬まんとす 裏切りそうな悪い顔をしている明智光秀 明智光秀は謎だらけの戦国武将の理由とは?謎に包まれている原因を解説 【はじめてのスキッパーキ】スキッパーキって、どんな犬なの?【第1話】 甘寧に殺されかける料理人 【よかミカン紀行】甘寧がブイブイいわせてた重慶ってこんな街! おとぼけ 【はじめての方へ】難しい三国志サイトに飽きたら、黙ってココをCLICK!! 曹純 曹仁の弟である曹純は相当強かった?英雄記をもとに曹純の趣味や戦績を紹介 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース30記事【11/20〜11/26】 諸葛恪は諸葛亮からあれをパクッていた!?

はじさん企画

“if三国志" 英雄の死因 “三国志とお金" “はじめての漢王朝" “はじめての列子" “はじめての諸子百家" “龍の少年" “読者の声" 袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
英雄の武器 編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志" 英雄の墓特集
“邪馬台国"

“三国志人物事典"

PAGE TOP