今回は百発百中の天才占い師・呉範(ごはん)を紹介します。彼は風の流れを占い、荊州の牧である劉表の死や劉備が益州を得ることなどを占い、見事に的中させます。
この記事の目次
孫呉に仕えた天才風占い師
呉範は会稽郡の生まれで、若い頃から風を読んで様々な事を的中させてきました。その結果郷里では彼の名声が高まります。孫権(そんけん)は占い師として名を挙げていた彼の名声を聞きつけ、招聘します。
風占いを行って孫権に進言
孫権は宿敵である黄祖(こうそ)討伐のため江夏城へ侵攻します。呉範は孫権が討伐を決意する前に「私の占いによると、今年は黄祖討伐の軍を出しても利を得る事が難しいでしょう。そのため出撃を止め、来年にした方がいいでしょう。来年になれば荊州の牧である劉表が亡くなり、江夏城の守備が弱まるため、攻めれば抜群の利を得る事が出来るでしょう。」と進言します。しかし孫権は呉範の進言を無視して江夏城へ侵攻します。結果は呉範の予想通り、利が出ないどころか敗北してしまいます。
風占いの結果が現れる
孫権は翌年再び黄祖が籠る江夏城に侵攻。呉範は風占いを行った後、孫権に「孫家の宿敵である黄祖を今日討ち果たすことができます。おめでとうございます。」と祝賀の言葉を述べます。孫権は再び黄祖が逃げたのではないかと心配していたが、呉範は「必ず捕虜にする事が出来ます。安心してください」と伝えます。黄祖は呉範の言う通りになり、討ち果たすことが出来きます。彼は劉表(りゅうひょう)の死も予言していたが、この予言もばっちり当てております。
劉備の蜀強奪も予言
211年劉備は益州に入って蜀の主である劉璋軍と戦いを開始します。呉範はお得意の風占いを行います。呉範は「甲午の歳(214年)には蜀を得る事になるでしょう。」と占いの結果を孫権に伝えます。
呉範を厳しく問いただす
呉の異民族討伐隊長であった呂岱(りょたい)は蜀に行き、帰りに劉備(りゅうび)と会います。彼は呉に帰ってくると孫権に「劉備軍の兵はちりじりになり、引き連れていた兵士の半数は死傷者です。これじゃ蜀を取る事は出来ないでしょう。」と蜀の情勢を報告します。孫権は呂岱の報告を聞くとすぐに呉範を呼びつけ「呉範よ。我にウソを教えたのか」と厳しく問いただします。すると呉範は「私があなたに申し上げたのは、天命です。呂岱のような現状報告ではなく、運命で決まっているのでありますから、必ず劉備は蜀を取る事になるでしょう。」と再度自分の占いの結果を強調します。
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