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墨を溜めるのに必要な硯と墨
筆で文字を書くには、墨が必要ですし、その墨を摺り、
溜めておく硯(すずり)も絶対必要なものです。
イラストに描かれているのは、それほど高いものではありませんが、
時代が下るにつれて、硯は価値が増し、美術品の域まで造形が、
高められていきます。
イラストの墨は使いこまれてすり減っていますが、
当時の墨は、今よりも、かなり粗くしか摺れなかったようで、
さらに、粉々にする為の道具が存在したようです。
世の中は銭、お金
役職によっては、税金を徴収したり、また関所を通過する場合に、
一定の通行料を支払ったりしたので、当然、お金は入っていました。
当時の銅銭の穴は四角だったので、そこに棒を通したり、
紐を通したりして、ひとまとめにして使用していました。
現在の電卓?算籌(さんちゅう)
役人の仕事には、収穫物や税金の出納状況、税金の滞納、または、
物資の移動などで、必ず計算というものが必要になります。
そこで、使用されたのが、現在で言えば電卓にあたる算籌です。
算籌とは40本程度が袋に収められ、赤と黒の色が塗られた、
竹、木、あるいは骨で出来た計算用の道具です。
この算籌の詳しい使用法については、この過去記事を読んで頂くとして
これで見ても、役人になるには、最低、四則演算くらいは出来ないと
どんな下級役人でも仕事はおぼつかない事が分かります。
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今で言えば、消しゴム、書刀
(写真引用元:http://catalog.digitalarchives.tw/)
弘法も筆の誤りというように、誰でも間違いはあります。
筆で書いたものの、文字を誤れば、牘に書いた文字を消す必要があるのです。
紙であれば、墨で書いたら書きなおしですが、牘は板ですから、
書刀という刃物で文字部分を削ればいいのです。
もっとも、その為に、木簡や牘は常に改竄(かいざん)が疑われました。
それを回避する為に木簡を束にして、紐で縛り粘土を紐に埋め込んで封をし、
最期に粘土に印を押して、紐を開けると粘土の印が割れるように細工し
誰も途中で中身を開いていないという証拠にしました。
書刀は、この封印の紐を切るのにも使用されています。
キングダムでも、毐国(あいこく)が秦王政の加冠の儀に合わせて
反乱を起した時に、偽物の印を使用して木簡に封をしていましたね。
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三国志ライターkawausoの独り言
当時のサラリーマンとも言うべき、役人の七つ道具は、
道具こそ違うとはいえパソコン端末が普及する前の時代の
サラリーマンの持ち物とそう変わらないような気がします。
システム手帳、万年筆、小銭、電卓、消しゴム、
やはり1800年前の三国志の時代のお役人と相通じる
アイテムが多いです。
曹操は、戦場でも武器を傍らに詩を書いたポエマーであり
きっと彼の柳行李も、牘や気に入りの筆や、硯や書刀で一杯
だったのではないかと想像します。
本日も三国志の話題を御馳走様でした。