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霊帝死す
霊帝は病にかかり、次の皇帝を決めなくてはならなくなりました。彼は何皇后が生んだ劉辯(りゅうべん)は頭も悪く、ポンコツであったため、側近である王美人が生んだ劉協(りゅうきょう)を次の皇帝にしたかったのですが、何皇后の機嫌を損ねるのを嫌がったことと何皇后の兄である何進が、兵権を持っていたため、なかなか言い出すことができませんでした。そこで自分の直轄部隊のリーダーである蹇碩(けんせき)に「劉協が皇帝になれるように計画しろ」と遺言を残して亡くなります。
第一次何進暗殺計画
蹇碩は劉協を皇帝に仕立て上げるためには、兵権を握っている何進を殺害しなくてはならないと考えます。そのための計画としては、宦官の仲間を宮中に潜ませ、何進を宮中に呼び寄せてから殺害しようと計画を立てます。こうして立てた計画を実行するため蹇碩は、何進に今後の王朝運営に関する意見を聞きたいという名目で、宮中に誘い出そうとします。しかし何進はこの計画を事前に知る事となり、宮中へ赴くことはありませんでした。
宦官討滅を計画
何進は自らを殺そうとした蹇碩を恨み、ついに宦官達を全滅させる作戦を考えます。西園八校尉の一人である袁紹も同じ考えを抱いていたことから、宦官討滅作戦の指揮をとらせます。また何進は仲間を集めるため、様々な人達に呼びかけます。彼の呼びかけに集まった代表的な人物は、荀攸(じゅんゆう)や逢紀(ほうき)などの智謀に優れた人物から、袁紹の従弟である袁術などの武官も参加します。こうして準備を着実に整え、宦官討滅作戦の時期が来るのを待ちます。
第二次何進暗殺計画
蹇碩は何進が在野の士や武官を集めて、宦官討滅作戦を計画しているとの噂が耳に入ってきます。そのため彼は、何進が宦官討滅作戦を実行する前に、何進を暗殺しようと考えます。そして第二次何進暗殺計画を企てます。彼は再度この暗殺計画に参加してくれる仲間を集めるため、宦官達に声をかけます。蹇碩に声をかけられた宦官達の中に、何皇后を霊帝に引き合わせた何進と同郷の宦官がおりました。彼は何進が殺害される計画を聞き、急いで何進のもとへ向かい、この計画を知らせます。何進は自分を殺害する計画が立てられている事を知り激怒。そして彼は、先手を打って蹇碩を殺害し、彼が率いていた兵をすべて自らの軍団に組み込みます。
袁紹の進言
袁紹は何進がなかなか宦官討滅作戦を実行しないことにいら立ちを感じ,宦官討滅を行うように彼を煽ります。袁紹の言葉に煽られた何進は、皇后である妹に相談します。すると妹は宦官討滅作戦に猛反対。妹に猛反対された事で何進は、そのまま作戦本部である自宅に帰ってきます。袁紹は何進がうなだれて帰ってきた所を見て再び進言を行います。彼は「次の作戦は、天下の実力者を集めて皇太后を脅迫。そして一気に宦官達を殺害すればいいのではないでしょうか。」と提案します。何進はこの進言を採用し、天下に散らばる実力者に声をかけます。
絶好の機会を逃す
何進の呼びかけに応じて各地の実力者達が集まってきます。しかし呼びかけた張本人である何進は、宦官討滅に乗り気じゃなくなってきます。さらに彼が宦官討滅に乗り気じゃなくなったのは、宦官側から何進に対して「今まで行ってきた数々の無礼を許してほしい」と陳謝してきます。袁紹は宦官達が何進に対して謝りに来た際「今奴らを殺害すれば、事は済みますぞ」と提案。何進は袁紹の提案を決断できず、グズグズしていたため絶好の機会を逃すことになります。
ついに決断し、宦官討滅作戦を決断するが…
何進はグズグズしておりましたが、袁紹の再三にわたる進言を聞いて、ついに宦官を討滅する作戦を行う決意をします。彼はまず皇后である妹に「宦官を全員、殺すから。よろしく」と伝えます。
このとき宦官のボスである張譲(ちょうじょう)は何進が後宮を去ろうとしている背中に、駆け寄り剣を突き刺し、彼を殺害します。こうして何進は自らの決断力の無さが原因で、残念な最期を迎えることになります。
三国志ライター黒田廉の独り言
何進亡き後どうなったかサラりと説明します。袁紹達は何進が宦官達に殺害されたことを聞くと、兵を率いて後宮に乱入。手あたり次第の宦官達を殺害していきます。このとき宦官のボスである張譲と数人の宦官達は皇帝・劉辯(りゅうべん)と陳留王である・劉協(りゅうきょう)を連れて脱出します。しかし盧植(ろしゅく)の軍勢に見つかってしまい、張譲らは近くの河に身を投げて自殺します。こうして盧植は皇帝達を取り戻すことに成功します。
その後洛陽に向かっていた董卓(とうたく)に皇帝兄弟達は迎えられて、首都洛陽へ帰還します。何進がもし宦官討滅作戦を計画しなければ、天下の実力者達は漢の政権に不満を感じながらも天下は乱れずに済んだかもしれません。天下が乱れないということは、劉備・曹操・孫権の三人も歴史に名を残すことはなかったかもしれません。
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