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【龍帥の翼】張良が黄石公からもらった三略とはどんな書物なの?【留侯世家異伝】

2016年6月27日


 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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【レポート・論文で引用する場合の留意事項】 はじめての三国志レポート引用について



劉邦の人材スカウトの元になった?

張良と劉邦

 

例えば、三略の最初には、こんな事が書いてあります。

 

リーダーは優れた人間の心を惹きつけ、手柄を立てた人間を表彰する事。こうして自分のやり方というものを部下と徹底して共有するのだ。どうしたら、人々の心を惹きつけられるのか?

 

それは、人々が好む事を自分も好み、人々が嫌うものを自分も嫌うのだ。こうすれば、やすやすと人々の心を惹きつける事が出来る。

 

国が治まり家が繁栄するのは、人材を得るからである。国が破れたり家が離散するのは人材を失うからである。命のある者は、すべて、それぞれの志を遂げる事を願っている。

 

サッカーボールを蹴る劉邦

 

読めば、読むほど、なるほどと思う内容ですが、実は劉邦が天下を取った経緯は、この三略の冒頭通りなのです。

 

破格の高待遇で優秀な人を集める

張良と劉邦

 

例えば劉邦に終始一貫している特質に気前の良さがあります。三略の上略には、部下をやる気にさせるには報酬を弾めばいいと書いてあり、高待遇を保証すれば、優れた人物は向こうからやってくるとされているのです。劉邦は、これを実践して、優れた人材を集めました。一方の項羽(こうう)は恩賞の与え方がケチで、優秀な人材を逃がしていきます。

 

人の好む政策を行い、嫌う事を廃止した

張良㈪ 戦争編07

 

また、人間は法律が難しいのを嫌い、法律が分りやすいのを好みます。劉邦はそれを実践し、秦の法律が厳しく難しいのを廃止して、それを簡単に書き改めました。秦の厳罰に苦しんだ人々が劉邦に感謝したのは言うまでもないでしょう。

 

大将軍になり活躍したいという韓信の望みを叶える

韓信 PR

 

それに国士無双の韓信(かんしん)は、常に自分は大将軍になれば活躍できると熱心に説いていましたが、実績がない若僧なので項羽は使わず、劉邦も当初は無視しました。しかし、䔥何(しょうか)の熱心な推薦で韓信を大将軍に任命した所、頼みもしないのに、あちこちで項羽の味方の国を滅ぼして活躍。漢の天下を近づける役割を果たしたのです。

 

これも命ある者はすべて、その志を全うする事を願っている

という三略の言葉を実践したものなのです。

 

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春秋戦国ライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

この三略ですが、実は張良が生きていた時代ではなく、その200年程後の後漢の初期の書物と言われています。そうなると、老人から受け取ったのは、別の書物だった事になるのですが現実には、劉邦の天下統一プランは、三略に沿っているので三略が、劉邦の事蹟を丸々パクったか、そうでないなら、以前存在した書を元に、三略としてまとめ直したのかも知れません。

 

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楚漢戦争

 

 

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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