キングダム
濡須口の戦い




はじめての三国志

menu

三国志の雑学

【三国志の素朴な疑問】蜀が北伐を止められなかった理由とは?

この記事の所要時間: 249




 

三国志初心者の方には、分らない事が幾つかあるであろうと思います。

例えば、どうして諸葛亮孔明(しょかつ・りょう・こうめい)は圧倒的に

国力に開きがある魏に何度も戦いを挑んだのか?別に戦わないで益州に籠った方が

ずっと政権は延命されたのではないかという疑問です。

実は、それにもちゃんと理由がありますので、ここで解説しましょう。

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

前回記事:五丈原の戦いの裏側で活躍した魏の満寵とは?前編




戦わないと国力が開くから・・だけでは正しくない

 

孔明の北伐について、よく解説されるのは、孔明は頻繁に遠征軍を送る事で、

魏の国力を削いで、その国力差が大きくならないようにしたという事です。

それは、間違いではないのですが、では、呉はどうなのでしょうか?

 

呉は蜀よりは国力がありますが、それでも魏には劣ります。

しかし、合肥(がっぴ)城を巡って地域紛争はしたものの、蜀のように

洛陽を落すような大規模な計画を立ててはいません。

 

それに国力が開くとはいえ、秦嶺山脈の険しい道を越えるのは蜀軍であり

魏は待ち受ける方なのです、より国力を消耗するのは蜀であって、

もし大敗しようものなら、その瞬間に魏に攻め込まれ蜀は終わるでしょう。




呉には無く蜀にあるモノが北伐を止められない理由

 

こうして見ると、北伐で魏の国力を削ぐ為というのは説得力が弱すぎます。

さらに呉には当てはまらないので、大きな要因とは言えないでしょう。

 

実は、北伐が止められない理由とは、蜀が後漢を受け継いだ後継政権だと

主張していた事と大きな関係があります。

敵対している魏も、自分達こそは後漢を継承した政権だと主張しています。

呉は、その辺をパーフェクトにスル―した独立王朝なので無関係なんですが

魏と蜀は論理上、並立できない関係でお互いを潰してしまわないと、

建国の正統性に揺らぎが生じてしまう不倶戴天(ふぐ・たいてん)の敵なのです。

 

蜀が先に滅んでしまったのも偶然では無かった

 

歴史上、呉と蜀では蜀が先に263年に滅んでいますが、それも偶然ではありません。

やはり、同じく後漢を継いだ正統王朝であると主張する蜀の方が

魏には気に障る存在だったのです。

 

呉が滅びるのは、蜀の17年後で、暴君、孫皓(そんこう)が呉に出てきて、

いつでも滅びる状態でも、晋は、かなり呑気に国内整備などをしています。

魏から見れば呉は、正統性で張り合う必要のない地方政権であり、

一刻も早く滅ぼすというモチベーションにはならなかったのです。

 

蜀は魏を滅ぼす事が建国の悲願だった

 

もうひとつ、劉備(りゅうび)が皇帝になって建国された蜀は、

その最初から曹丕(そうひ)によって盗まれた漢の天下の回復が聖なる目標でした。

つまり、呉の孫権のように、ノホホンと毎日を送る事は許されず、

一日も早く、一刻も早く、軍勢を起こして魏を討ち滅ぼして長安と洛陽を回復し

中国を本来の姿に戻すというのが絶対のイデオロギーなのです。

 

これが失われると、蜀はただの地方政権に成り下がり、

劉璋(りゅうしょう)が統治していた時のような、だらけた状態に戻ってしまうでしょう。

だからこそ、孔明は、ムキになったように北伐の軍を起こしていましたし、

その後継者の姜維(きょうい)も、緩んでいく蜀の士気を呼び戻すように、

かなり無茶な北伐を繰り返したと言えるのです。

 

三国志ライターkawausoの独り言

 

このように、孔明が北伐を繰り返した大きな理由は、魏と蜀が、

双方とも後漢の後継者だと主張していて、どっちかを滅ぼす以外に、

なんとかする方法が無かったという所にあります。

 

非常にイデオロギー色が強い話ではありますが、仮にその看板を降ろしたら、

蜀の内部の求心力が消滅し、魏か呉に降伏して身の安全を図ろうという人々が

大勢出てきてしまい、もっと早く蜀は滅んだのではないか?と思います。

 

 

あたかも、無能な劉璋に愛想を尽かした、張松(ちょうしょう)法正(ほうせい)

劉備を引きこんで国を売り渡したように、劉禅(りゅうぜん)の無能さに不安を感じた

蜀の臣が、出てきて蜀漢を売り飛ばした可能性も捨てきれません。

そう考えると、北伐は止めるに止められなかったのではないでしょうか?

 

 

■記事の内容に関するお問い合わせ(誤植等のご報告など)はこちら

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:姜維が北伐をしなかったら、あるいは北伐を成功させていたら蜀漢は長続きした?

関連記事:三国志を否定するのは呉の張昭?三国間の不毛な争いを終わらせようとした政治家

 

—古代中国の暮らしぶりがよくわかる—

 




 

kawauso

kawauso

投稿者の記事一覧

三度の飯の次位に歴史が大好き

10歳の頃に横山光輝「三国志」を読んで衝撃を受け
まずは中国歴史オタクになる。
以来、日本史、世界史、中東、欧州など
世界中の歴史に興味を持ち、
時代の幅も紀元前から20世紀までと広い。
最近は故郷沖縄の歴史に中毒中、、

好きな歴史人物:

西郷隆盛、勝海舟、劉邦、韓信、、etc

何か一言:

歴史は現在進行形、常に最新のジャンルです。

関連記事

  1. 趙雲の墓は存在するの?中国の三国志観光スポット旅行
  2. 天に頭はあるの?プライド賭けたトンチ合戦の勝敗は
  3. 沮授はなぜか話を聞いてもらえない…主君に恵まれなかった人生
  4. 【素朴な疑問】三顧の礼はどうして凄いのか?
  5. 武神と恐れられていた関羽は結婚していたの?
  6. 孫家三代もメロメロ、実は周瑜と双璧の名将 程普の伝説
  7. 張嶷(ちょうぎょく)とはどんな人?異民族討伐のプロフェッショナル…
  8. 曹丕(そうひ)得意の詩で蜀の調理法を斬る

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 【シミルボン】意外に現代っ子?飽きっぽく思いつき行動が多い曹操
  2. 【衝撃の事実】夏侯淵の一族にはなんと皇帝がいた!?
  3. 趙雲は本当に英雄?趙雲はイケメンでかっこよかったの?
  4. 【出身州別】三国志キャラの性格診断 第一回:司隷(しれい)、豫州(よしゅう)編
  5. 幻の必殺陣形・八卦の陣とは?三国志演義と諸葛亮孔明の八陣図
  6. 魏の初代皇帝・曹丕はいったいどんな仕事をしていたの?

三國志雑学

“はじめての三国志150万PV" はじめての三国志コミュニティ総合トピック
“広告募集"

はじめての三国志 書籍情報

朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ (桃園出版 三国舎)

著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

おすすめ記事

大都市西安の碑林博物館をよかミカンが見学したよ 【キングダム】秦の旧六大将軍と新六大将軍を大胆予想! キングダム578話最新ネタバレ予想vol2朱海平原の戦いはフェイクだった 【はじめての西遊記】ウキッ!と登場、孫悟空(そんごくう)って何者? 潼関の戦いに参加した異民族、阿貴と千万とはどんな人? 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース38記事【1/23〜1/29】 夏侯嬰(かこうえい)ってどんな人?劉邦を挙兵時代から支えた夏候惇の先祖 【三国志群雄列伝】3分でわかる:三国志の群雄達の名言

おすすめ記事

  1. 臥龍は起つ気まんまんだった!?三顧の礼のやらせ劇を詩から読み解くよ
  2. 【三国志RPG】DRAGON BLADE(ドラゴンブレイド)第2回 ドラゴンブレイドのアプリはやり込むほどに面白い!
  3. 【数奇な人生】三国志演義には登場しない臧洪(ぞうこう)と袁術の奇妙なニアミス!
  4. 【3分で分かる】卑弥呼の重臣・難升米(なしめ)とは何者なの?
  5. 【三国志の新事実】マジで!?蜀の天才丞相・諸葛孔明が沢山いた!
  6. 超爽快シミュレーションRPG「三国志CROSS」の後半イベント『帝ちんの宝貝ザクザク祭』がスタート
  7. 釣った人材が次々逃げる!ダメ釣り人袁術
  8. 【後北条氏】早雲から5代続いた関東の戦国大名を紹介

はじさん企画

袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志"
“邪馬台国"

“三国志人物事典"

PAGE TOP