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諸葛亮の住まいはどっち?襄陽古隆中VS南陽臥竜崗

この記事の所要時間: 359




 

 

蜀(しょく)建国の功臣、諸葛亮(しょかつりょう)

仕官する前は山野に庵を結んで隠遁生活をしていました。

その庵は一体どこにあったのか。

中国では「襄陽古隆中(じょうようこりゅうちゅう)」と

「南陽臥竜崗(なんようがりょうこう)」で

互いに譲らぬ熾烈な本家争いがあるのです!

 

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襄陽古隆中と南陽臥竜崗。それぞれどんな場所?

 

襄陽古隆中は、湖北省襄樊(じょうはん)市郊外の山中にあります。

風光明媚ないい感じの山の中に、庵を再現して作られた建物や

碑などが点在しています。

南陽臥竜崗は、河南省南陽市にあります。近代的なビルの建ち並ぶ

市街地に、臥竜路という大通りがあって、その道路沿いに

武侯祠(ぶこうし。諸葛亮をまつったほこら)があります。

庵跡を思わせる名所はこの武侯祠のみのようです。

武侯祠には扁額、碑文、肖像、いい感じの門や建物があります。




 

どうして庵跡が二カ所もあるの?

 

襄陽古隆中も南陽臥竜崗も、三国志の時代の行政区画ではいずれも

荊州(けいしゅう)南陽郡に属していました。だからややこしくなっているんですね。

 

【襄陽古隆中派の根拠】

正史『三国志』の注釈に引用されている『漢晋春秋(かんしんしゅんじゅう)』に、

諸葛亮は、南陽の鄧(とう)県に住んだが、そこは襄陽城の西方二十里にあり、

隆中と称していた」とある。

 

【南陽臥竜崗派の根拠】

諸葛亮が奉った出師の表(すいしのひょう)に「臣(しん)本(もと)布衣(ほい)、

躬(みずか)ら南陽に耕す」とある。

 

どちらが本物か断定するのはタブー

 

この論争、どちらが本家か決着を付けることはタブーになっているようです。

中国語のウェブサイトをいろいろ調べてみたのですが、客観的な立場から

書かれているサイトは「どっちもそれぞれ趣きがあるねっ!」とか、

「どっちが本家だっていいじゃないか。いやぁ、歴史ロマンだね~」みたいな

爽やかなまとめ方のものばかりです。控えめに「いろいろ材料を調べるとどうやら

隆中説を裏打ちするものが多いようだけど……」くらいまで書いているサイトでも、

どちらが本家だ、とは決して断言してません。きっと、断言したら炎上するんじゃ

ないでしょうかね。そうでなくても、どちらかに軍配を上げると隆中・南陽

いずれかの人の面子(メンツ)をつぶすことになりますから、面子を大事にする

中国ではめったなことでは断定できないでしょう。よほど動かしがたい証拠

(庵の遺跡が発掘されて、中から諸葛亮の毛髪が発見されてDNA鑑定で

本人のものだと判明するとか?)がない限り。

 

【奇想天外な夢の共演が実現 はじめての架空戦記

 

どっちも名所だね、って仲良くやってるの?

 

どちらが本家か断定するのはタブーなのですが、こっちが本家と主張している人は

決して譲りません。そういう立場の人は、徹底的に自分たちが本家である証拠を

挙げ連ね、相手側が挙げている証拠を否定しまくっています。

中国版Yah●●!知恵袋みたいなサイトで「隆中と南陽、どっちが本当なの?」

という質問の下に、隆中派と南陽派、それぞれを主張する論客がぶわーっと

自分たちの主張を書きまくっていて、画面が文字でびっしり埋まっていましたよ。

いっぱいスクロールしても延々と続いてるんで、面倒になって読むのやめました。

 

板挟みになって困った南陽知事のほっこりエピソード

 

清(しん)の時代、隆中派の根拠地である襄陽出身の顧嘉衡(こかこう)という人が

南陽の長官になってしまったからさあ大変。南陽の人々は彼にどちらが本家だと

思うか態度をはっきりさせろと迫り、彼は困ってしまいました。

隆中が本家だと言えば南陽の人たちがそっぽを向くし、南陽が本家だと言えば

故郷を裏切ることになる。さてどうしたものか……。

悩んだ末、南陽武侯祠にこんな対句を書いたとさ。

 

【原文】

心在朝廷 原無論先主後主

名高天下 何必辨襄陽南陽

【書き下し文】

心は朝廷に在り 原(もと)より先主後主を論ぜず

名は天下に高し 何ぞ必ず襄陽南陽を弁ずべけんや

【意訳】

諸葛亮は真心こめて朝廷に仕え、仕える相手が初代の劉備(りゅうび)であるか

二代目の劉禅(りゅうぜん)であるかなど問題にしなかった。

諸葛亮が天下に名高いことには変わりないのだから、襄陽(隆中)か南陽かを

弁別する必要なんてないじゃないか。

 

 

この襄陽出身の南陽長官様の鮮やかな対句に魅了され、二つの土地の

当時の人たちは互いに争うのをやめましたとさ。めでたしめでたし。

 

 

三国志ライター よかミカンの独り言

 

現代の南陽市は三国時代の宛城(えんじょう)です。劉備の対曹操(そうそう)作戦の

前線基地である新野(しんや)よりももっと北、曹操の領土内でした。

劉備の攻撃目標でもあり、戦乱を避けていた隠者の諸葛亮が住み着くわけがないし、

劉備が自由に訪問できたはずもありません。

でもね、隆中と南陽の双方の支持者さんたちの熱いご様子を見たり、

襄陽出身の南陽長官さんのほっこりするみやびな対句を見たりしたら、

やっぱり「どっちが本家だっていいじゃないか。いやぁ、歴史ロマンだね~」と

まとめたくなります!

 

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三国志好きが高じて会社を辞めて中国に留学したことのある夢見がちな成人です。

個人のサイトで三国志のおバカ小説を書いております。

三国志小説『ショッケンひにほゆ』
https://3594.fun 

【劉備も関羽も張飛も出てこない! 三国志 蜀の北伐最前線おバカ日記】

好きな歴史人物:
王充(おうじゅう。後漢初期の思想家)
※ はじさんのサイト内検索で王充の記事が出てきます

何か一言:
三国志のお話の世界の広がりは無窮。
日々新しい三国志が生まれています。
ご一緒に三国志の新しい歴史を刻みましょう。

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