桃園で劉備と張飛と共に死の時を同じくしようと義兄弟の契りを交わした関羽。
曹操軍の捕虜となったときは曹操からの熱烈なスカウトも断り、劉備の消息を知るや否や矢のように飛んで帰った関羽。
戦場では青龍刀を振り回し、鬼神のような強さで敵を圧倒。非業の死を遂げたものの、関羽の死に関わった者たちは謎の死を遂げた…。
そんな関羽の雄姿に惚れ込んだ人は数知れず。なんと関羽は神様として崇められるようになったのでした。
その関羽を祭っているのが関帝廟。今回は、関帝廟の概要と、正しい参拝の仕方をご紹介します。
東アジアから東南アジアまで、たくさんある関帝廟
関帝廟の「廟」という字を見て関羽のお墓なんだ~と思う人もいるでしょう。しかし、関帝廟はお墓というより神社仏閣に近いもの。そのため、関羽の故郷である剛蒲郡(山西省運城市)だけでなく、中国各地に関帝廟が建立されています。しかし、関羽の人気はそれだけにとどまらず、台湾や韓国、ベトナム、マレーシア、そして日本にも関帝廟が建立されているのです。
日本の関帝廟は、北海道函館市、神奈川県横浜市、和歌山県那智勝浦町、京都府福知山市、兵庫県神戸市、大阪府大阪市、長崎県長崎市、沖縄県那覇市にあります。北は北海道から南は沖縄まで。日本でも関羽の人気というのはこれほどまでに高いのですね。
関羽は何の神様?
関羽は神様になったんだ~…でも何の神様になったのだろう?日本人なら誰もが浮かべるであろうこの疑問。菅原道真が学問の神様と言われているように、きっと関羽も何かの神様になっているはず。武で名をはせた人だから、やはり武芸の神様…?
たしかに、武神としても祀られているのですが、民間の多くの人が神様になった関羽にすがるのは、そのためだけではありません。なんと、関羽は商売の神様として信仰されているのです。
一見、商売と関羽と何の関係もなさそうですが、関羽は劉備と出会う前は山西省で塩の密売をしていたとされています。関羽は悪徳商人を義憤にかられて殺害、以降、追われる身となってしまい故郷を離れたのでした。この逸話から、義理に厚く、悪徳商人を倒した英雄として、関羽は多くの商人から信奉されることになりました。そのため、中華街には必ずと言っていいほど関帝廟が建立されているのです。
関帝廟に参拝しよう
関羽ファンならば一度は訪れたい関帝廟。さっそく参拝!…といきたいところですが、関帝廟の参拝作法って日本の神社仏閣への参拝作法と違うのでは?その通りなのです。関帝廟の参拝作法は私たちがよく知るものとは全然違います。では、どう違うのかを解説していきましょう。
日本の神社仏閣には、鳥居や門が設けられていますね。そこをくぐる前に帽子を脱いで会釈します。関帝廟の門をくぐるときは、特にそういった規定はない様子。まぁ、今では日本の神社仏閣でも鳥居をくぐる前に会釈をしている人などそれほど見かけませんが…。
続いて、日本の寺社には手水舎が設けられていますね。ここで参拝者は手や口を清めます。略式の禊ですね。一方関帝廟は、そのようなものはありません。代わりというわけでもありませんが、受付で「お線香」と「金紙」を購入します。このお線香、花火セットに必ず入っている地味なアイツにそっくり。
そして、謎のアイテム「金紙」。真ん中に寿と書かれたありがたそうな紙の束ですが、いったいどのように使うのか…?そしていよいよ本殿へ…!日本の神社仏閣では賽銭を静かに賽銭箱に入れ、鈴を鳴らして神様に自分の存在を知らせます。そして、神社では再拝二拍手一拝、お寺では合掌をしますね。
難しい関帝廟の参拝手順
一方、関帝廟はここからが難しい…!階段を上がるときは左足から。バージンロードを歩くときのような細かい作法を要求されるのです…!そして、金紙を神様が読みやすい方向に向けて専用の台の上に一先ず置かせてもらいます。一度外に出て線香に点火。
いよいよ線香を立てていくのですが、線香を立てる香炉は複数あり、どの線香を立てるかが決められていることが多いようです。ご丁寧に数字を振ってくれているところもあるのだとか。線香を立てる前に3礼。その後、「左手で」香炉に線香を立てます。線香を全ての香炉に立てたら神様の御前へ。用意されている座布団に膝をつき、3拝してから合掌。住所・名前・生年月日を告げてから、叶えてほしいお願いをお伝えします。その後、一礼。同じように他の神様にも礼拝します。
礼拝が終わったら、台に置かせてもらっていた金紙を持って本殿から退出。そして、その金紙を金炉で燃やせば参拝完了です。ちょっと難しい関帝廟への参拝。しかし、関羽ファンなら一度でいいから参拝したい…!関羽は武と商売の神として崇められていますが、家内安全や学問の神様でもあるようです。合格祈願に関帝廟に参拝するのもいいかもしれませんね。
※この記事は、はじめての三国志に投稿された記事を再構成したものです。
元記事:関帝廟ガイド~知っておきたい、正しい「基本」の参拝方法
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