はじめての三国志コミュニティ
はじめての三国志コミュニティ




はじめての三国志

menu

三国志の雑学

杜牧が詠ったIF三国志「もしも曹操が赤壁で勝ったら」

この記事の所要時間: 339




騎馬兵に憧れる兵士

 

歴史に「if」は無いとは言いますが、

やっぱりああだったら、こうだったらと

考えずにはいられませんよね。

 

特に『三国志』に関しては、

そんな妄想を繰り広げずにはいられません。

 

実は、唐代にも「『三国志』たられば」を詠んだ

詩人がいたのでした。

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:架空戦記って何?いつから存在してどこでIF戦記ブームは過ぎ去ったの?

関連記事:【架空戦記】時空を超えた対決!韓信VS 諸葛亮孔明の一本勝負

 

 

「小杜」と称された杜牧

杜牧

 

唐王朝も斜陽(しゃよう)に差し掛かっていた頃、

杜牧(とぼく)という詩人が誕生しました。

 

王朝末期ということで、

暗くて何だかか細い雰囲気の詩が世にはびこる中、

彼は豪快でわかりやすく、

奔放な詩を生み出し続けました。

 

特に七言絶句に長けた杜牧は、

杜甫(とほ)が「老杜(ろうと)」と称されるのに対し、

小杜(しょうと)」と称されるようになります。

 

杜甫の詩は安史の乱に巻き込まれた激動の社会を描き切ったものが多いことから、

その詩自体が歴史を描いているとして「詩史」と呼ばれていますが、

杜牧の詩は「もし~だったら」と過去の歴史に自由に思いを馳せた「反実仮想詩(はんじつかそうし)」が多く、

その自由な想像力が人々に高く評価されています。

 

 

杜牧が詠った「項羽たられば」

項羽

 

杜牧の詩で特に有名なのは、

項羽(こうう)の最期について詠った「烏江亭に題す」です。

 

勝敗は兵家も(こと)期せず

(しゅう)を包み恥を忍ぶは是れ男児

江東の子弟才俊多し

捲土重来(けんどちょうらい)も未だ知るべからず

 

垓下(がいか)の戦いで劉邦(りゅうほう)に敗れ、

烏江という長江の渡し場まで落ち延びた項羽

 

項羽はそこで亭長に江東に逃げるよう勧められますが、

項羽

 

「私はその昔、江東の若者を8千人も率いて長江を渡ったが、

その若者たちは皆死んでしまった。

江東の者たちへの面目が立たない。」

と言って辞退します。

 

杜牧は、もしも項羽が亭長の申し出を受けていたら、

もう一度巻き返して劉邦と天下を争うこともできたかもしれない…

と考えたのでした。

 

■古代中国の暮らしぶりがよくわかる■

古代中国の暮らし図鑑  

杜牧の「赤壁たられば」

赤壁の戦い

 

妙に飾り立てた言葉を使わず、

ストレートな表現で歴史の「たられば」を詠う杜牧。

 

そんな彼は『三国志』のあの名場面である

赤壁の戦いの「たられば」も詠い上げています。

 

「赤壁」

折戟(せつげき)は沙に沈みて未だ()けず

(おの)ずから磨洗(ません)()って前朝(ぜんちょう)を認む

東風周郎に便ぜずんば

銅雀春深くして二喬を(とざ)さん

 

前半では杜牧が見た唐代の赤壁の風景を描いています。

 

折れた(ほこ)が一本、砂に埋もれているものの、

その戟はいまだに朽ちてとけてはいない。

その戟を拾い上げてすすいでみると、

やはり過ぎ去った時代のものであると見分けがつく。

 

杜牧は拾いあげた戟が三国時代のものであると推察し、

赤壁の戦いの情景を思い浮かべます。

周瑜

 

もしも東風が周瑜(しゅうゆ)のために吹かなければ、

曹操が妾達と愛を深める銅雀台に

小喬大喬の2人もまた閉じ込められてしまったことだろう。

 

 

連環の計を用いて曹操の大軍勢を打ち破ろうと考えた周瑜

敵にスパイを送り込んで船同士を結ばせ、

火をつけて焼き払うというこの作戦は、

風の向きに左右される一か八かの大勝負でした。

 

決戦当日、周瑜の味方をするかのように東風が吹き、

火は曹操の軍船をあっという間に焼き払ったのでした。

 

しかし、もしも東風が吹かなかったら…。

小喬と大喬を抱く曹操

 

呉の二大美女と称された

孫策(そんさく)の妻であった大喬と周瑜の妻である小喬

2人揃って曹操の手に落ちていたことだろうと

杜牧は想像を膨らませたのでした。

 

実は杜牧が訪れた赤壁はあの赤壁ではない!?

杜牧

 

赤壁を訪れ、

そこに落ちていた古い戟を拾って

三国時代に思いを馳せた杜牧でしたが、

実は、杜牧が訪れた赤壁はあの赤壁ではなかったそうです…。

 

魏と呉の歴史的決戦が行われた赤壁は

現在の湖北省蒲圻(ほき)市の西北36kmあたりの

長江南岸の赤壁山と称される岩山なのですが、

杜牧が訪れた赤壁は湖北省黄岡市の赤鼻山だそう。

 

実はここを赤壁と勘違いしたのは杜牧だけではなく、

唐宋八大家として有名な北宋の文人・蘇軾(そしょく)

「赤壁の賦」をここで詠んでいるようです…。

 

なんとも紛らわしいこの場所なのですが、

もしかしたら縦横無尽(じゅうおうむじん)に思いを膨らませる杜牧のことですから、

そこが赤壁ではないということはわかっていたものの、

どんどん赤壁への思いが連想されていったのかもしれません。

 

魅力のたられば詩人・杜牧。

もしかしたら後に編まれた『三国志演義』にも

その影響を与えているかもしれませんよ…?

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:【架空戦記】帝政ローマ軍と三国志軍が戦ったらどっちが勝つの?軍隊の編成や武器なども徹底解説

関連記事:架空戦記の走り? 『反三国志演義』を知っていますか?

 

赤壁の戦いを斬る!赤壁の戦いの真実
赤壁の戦い

 

chopsticks

chopsticks

投稿者の記事一覧

清朝考証学を勉強中。
銭大昕の史学考証が専門。
片田舎で隠者さながらの晴耕雨読の日々を満喫中。

好きな歴史人物:
諸葛亮、陶淵明、銭大昕

何か一言:
皆さんのお役に立てるような情報を発信できればと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

関連記事

  1. 【素朴な疑問】三国志の時代のお葬式とは、どんなものだった?
  2. 劉備暗殺計画|甘露寺の婚儀と錦嚢の計 その1
  3. 孔明だけじゃなかった!?呉にも天下三分の計を唱えた人物がいたって…
  4. 曹操、生涯最大の苦戦 白狼山の戦い|烏桓討伐編
  5. 何で劉備と司馬懿は無能な人間のふりをしたの?分かりやすく解説して…
  6. レッドクリフを100倍楽しむ!赤壁の戦いを分かりやすく徹底紹介!…
  7. 【三国志問題】リアルな武装率ってどれ位あった?
  8. 架空戦記の走り? 『反三国志演義』を知っていますか?

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 盧毓(ろいく)とはどんな人?魏の逃亡兵を規制する法律に「待った」をかけた政治家
  2. 【お知らせ】はじめての三国志メモリーズに黄忠を追加しました
  3. 【シミルボン】首絞め、兜取り、不意打ち何でもありの三国志時代の一騎打ち
  4. 諸葛孔明が10万本の矢を調達・生産したことに魯粛は驚いたのか?
  5. 【お知らせ】はじめての三国志メモリーズに3名の猛将を追加しました
  6. 43話:孫策、後事を孫権に託して病没する

三國志雑学

“はじめての三国志150万PV" はじめての三国志コミュニティ総合トピック
“広告募集"

はじめての三国志 書籍情報

朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ (桃園出版 三国舎)

著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

おすすめ記事

卑弥呼の鬼道を探る。卑弥呼-張魯-安倍晴明のつながり 大久保利通は明治維新・幕末時代にどんな業績を残したの? 曹沖(そうちゅう)とはどんな人?曹操が最も愛した幻の皇帝 【三国志ライフハック】司馬懿に見習い 勝ちパターンを生み出せ! 篤姫はなぜ人気がある?大河ドラマヒットの法則 キングダムで活躍している名将・李牧は実は臆病者だった!? 陸遜の生い立ちはどんな感じ?知られざる陸遜の前半生に迫る 韓玄(かんげん)とはどんな人?劉備に降伏した長沙太守

おすすめ記事

  1. 賊徒から三国志の英雄に出世した武将がこんなにいる!
  2. 時空を超える関羽、琉球の民話に登場
  3. 曹操と劉備ではどっちの武力が上?究極の個人対決
  4. キングダムの秦王・政がドハマリした韓非子(かんぴし)ってなに?
  5. 曹操の妻はどんな人達だったの?13人を紹介 Part4
  6. ペリーと黒船常識。ウソ?ホント?
  7. 83話:劉備は荊州四郡をゲット!怒涛の快進撃
  8. 遼来来!よりも呉は彼を恐れていた?呉キラー曹休(そうきゅう)

はじさん企画

袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志"
“邪馬台国"
PAGE TOP