キングダム
馬超




はじめての三国志

menu

三国志の雑学

【三国志とお金】公共事業にたかる豪族勢力

歴代皇帝の墓を暴こうとする韓遂の兵士




東京タワー

 

現代にも公共交通に集る道路族や、防衛利権に(たか)る防衛族と呼ばれるような族議員と呼ばれる代議士の存在がクローズアップされます。

しかし、このような存在は、何も現代日本ばかりでなく三国志の時代にも存在したようなのです。

今回の「三国志とお金」では公共工事に集る豪族達について紹介しましょう。

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:【出身州別】三国志キャラの性格診断 第四回:幽州(ゆうしゅう)、益州(えきしゅう)、交州(こうしゅう)編

関連記事:劉焉(りゅうえん)は何でド田舎の益州を選んだの?ちゃっかり独立を企んでいた?

 

 

巴蜀豪族の生命線

逃げまとう劉邦

 

三国志を著わした陳寿の出身地でもある巴蜀の豪族は、隔絶した秦嶺山脈の内側の巴蜀にいましたが、

褒斜道ほうしゃどう)というメインの桟道(さんどう)子午道(しごせん)というサブの桟道で関中と繋がっていました。

 

関中は楚漢戦争(そかんせんそう)項羽(こうう)により押し込められた漢中王、劉邦(りゅうほう)が巴蜀を抜け出して関中を制覇し項羽と戦う根拠地にした穀倉地帯でした。

ここは益州の豪族に取っても帝都長安に繋がる軍事、経済、政治の重要なパイプでしたが山の中腹を削り桟道を通しただけなので

メンテナスを欠かすと、直ぐに使用不能になる上、涼州から侵攻してくる羌族(きょうぞく)の兵乱により焼かれる事がありました。

この為、巴蜀の豪族は中央政府に庇護してもらう必要があり、多くの豪族が長安に出て中央政府の高官とコネを造ったのです。

 

永初年間(108年~113年)、メインの桟道となる褒斜道が羌族の侵攻で焼かれます。

これは、益州豪族にとっては大打撃でした、サブの子午道はありますが、そこは非常に危険であり、一刻も早く修復が必要でした。

ところが、巴蜀の豪族と結びつきが強かった外戚、鄧隲(とうしつ)安帝(あんてい)の皇后閻氏(えんし)の手により失脚、鄧隲に近かった巴蜀出身の官僚も、

追放の憂き目にあいます。

自分達が支持した有力者が失脚した事で、中央の援助が受けられなくなり、自身の財力ではとても褒斜道を修復できない巴蜀豪族は

この時、事態を打開する為に思い切った行動を取りました。

 

 

順帝を即位させ、褒斜道の修理を実現させる

順帝を即位させ、褒斜道の修理を実現させる

 

当時の後漢王朝は、安帝が崩御して、鄧皇太后も死去し、安帝の皇后の閻氏が外戚として権力を握りました。

閻氏は、安帝の皇太子の劉保(りゅうほ)を廃太子に持ち込んで、自分達に都合のよい皇太子を立てようとします。

一度は斉陰王(さいいんおう)に落とされた留保でしたが、ここで、宦官孫程(そんてい)が中心となり劉保を擁護してクーデターを起こし成功しました。

 

劉保は即位して順帝となりますが、この時クーデターに参加した官僚には張晧(ちょうこう)李尤(りゆう)龔調(きょうちょう)李部(りぶ)という巴蜀出身者がいます。

順帝は、その功績に報いるように、即位後、僅か18日で褒斜道を修理するように詔を出したのです。

 

これは、巴蜀の権益を守る為に、巴蜀の豪族階級が中央のクーデターに加担した事を記録したケースとなります。

 

激動の時代を生きた先人たちから学ぶ『ビジネス三国志

ビジネス三国志  

本籍回避を利用して太守を操る地元豪族

本籍回避を利用して太守を操る地元豪族

 

漢の時代、郡守や郡丞(ぐんじょう)、県令、県丞というような地方官のポストは、本籍回避(ほんせきかいひ)という制度が取られ任命されていました。

これは、赴任する土地と同郷の人物は太守や県令に任命しない制度で、元々は地元との癒着(ゆちゃく)を阻止する為の制度でした。

しかし、県令にしろ太守にしろ、数年しか赴任しないで次々とポストを変わります。

元々、他所の土地で思い入れがない上に任期は数年ですから、地域の事を把握する前に転任してしまうのが普通でした。

 

逆に漢王朝は、中央のキャリアにはなれない地方公務員は地元から採用します。

彼らは掾史(えんし)と呼ばれ、生涯異動しない地方行政のプロフェッショナルでした。

現地を知らない太守や県令が、掾史に仕事を丸投げするのは自然だったのです。

 

そして、前述した張晧、李尤、龔調、李部というような益州豪族は、元々、功曹(こうそう)掾のような地方公務員でした。

かくして掾史は太守や県令に対して強い影響力を持つようになるのです。

 

公共工事を誘致し勢力を拡大する豪族

公共工事を誘致し勢力を拡大する豪族

 

巴蜀に限らず、灌漑設備(かんがいせつび)を整備したり、道路を開通させる事は豪族に取って、貴重な勢力拡大のチャンスでした。

豪族は、労働力としての奴隷を多数抱えていて、彼らを業務として行商させ、200キロ圏内を移動させていました。

ですので、自分達の支配地域が開けてくるのは非常に重要で、太守や県令と結託し漢王朝から大土木工事の(みことのり)を出させ

公共工事を起こさせそれによって開けた土地に逸早くツバをつけて囲い込むのです。

 

例えば、巴蜀のある豪族は、広漢太守陳寵(ちんちょう)が西州を開拓した時に多数の吏員を送り込んで開拓地を囲い込んでしまい、

その事で日に百件の訴訟が出たとされています。

このような事は巴蜀ばかりではなく、他の豪族の土地でも起こっていて、後漢の明帝永平十三年(西暦70年)に、

卞渠(べんきょ)周辺地区の灌漑が容易な土地を豪族が独占する事を禁止する法令が出ていました。

 

このパターンは21世紀の日本の族議員とあまり変わりませんが、それでも豪族の力なしに地方統治は難しく、

劇的な癒着の改善は見込めなかったのです。

 

三国志ライターkawausoの独り言

三国志ライターkawausoの独り言

 

このように後漢の豪族は、本籍回避のキャリアの長官達に対して、勝手が違う土地の支配において力を貸すと同時に、

土地の開発においては漢帝国の援助を引き出し開かれた土地や用水路などをいち早く囲い込んで私腹を肥やす事もしていました。

こうして、勢力を増した豪族の中から、群雄割拠の時代には自ら群雄になったり或いは曹操(そうそう)劉備(りゅうび)のような豪族に加担していく人々が出現し、

時代は群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)の三国時代へと流れていくのです。

 

参考文献:巴蜀の豪族と國家權力 : 陳壽とその祖先たちを中心に 上田早苗

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:霍峻(かくしゅん)とはどんな人?劉備の益州乗っ取りの明暗を分けた名将

関連記事:劉焉(りゅうえん)ってどんな人?益州に独立国を建国した漢

 




kawauso

kawauso

投稿者の記事一覧

三度の飯の次位に歴史が大好き

10歳の頃に横山光輝「三国志」を読んで衝撃を受け
まずは中国歴史オタクになる。
以来、日本史、世界史、中東、欧州など
世界中の歴史に興味を持ち、
時代の幅も紀元前から20世紀までと広い。
最近は故郷沖縄の歴史に中毒中、、

好きな歴史人物:

西郷隆盛、勝海舟、劉邦、韓信、、etc

何か一言:

歴史は現在進行形、常に最新のジャンルです。

関連記事

  1. 劉備と4人の妻 三国志の劉備が愛した4人の妻を紹介
  2. 何晏 司馬懿を追い落として魏の政権を握った者達はどんな国家を目指してい…
  3. 【悲惨】周瑜は劉備の噛ませ犬でジャンプ台扱いだった?
  4. 曹丕と曹植 【曹魏クロニクル】220年~239年までの魏の歴史を紹介
  5. 【ビジネス三国志】みんな真似で天下を取った!群雄に学ぶ生き残り戦…
  6. 三国志とキングダムのそっくり武将は誰?|信と呂蒙
  7. 【シミルボン】こいつを捕まえたら1万銭!三国志の時代にもあったW…
  8. 曹操と張繍 張繍と賈詡は曹操に降伏したのは本心からではなかった!?

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

  1. 廃仏毀釈
  2. 曹操と荀彧の三顧の礼
  3. 張魯
  4. 呉懿と魏延
  5. 孔明と司馬懿
  6. 嬴政(始皇帝)
  7. 姜維と孔明
  8. 袁紹

おすすめ記事

  1. 臥龍は起つ気まんまんだった!?三顧の礼のやらせ劇を詩から読み解くよ 孔明
  2. はじめての三国志 X 大戦乱!!三国志バトル
  3. 【三国志トランプ】人物の説明文がトホホな人たち 司馬懿と諸葛亮孔明のトランプ勝負
  4. 【三国志マナー】あなたは大丈夫?間違うと首が飛びかねない!?三国時代のマナーを紹介!
  5. 周瑜はどうやって時代を超越した軍師・魯粛を手に入れたの? 周瑜と孫策
  6. 三国志 Three kingdomsの諸葛亮がイケメンすぎる! 孔明

三國志雑学

  1. 荀彧と曹操
  2. 公孫淵
  3. 五虎大将軍の馬超
  4. 曹丕


“はじめての三国志コメント機能" “はじめての三国志150万PV" “はじめての三国志Youtubeチャンネル" “広告募集" “誤字・脱字・誤植などの報告フォーム"

はじめての三国志 書籍情報

朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ (桃園出版 三国舎)

著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. 三国夢幻演義バナー 龍の少年
  2. 徳川家康
  3. 宋銭 お金と紙幣
  4. 孔子の弟子であり文学が得意な子夏

おすすめ記事

橋本左内の墓は二か所ある!?西郷隆盛も認めた幕末の名士をしのぶ 曹操も劉備もハマってた?三国時代の大人気ゲーム『六博』ってどんなの? 三国志の時代、一番本を持っていた武将は誰だったの? 合戦シーン 【そうだったの?】戦国時代は地球が寒くなった為に引き起こされた 仰天!三国志の時代にはナビゲーション技術があった!? 島津豊久と島津斉彬はどんな関係?豊久と斉彬の共通点も紹介 何晏 架空戦記って何?いつから存在してどこでIF戦記ブームは過ぎ去ったの? キングダム45 オルド将軍は実在するの?やっぱり最期は龐煖にバッサリ?

はじさん企画

“if三国志" 英雄の死因 “三国志とお金" “はじめての漢王朝" “はじめての列子" “はじめての諸子百家" “龍の少年" “読者の声" 袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
英雄の武器 編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志" 英雄の墓特集 誤字・脱字・誤植などの報告フォーム はじめての三国志コメント機能
“西遊記"

“三国志人物事典"

“はじめての三国志コメント機能"
PAGE TOP