「麒麟がくる」の見どころをkawausoが紹介

2020年1月31日


明智光秀(麒麟がくる)

 

 

2020年のNHK大河ドラマは、3年ぶりの戦国時代劇「麒麟(きりん)がくる」です。

 

麒麟がきた 特集バナーver2

 

初回の視聴率も19.1%と好調で、戦国モノの変わらぬ人気が窺えますが、時代劇初心者は、でも難しいんでしょ?と敬遠しがちかも知れません。そこで、今回は自称麒麟がくるマニアkawausoが、決して難しくない麒麟がくるの見どころを紹介します。

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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「麒麟がくる」は和風RPGとして楽しめる

明智光秀(麒麟がくる)

 

麒麟がくるは戦国時代の後期物語ですが、そんな小難しい知識がなくても楽しめます。例えば、第一話は、主人公の明智光秀(あけちみつひで)が、野盗に攻めこまれた自分の郷を守る為に派手なチャンバラをした後、そこで野盗の首領が持っていた鉄砲という新兵器に興味を持ち、自分のボスである斎藤利政(さいとうとしまさ)に、見聞を広めたいから京都に旅に出させて下さいと頼み込みますが、ドケチな利政は「お前が見聞を広めてワシになんの得がある?」と断ります。

 

明智光秀は鉄砲の名人 麒麟がくる

 

しかし、諦めきれない光秀は、新兵器の鉄砲を手に入れる事と、利政の正室の小見の方の病気を治せる名医を探してくると追加条件を出すと利政は笑って旅に出る事を許すというシナリオになっています。

 

①村が野盗に襲われる

②野盗が新兵器鉄砲を使う

③鉄砲で野盗を撃退できないかと思いつく

④旅に行かせて欲しいと王に頼む

⑤条件付きで旅のOKをもらう

⑥旅先で様々な出来事を経験し成長

 

張良と劉邦が楚漢戦争のゲームをプレイ

 

このように並べてみると、このストーリー仕立てはRPGと同じなのです。なので、麒麟がくるを和風RPGとして見ても、違和感なく理解できますよ。

 

「麒麟がくる」はホームドラマとして楽しめる

三国志の計略と孔明

 

戦国時代に興味がない人でも、麒麟がくるはホームドラマの話としても成立します。例えば麒麟がくるでは、主人公の明智光秀は早くに父を亡くしシングルマザーの家庭で育ち、父は立派な武士だったという記憶の中の存在で偉大な目標です。逆に、光秀の学友の斎藤高政(さいとうたかまさ)の父は、美濃のマムシとして極悪非道なやり方で成り上がった人物で、高政が愚鈍(ぐどん)に見える事から父子の関係は上手く行っていません。

 

斎藤義龍(麒麟がくる)

 

最終的に高政は父殺しをして美濃国主となるので、父は憧れどころか憎悪し倒すべき相手です。かと思えば、高政の異母妹である帰蝶は、マムシの父を尊敬し父と対立する高政には悪感情を持っています。

 

駒(麒麟がくる)

 

また、光秀を慕う庶民の女性である駒は、戦災孤児で両親ともに戦乱の最中で失っています。しかし、赤の他人である医師の望月東庵(もちづきとうあん)や、周囲の人々の助けで今は東庵の助手として、明るさを失わずに傷ついた人々を治療する事に生きがいを見出しているのです。父と子、そして母の関係、人間の普遍的な愛憎を麒麟がくるでは扱っているので、歴史が分からなくてもホームドラマとして楽しめるのです。

 

麒麟がきた

 

「麒麟がくる」は企業ドラマとしても楽しめる

編集長kawauso日記02 kawausoさん

 

一方、光秀が所属する美濃国を企業に例えると、一代で大企業を打ち立てた斎藤利政と、利政に媚びへつらいつつ会社の存続だけをひたすら願う零細明智荘(れいさいあけちそう)の主、明智光安と光安の甥で、言いたい事は利政相手でも平然と言う新卒で有能な光秀という図式も出来上がります。

 

編集長kawauso日記03 kawausoさん、おとぼけさん

 

上司と甥の間で板挟みになって苦しむ光安や、上司の横暴な無茶ぶりで、毎回無理難題を押し付けられる光秀。自信満々のようでいて、実は、社内重役の派閥争いやライバル会社の尾張の織田家との対立で神経をとがらせ、消耗している社長利政など、サラリーマンの経験がある人なら身につまされるドラマが出来上がっています。

 

麒麟がくるは歴史マニアでも楽しめる

テレビを視聴するkawauso編集長

 

最近の時代劇には、現代の価値観で時代劇を撮るものが多く見受けられます。血しぶきはグロ表現だから規制とか、遊女が客を取るシーンは女性差別だからダメとか、奴隷(どれい)を映してはいけないとか、中には、戦国時代の登場人物が21世紀の価値観で「人を殺すのは嫌だ」と言い出すものまであり、さすがに見る気が失せます。

 

日本戦国時代の鎧(武士)

 

もちろん、当時の人間が好んで人を殺していたわけではありませんが、殺さなければ殺される冷酷な現実の前には、可哀想なんて言ってられないというのが本音だったのです。しかし、麒麟がくるでは、出来る限り戦国時代の雰囲気を再現しようと務めています。光秀が人を斬れば血がはねますし、当時は当たり前だった人身売買や、売春婦である遊女、薄汚れた街並みなどを、史料で分かる範囲で再現しています。

 

城攻めをするシーン(日本戦国時代)

 

それから、これまでの定番だった分かりやすい草原での合戦ではなく、実際には最も多かった市街地での戦いや、掻楯(かいたて)で矢を防いだり、えい!えいと掛け声を出しながら歩調を合わせて進む槍隊の姿。城内からは投石機や、油を染み込ませて火をつけた俵を敵陣に転がすなど、多種多様な当時の戦い方を表現しています。

 

武田騎馬軍団 馬場信春

 

光秀が獲った敵の首を白い布に包んで腰に下げている描写もちゃんと再現されており、ただの綺麗で派手なチャンバラではない、生々しさを残しています。歴史マニアとしては、昨今の予算不足とポリコレで(ぬる)くなった時代劇ではない、歴史マニアも満足できる尖った戦国時代劇になっていると思います。

 

麒麟がくるは、多面的な楽しみ方が出来る

朝まで三国志2017-77 kawauso

 

このように麒麟がくるは、とっつきにくい時代劇である事を考慮し、RPG要素、ホームドラマ要素、企業ドラマ要素、正確な歴史考証など、戦国マニアもそうでない人も、楽しめる内容になっていますので、おススメです。

 

麒麟がくる

 

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kawauso編集長

kawauso編集長です。 はじ三の中の人です。 様々なトピックを立てますが 盛り上がらない時には ごめんね。 大体、咬まないので 気軽にからんでもらえると 嬉しいです。

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