キングダム632話ネタバレ予想「キングダムのリアルなあの世に迫る」


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大人気春秋戦国時代漫画キングダム、631話では死ぬ寸前だった(しん)羌瘣(きょうかい)(ひょう)のお陰で正気を取り戻して生還し、羌瘣は、先に死んでしまっていた松左(しょうさ)去亥(きょがい)に救われて現世に戻ってくる事になりました。唖然(あぜん)とする急展開でしたが、ではリアルな春秋戦国時代の中国のあの世とはどんなものなんでしょうか?

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キングダム632話ネタバレ予想「地獄も天国もない地続きの世界」

水月観音像(仏像)

 

キングダムでは(あか)い階段が出現し、そこが天国への道であるように描写されていましたが、このようなイメージは、リアルな春秋戦国時代にはありませんでした。死後に極楽と地獄があるというのは仏教の概念であり仏教伝来前の古代中国では、天国も地獄も存在しません。

 

古代中国人は、現代同様に非常に現実主義的な人々でした。

彼らの概念の世界とは、四角い大地とお碗を被せたような楕円の天だけが世界の全てであり、硬い地面の下にも空の天蓋の外にも別の世界は存在しなかったのです。

曹操の頭痛の原因は関羽?

 

死んだ人間の魂がふわふわ空を飛んで行っても、しばらくすると空の天井にぶつかってしまうので、そこから先にはいけません。同時に地にもぐっても、やがては硬い岩盤に突き当たり、ここを突破する事は出来ませんでした。

つまり死んだ人間の魂は生者同様に、この天と地の間の空間に永遠に留まるのが古代中国人の考えるあの世なのです。

そこに、朱い階段のような異世界へ魂を連れて行く装置はありませんでした。


キングダム632話ネタバレ予想「人の魂は魂魄の2つに分かれる」

亡くなる李牧

 

古代中国の宗教である儒教(じゅきょう)では、人が呼吸をしなくなると肉体から(こん)(はく)という二つの存在が飛び出すと考えました。魂は肉体を離れると空中をふわふわと漂い、魄は地面に(もぐ)ると考えられ、原理的にはこの魂魄が一カ所に揃うと人は魂を回復しすでに肉体は無くても、生前のような意識を持って、縁者や子孫の前に現れると考えました。

孔子と儒教

 

その為、古代中国では人が息をしなくなると、死者が身に着けていた衣服を取って屋根に上り、衣服を振り回して魂を呼び戻す復という儀礼をおこなったのです。一方で魄は、動きが鈍いうすのろな存在で、地面に潜ると言っても、少ししか戻れず、基本的には自分の遺骸(いがい)の近くに留まりました。

かくして、人が死んだ事が確定すると、シという儀式を行います。これは地面に浅く穴を掘り、死骸が白骨になるまで待つ儀式であり、骨が完全に白骨化すると、頭がい骨は廟という小屋に納めて祀り、それ以外の骨は地面に埋めました。これを葬と言います。

そのうちに廟には位牌を安置するようになります。位牌は頭蓋骨(ずがいこつ)の代わりで、同時に魄も頭蓋骨に宿る事になっていました。さて、ふわふわと漂う魂は、香りのよいモノが好きという特徴があり魄はお酒が好きという特徴を持っていました。

 

なので、先祖を祀る時には、位牌の前で香草(後には線香)を()き、また霊前にはお酒を備えて、魂魄を呼び寄せるようになります。このような祭祀のスタイルは仏教と混淆して日本にも伝わっていますが、仏教が強く入った日本では線香は焚くもののお酒は備えません。しかし、沖縄では、より強く儒教の風習が伝わり位牌の前で線香も酒も備えます。

 

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キングダム632話ネタバレ予想「厲鬼になるかも知れなかった信」

張飛、劉備、曹操

 

また、春秋戦国時代になると、異常な死に方をした人、子孫が無い無縁仏等、正式な儀式をせずに死んでしまった人として、厲鬼(れいき)という存在が出て来ます。こちらの厲鬼は、通常の祖先とは切り離され、ただただ他人に危害を加える荒ぶる災厄として考えられ、一切意思疎通(いしそつう)が出来ず儀式で祓う事しか出来ない存在として忌み嫌われ、恐れられました。

羌瘣

 

さて、漫画では羌瘣からエネルギーを吸い取る存在として生きている沼が出てきましたが、あの沼は、何らかの理由で成仏できない厲鬼のようなものでしょう。信も、朱い階段を上る事なく、そのまま天地の間に留まると、あんな生命力を吸い取る沼になっていったのかも知れませんね。


キングダム632話ネタバレ予想「中国人が子孫が絶える事を恐れる理由」

あどけない爽やかな古代中国人のカップル

 

このように、古代中国において、死者は極楽にも地獄にも、異次元に飛んでいく事もありません。普段は、魂魄に分かれて天と地をうろうろし、子孫が位牌の前で香草を焚き、酒を供えると一つに合体し意識を取り戻します。

つまり、子孫が繁栄し祭祀が紡がれる限りは、死者は生き続け、子孫の繁栄を見続ける事が出来るのです。逆に言うと、子孫が絶えて祭祀が途絶えた場合、死者は永遠に魂魄を合致する事が出来ないまま、この世を彷徨(さまよ)う事になります。

宦官の趙高(キングダム)

 

それこそ完全な消滅であり、中国人は祭祀が絶えるのを極端に恐れるのです。

この考え方に立つと趙高のような宦官が、どうして忌み嫌われるのかが分かってきますね。

 

キングダム(春秋戦国時代)ライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

以上、古代中国におけるあの世のイメージについて考えてみました。

そこから見ると、キングダムで描かれた死後の世界は、リアルな古代中国とは大分違う、キリスト教や仏教の影響を受けたものの感じがします。ただ、そもそも、古代中国のあの世イメージには、極楽も地獄もないのですから、それを忠実に再現しても、ちっとも盛り上がらない話になったでしょうから、これが正解だったという事になりますかね。

参考文献:中国古代・中世における“死者性”の転倒

 

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コメント

  • コメント (4)

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    • 匿名
    • 2020年 2月 15日

    まあ少し気になるのはキングダムにおける「胴体両断」が「死の定義」とするならホウケン生きてる可能性がガチに出て来るって話だわな。元々、ホウケンは両親譲りの「癒しの気功」持ちで更に死の世界への理解力は「求道者」として信以上ではあるでしょうし(てかメタい話、信が現時点で王騎超えると色々話が立ち行かなくなる可能性があるので作者都合的に生かされる可能性が)

    • 邯鄲の夢
    • 2020年 2月 15日

    ブログ主のリアルは儒教の死生観ですか?
    始皇帝となるセイは少なくとも道教の死生観で不老不死の
    仙薬を求めて徐福。。蓬莱。。。(弥生時代の渡来人へ)とつながっていくなんて妄想すると古代史ロマンが楽しめそうそうです。仙薬と言えば錬丹術。。アニメ鋼の錬金術士に出てくる錬丹術使いのメイチャンのようにキョウカイが大地の気を術へ使えたら面白いそうですね?(キングダムとは完全に別物になりますが)

    • 通りすがりの金毛
    • 2020年 2月 15日

    誤記:その先の真っ暗な空間が死にかけの信の精神→その真っ暗な空間が天地の間で記憶の無い信が死にかけの信の精神
    追記:それと白いワームホールみたいのがキョウカイが天地の間に無理やり開けた盤古の橋じゃないかと・・・。

    • 通りすがりの金毛
    • 2020年 2月 15日

    あくまで妄想:あの朱い階段は死者が己の血肉をそぎ落とす、つまり魂魄と肉体との完全な分離を意味する象徴だったのかもしれません。信が階段を見て感想を言ってました、「真っ赤」だと。(人の身体は土くれ、人の血も土くれ)だから上ってしまった者はもう現世には決して戻れない。
    キョウカイは己の精神を自己催眠により自分自身の内に落とし込む巫舞を使い、原理は謎(ファンタジック)ですが自己の戦闘能力を格段に上げます。あの禁術はその応用で自己の精神を信の精神に落とし込んだと思われます、真っ白な空間がキョウカイと信の精神の堺でその先の真っ暗な空間が死にかけの信の精神。漂や松左,去亥の魂魄が自由に信の精神に来れるのは古代中国において輪廻転生も天国地獄の概念が無かったことを表す表現でしょうね。漂に比べれば魂の結びつきの薄い二人は道に迷ったって言ってましたが。


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